第19話 初めて書いたポエム

文字数 912文字

 6/10のニュース
島根県大田市の70代女性が、庭のトリカブトの葉をミツバと間違えて調理して食べる。
動悸・吐き気など食中毒症状で入院。



 トリカブト……
そういえばトリカブトという題名の詩、っつーかポエムを書いたな。

 中学1年のとき、ポエムを見せ合っていた「おこちゃん」という友達がいた。
(本当のあだ名は「おぼんちゃん」)
(見た目がおぼんちゃん)
(うっかり、おぼんちゃんと呼ぶとペチッと叩く)
(ついつい、見た目がおぼんちゃんなので、おぼんちゃんと呼んでしまい、しょっちゅうペチペチ叩かれた)

 おぼんちゃんに見せるため、少女漫画を参考に書いたポエム。題名は『スミレ』。
これが「読者を意識して書いた」という原始の記憶。


『スミレ』

私は目立たないスミレ 
華やかな薔薇にはかなわない
下を向いて咲くスミレ 
それでもあなたは気づいてくれますか
(~忘却~)


 確かそんなようなポエム。
だいたい「私はスミレ」って、おこがましいだろ、スミレに失礼だ。

 おぼんちゃんは「これいいよ、歌詞みたい」と誉めてくれました。
ありがとう、そして今でもおぼんちゃんと呼んでしまってごめんよ。


 つぎに、人に見せないで書きたいように書いたのが『トリカブト』というポエムだった。
それがどんな内容だったか、思い出せない。何度も読み返した記憶はあるのに。

「あなたとの関係は 
毒にも薬にもなる 
まるでトリカブトのように」

 頑張って思い出したのが、このフレーズ……うっすら……このあとどう続けたんだ、当時の私よ……

 青紫の清楚な花なのに毒を持つというのが、なんかこう、気に入ったのだろうな。
そして猛毒だけど、「附子(ぶし)」として漢方薬にも使われるという、反転するところが琴線に触れたのだろうと。
なので、今でもニュースで「トリカブト」が出てくると集中してしまう。


 忘れてしまったのなら仕方ない、今、「トリカブト」のお題で書いてみる。試し書き。


『トリカブト』

ありきたりな私の原野に
トリカブトを植えよう
エキセントリックに振舞う人間が
繊細な作品を生むわけではない
破天荒な人間が
ずっと主人公なわけではない
誰が強いのかは
見た目ではわからない
腕力のない平凡な私は
地下を掘り
なけなしの毒を探して戦うのだ





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