五月の死神

[ミステリー]

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20件のファンレター

――佐伯さん、あなたずいぶんね。せっかくお手紙さしあげたのに知らんぷりして……。
昭和初期のミッション系高等女学校。
クラスの女王・杠和子と、「死神」とあだなされる佐伯文枝。
二人の少女の関係は、意外な方向に動き始める……。

※本作は昭和八年(1933年)に起こった「三原山女学生心中事件」をモチーフにしていますが、作品内容は作者の純然たるフィクションです。

登場人物

登場人物が未設定です

ファンレター

のめりこむように読んでしまいました

 すごいものを読ませていただきました。一文一文に張り詰めた緊張感を感じるほど繊細な文章からあふれ出る熱い感情に心を持って行かれました。最初を読んだだけで引き込まれたので、これは少しずつ大切に読もうと思ったのに読むのが止められません。彼女たちが抱える負の感情が悲しければ悲しいだけなぜか研ぎ澄まされた美しさがあり、少女達の危ういスキンシップや、水浴のシーンなど心がうずくような純粋なエロティシズムを感じました。そして、この物語が心に深く入ってくるのは地の文章の丁寧な表現の賜物だと強く感じます。14話か ... 続きを見る

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4話まで拝読しました

 美しい。痛いほど美しくて切ないです。とくに様々な表現が繊細で地の文を食い入るように読んでしまいました。特に好きなのはソーダー水が「汚れる」という所。確かに、透き通ったソーダーにアイスが混じると美しい調和を壊した感じがしますが、それを表現として抽出するということは思いもよりませんでした。感受性の高さが突き刺さります。(ちなみに私はソーダーを甘くするためさらにガシャガシャ濁らせるという繊細さのない人間です)  昭和初期の上流階級の女子高生たちの、危うい美しさがたまりません。「女性」になることを戸 ... 続きを見る

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地をどよもすほどの……

心揺さぶられる、激しい作品でした。 実を言うと時系列が複雑だったので、理解力の乏しい私は何度か読み返す必要があり……すみません(苦笑)。ああでも、皆さんが絶賛する理由がよく分かりました。昭和初期の時代背景を繊細に写し取った文章、女学校に通える「恵まれた」お嬢様たちの、心の奥底に抱える深い葛藤。どれも研ぎ澄まされた描写となっていて、私も文枝さんになり切って読むことができました。この時代を生きさせてもらったような感覚です。 物語が終盤に向けて緊迫していき、最後は三原山の噴火口の爆音が聞こえるほど ... 続きを見る

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「死神」の本当に意味がクライマックスでわかり、涙……

短期集中連載、おつかれさまでした。完結おめでとうございます! 第1話時点で、すでに事件は起こり、すべてが終わってしまっていて、その事件が一体なぜ起こってしまったのかを読み進めるうちに読者は知る、という倒叙構成ですね。 文枝さんと一緒に昭和8年2月11日と12日を追体験しながら、起こってしまった出来事をどうしても止めることができないもどかしさを感じました。 倭文子さんの父親が再婚する前までタイムリープして、人生をやり直し、別の未来を選べたらいいのにと思うほどでした。 特にエピローグは、エピ ... 続きを見る

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愛と祈り……

連載終了お疲れ様です。 まさに「短期集中連載」という感じの、高密度な作品でした……! 美しい世界を見せつつ、常にどこかで「この外に現実がある」と呼びかけていたように感じられた前半から、後半に進んで、「ああやはり」と腑落ち……。 語り手が「鋭い知性と感性を持った文学少女」(これは本当に『まさにそのもの』という視点と語りでした。気品、思慮の深さ、一途さ、そして危うさなど……)ということもあり、その繊細な思いが痛いほど伝わってくるようで、クライマックスに向けてハラハラしっぱなしでした。 ... 続きを見る

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その寄せ木細工のような作品には血が通っている

始終「はわぁ……」と声を発してうっとりしながら読んでしまった。が、未読の読者に説明すると、これはうっとり読む小説ではない。南ノさんの筆力による世界観提示に飲み込まれて「はわぁ」となってしまうだけだ。作品の持つ問題意識のリーチはこれでもかというくらい長く、広く、そして現代に呼応するし、呼応させるのがこの作家の作家性であるのだ。 小説っていうのはテーマが何層にもなっていて、作家の終生のテーマ、作家のそのときのテーマ、作品自体のテーマがあり、それらは全部違う。そして、コンセプト。時代設定にその作家の ... 続きを見る

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余韻に浸りながら。

あぁ、連載が終わってしまった。ロスって、こういう気分のことなのですね。 文枝さんと一緒に、私の情緒も浮き沈みしました。知らないこの時代の女子学生になったような気持ちで、色々な場所を移動することが出来ました。文枝さんに感情移入してしまい、隣の唇を見て、温もりまで感じました。 見事な構成、そして美しい表現、特に会話文に私はうっとりとしました。 いやぁー、ホント、すごかったです。 しばらく余韻に浸ります。

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こちらではお久しぶりです^ ^

何処で感想をお伝えしようか迷いましたけど、レターを受け付けていらっしゃるのならここに書くのがスジかなと思いまして、久しぶりにレターを出させていただきますm(__)m 南ノさんが描く昭和初期という時代背景の物語、そして「少女」、これだけでも魅惑的なお話になることは間違いないのですけど、「三原山事件」に「エス」を絡めた「ミステリー」ですから、読まないわけにはいきません! 細かい設定も史実をお調べになられたことがよく分かりますし、当時の価値観や道徳観、特に「女学生」を取り巻く社会的な不遇、 ... 続きを見る

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毎日の楽しみでした、ロスになります

南ノさん、本当に感動しました。でもあまり作品の内容を書けないというジレンマを味わっています。というのは、未読の方はまっさらな状態で読んでいただいて、私と同じような「え?」という驚きを味わって欲しいからです。 本当にあの瞬間は、私も視界がパーッと開けました。二章に入ってから、不安定でどこかに着地したがっていたような旋律が、バンッ!と主旋律に戻ったようなカタルシス……凄い構成力と筆力だなぁと、ただただ感嘆しました。エピローグにあのエピソードを持ってきた構成も、心憎いばかりの演出で。私の情緒は南ノさ ... 続きを見る

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物悲しく美しい物語、堪能させていただきました。

南ノさん、 「五月の死神」連載終了、お疲れ様でした!! 只今、エピローグまで拝読させていただきました。 女性として生きる苦悩や、少女たちの葛藤が、美しく繊細な文章で描かれていて、 とても読み応えがありました。 当時の少女たちにとって、女学校を卒業して結婚することは決して幸せなことではなかったのですね。 また、父親や教師、将来の夫は味方となってくれる存在ではなく、むしろ恐れるべき存在だったのでしょうね。 それ故に少女同士の美しい関係「エスの契り」が生まれたのだろうか、と思いま ... 続きを見る

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小説情報

五月の死神

南ノ三奈乃  minano

執筆状況
完結
エピソード
22話
種類
一般小説
ジャンル
ミステリー
タグ
昭和初期, 女学生, 心中, 三原山事件, 恋愛, ミステリー, 百合
総文字数
44,644文字
公開日
2023年11月23日 15:13
最終更新日
2024年02月11日 18:47
ファンレター数
20