三奈乃の読書日記

[創作論・評論]

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53件のファンレター

わたし――南ノ三奈乃が読んで面白かったと思う本を紹介していきたいと思います。
純文学多めになるかな? ……と思っていたのですが、エンタメもマンガも……もうなんでもありになってきました!
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール

ファンレター

「時間」に対する認識に興味があります

「保坂和志」さんのお名前は、ノベルデイズに来て初めて知りました。作品のご紹介をしていただき、面白そうな(と、いうか食べたことの無い食材に向かうような興味)がわいています。特に面白く読ませていただいたのは「時間」の捉え方です。私もなんとなく現在と過去は同時に存在している気がしているのです。認識したときにはすでに過去になっている私の時間感覚。私は、実はもう未来もすでに決まっていて、意識だけが巻物を読むようにその決まったストーリーを認識しているのが人生だという気がしています。「きことわ」、といいこの保 ... 続きを見る

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第8話、9話

南ノさんが紹介された『ハレルヤ』の文章を読んだ第一印象は、親しい人の話し言葉のよう、ということでした。 生きている話し言葉は剪定されていなくて、意識が時間や場所をいったりきたりして流れるようで、それでもこちらの心には理屈抜きで浸透してくる。そして浸透してきたものは、日常の水面下で流れる悲しみを、慈しみの眼差しですくい上げるようななんとも得がたい感覚でした。 感銘を受けた部分を抜粋しようとすると、ほとんどになってしまいます。特に後半の「作者は、ひとりで哲学的な思考に遊んでいるわけではありません ... 続きを見る

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いろいろ反発(笑)

これは本当に恐ろしいディストピア小説だなと感じました。条件付きであっても、殺人が合法⁉ 殺されても良いとされる人とは、一体どういう人なんだろう? 妊娠出産は決してユートピアじゃないぞ? 生まれてきた子が病気や障害を背負っていても、社会にプラスとなる「1」とカウントされるの? ……等々、村田さんの作品を読んでもいないのにいろいろ反発してしまった私です(笑)。 でも、こういう方向へ想像力が働くこと自体、すごいことですよね。そして三奈乃さんの、現代文学のサブカルチャーへの接近を読み取る分析になるほど ... 続きを見る

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第6、7話『殺人出産』

私にしては超珍しく『コンビニ人間』も『殺人出産』も読んでいたのですよ(笑) たまたま『コンビニ人間』を立ち読みして、主人公の世間との関わり方、痛い行動原理が失笑レベルでわかりすぎてしまい、ユーモアがツボでとても面白かったのです。(外国人バイトとの絡みとか) それで続けて『殺人出産』も読んで。だいぶ前に読んだきりなのでうろ覚えですが、潔癖症の世界かな?と感じた記憶が。(あくまで個人の感想です。汗) 当たり前になった制度と、実際の生活のあわいに存在するグレーゾーンがあまり見当たらず、日常や意識 ... 続きを見る

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『殺人出産』

南ノさん、『殺人出産』のレビューを拝読しました。 これは僕が村田沙耶香さんにハマるきっかけになった作品でして、コメントせざるを得ません! ・殺人がなくならない中で、いかにすればこれを正当化できるか? ・殺したら人口はさらに減るので、増やす手立てがあればいいのでは? ・産むという行為は、女性だけが担い続けるのか? などの社会的、哲学的テーマを、作家特有の性的なものを多分に含む感性と、SFでくるんだ作品だと思います。星新一さんの「生活維持省」という短編が『ボッコちゃん』に入っていま ... 続きを見る

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こ、これはSF!

「出産」と「殺人」これを合体させるという斬新な発想、凄いですね。もうそれだけでドラマが走り出している気がします。というか、これはSFですね。ご紹介を読みながら――ああ、それはいつもなのですが――喉から手が出るほど読みたくなってしました。いったい彼女の目的は? 推理小説の要素もあるのかな。  最近は純文学も熱いのですね。今回の本は、さらにさらにぐっと身近に感じました。ああ、手がポチッとしそう、しちゃう……。  正月は読書三昧決定です。(嬉)

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記憶の物語

書評とはこうでなければならないんだ! と思わされるような素晴らしい記事でした。読んでいるうち、三奈乃さんの感じられたことが私にもじわっと沁み込んでくるよう。たぶん『きことわ』という作品の核心を突いているからでしょう。 貴子と永遠子という名前にも、そんな意味があったんですね。古語のような独特の文体とも自然に溶け合っているのが分かり、三奈乃さんの分析の的確さにまたもや舌を巻く思いでした^^。「流れすぎていく時間の姿を逆照射的に浮かび上がらせる」という、作品の意図の読み取り方もさすが! いや~素晴ら ... 続きを見る

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私が純文学が苦手なわけ

「きことわ」のご紹介を読んでいると幼い頃にどこかで嗅いだ懐かしい香りが蘇ってくるような気がしました。南ノさんの書かれる書評は、情感たっぷりな上に、理論的で説得力があります。まっすぐに進んでいるように感じる時間の中にも過去が滑り込んでくる、等の説明も頭で消化する必要がなく、すっと入ってきます。(まるでブドウ糖ゼリーだ!)「きことわ」がどのように時間を題材に物語を構築しているのか、ああ、読んでみたい。って気持ちになりました。(「幽霊」はストーリーから何からすっかりすべてを忘れていましたが、あの蚕のく ... 続きを見る

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深い!

 2011年、辛いことの多い年で災害以外の記憶が余りないのですが、この「苦役列車」だけは覚えています。ちょっと面白そうだなと思って。(でも、購入まではいきませんでした)、「きことわ」という作品も同時受賞していたのは教えていただいて気がつきました。まるで月とすっぽんの作者タイプなのに、その根底に共通点があるなんて!!!と唸りながら読みました。目から鱗が落ちるような切り口です。南ノさんの書評は、きちんと順序立てて丁寧に、そして私の好奇心を掴んだまま結論に向かってくださるので、とても読みやすいです。ま ... 続きを見る

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丁寧な書評!

西村賢太さん、とにかく言動の過激さで印象に残っていますが、作品は未読です。そんなに「正統」的な私小説なんですか?(って、いきなり質問ですみません) それにしても、映画化してくれた監督と対談で険悪な雰囲気になるって……仕上がりに不満があったにせよ、ただ事じゃないですよね(笑)。 そして東京至上主義を鍵に読み解く三奈乃さんの分析に、なるほど~と思わされました。東京出身が唯一の自慢。葉山のステイタス。むしろその背後にある劣等感をあぶりだしているような印象です。 丁寧に作品の魅力をすくい上げる三奈 ... 続きを見る

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多くの人が見落としている何か

三奈乃さんの書評だー! 久々の新作の登場に喜んでしまいました(笑)。 純文学はあまり読んでいなくて、たぶんこちらでご紹介いただく本のほとんどが私には未読となるのだろうな~と思うのですが、三奈乃さんのイチオシ本なら間違いないと思います。今村夏子さんの作品も、両方読みたくなりました。「むらさきのスカートの女」の、本当に変なのは「わたし」の方なのだと気づいてしまう……ってどういう表現をしたらそうなるんでしょう? 「こちらあみ子」の男の子に前歯を折られてしまった理由もすごく気になります。 純文学は価 ... 続きを見る

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「今村夏子の衝撃」拝読

 恥ずかしながら、最後に純文学(子供向けはのけて)を読んだのはいつか覚えていないのです。「蛇にピアス」だったかも。(あ、手元にある「どん底」はまだ読めていません。なんだか可愛そうな気がして……、ちょっと心が強いときに読みます)純文学って何かを読み取らないといけない気がして、敷居が高いのです。でも、南ノさんのご紹介を読ませていただくと、この本は面白そうですね! もともと実は~だった、というどんでん返しがとても好きなので、この話の感覚は味わってみたいと思います。純文学と、大衆文学。差異はあまり考えた ... 続きを見る

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今村夏子

第1話、拝読しました。今村夏子さんはまだ読んだことがなかったです。芥川賞や太宰治賞を受賞されているかたなのですね! 『こちらあみ子』の紹介を読んで、お母さんにほめられると思って死産した子供の墓標を立てるところに、悪気がないだけによけい痛々しく感じました。このとき、あみ子は何歳だったのでしょうか? さすがに15歳ではなく、幼いときのことだろうと思いましたが…。 「純文学と大衆文学の違い」についての考察、すごく良かったです!! 「世間一般の常識、道徳観、価値観に寄り添って書くのが大衆文学」、 ... 続きを見る

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