三奈乃の読書日記

[創作論・評論]

236

33,174

53件のファンレター

わたし――南ノ三奈乃が読んで面白かったと思う本を紹介していきたいと思います。
純文学多めになるかな? ……と思っていたのですが、エンタメもマンガも……もうなんでもありになってきました!
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール

ファンレター

いろいろ反発(笑)

これは本当に恐ろしいディストピア小説だなと感じました。条件付きであっても、殺人が合法⁉ 殺されても良いとされる人とは、一体どういう人なんだろう? 妊娠出産は決してユートピアじゃないぞ? 生まれてきた子が病気や障害を背負っていても、社会にプラスとなる「1」とカウントされるの? ……等々、村田さんの作品を読んでもいないのにいろいろ反発してしまった私です(笑)。
でも、こういう方向へ想像力が働くこと自体、すごいことですよね。そして三奈乃さんの、現代文学のサブカルチャーへの接近を読み取る分析になるほどと思いました。いつもながら、素晴らしいです! かなり怖いけど、手に汗握るストーリー展開には惹かれます。読んでみようかな……

そうそう、映画『あの頃、君を追いかけた』をアマゾンプライムで見ました! 下ネタ多め(笑)、台湾という国ならではの青春物といった感じで面白かったです。日本でもリメイクされたそうですが……あのセンスを真似るのは難しいだろうなという気がしました。『月老』も公開を待ちたいと思います。

返信(1)

つばめさん、お読みいただきありがとうございます!
仰る通り、この作品に出てくる「殺人出産システム」自体は、ツッコミどころがいろいろあると思います。私も正直、このシステムで産まれた子供の教育問題は?とか、こうした子供が問題を起こした場合、誰が責任を取るの?とか、いろいろ「??」となりました。もしかしたら役所は、人口問題を単に数字の問題と捉えていて、データさえ合えばOKになってしまうという意味のディストピアなのかなあ、とも思いました^^
でも、たぶんこの作品は、システムの妥当性というより、「もし殺人が合法化されたら、あなたは誰かを殺したいと思いますか」みたいな問題を追究したかったのではないでしょうか。「環はいったい誰を殺したいのか」という謎が、読者を結末まで引っ張ってゆく構成になっていて、そういうサスペンス物として引き込まれる感じがありました^^
ただ、このシステムだと、殺すまでに最短でも10年はかかるわけで、「特定の人間を10年憎み続けるなんて私には無理だなあ」と思ってしまいましたが…^^;

「あの頃、君を追いかけた」、見てくださったんですね!…下ネタ多め(笑)確かに…。まあ、よくも悪くも男性視点(男性作家の九把刀が自分の原作を自ら映画化)という部分はあると私も感じました^^
でも、90年代の台湾の雰囲気をかなりよく伝えているらしく、ある年齢以上の台湾人にはとてもノスタルジックに感じられたのだそうです。映画の学校の中でけっこう体罰が行われていますが、この後の時代、台湾では体罰が厳禁され、現在の台湾の高校の雰囲気はこの映画とは全然違います。軍服を着た怖い人が出てきますが、あれは「教官」と言って、本当に現役の軍人なんです。教育的にはずいぶん変わった台湾ですが、軍人が「教官」として高校以上の学校に常駐するという制度はまだ残っています。