三奈乃の読書日記

[創作論・評論]

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わたし――南ノ三奈乃が読んで面白かったと思う本を紹介していきたいと思います。
純文学多めになるかな? ……と思っていたのですが、エンタメもマンガも……もうなんでもありになってきました!
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール

ファンレター

多くの人が見落としている何か

三奈乃さんの書評だー! 久々の新作の登場に喜んでしまいました(笑)。
純文学はあまり読んでいなくて、たぶんこちらでご紹介いただく本のほとんどが私には未読となるのだろうな~と思うのですが、三奈乃さんのイチオシ本なら間違いないと思います。今村夏子さんの作品も、両方読みたくなりました。「むらさきのスカートの女」の、本当に変なのは「わたし」の方なのだと気づいてしまう……ってどういう表現をしたらそうなるんでしょう? 「こちらあみ子」の男の子に前歯を折られてしまった理由もすごく気になります。
純文学は価値観に揺さぶりをかけるって、すばらしい分析です! 私も読後感が不快だった作品はいくつもあって、その理由は自分が否定されたような気がしたから。でもそうした作品はやっぱり純文学寄りで、実験的な側面があったり、多くの人が見落としている何かを提示していたのだと思います。だとしたら、避けずに読むことも大事なんだなと反省しました^^。
三奈乃さんの書評から、新しい視点を頂きたいです。次回も楽しみにしています!

返信(1)

つばめさん、お読みいただきありがとうございます!…それから、ご無沙汰しております^^ゞ
実は私も、日本の現代純文学を全然読めない時期があったんですが、最近読んでみたら意外に面白くてびっくりしました。受賞者も女性作家が圧倒的に多くて、文章も読み易いものが多い印象です。今村夏子さんなんかは特に平明な文章を書かれるんですが、ああいう文章で、淡々とあんなヘンテコな物語を描くって、逆に本当にすごいなと思いました。
「むらさきのスカートの女」の語り手「わたし」は、こういう書き方があるのかと正に目から鱗でした。芥川賞の講評でも、この「語り手」が評価された面があるみたいです。ホテルの清掃の仕事をしている女性たちの物語なのですが、実際に作者の今村さんがそのアルバイトをしていたことがあるそうで、作者がけっこう庶民目線というか、そこも共感できたところでした。給料的には大して変わらないのにチーフの先輩が威張っていて、彼女たちに気に入られないと新人はいじめられて辞めざるを得なくなる(だから離職率が異常に高い)職場の人間関係とか、あーだこーだ噂話が駆け巡るところとか、女だらけの職場あるあるで、すごくリアルなんです。そのリアルな世界の中で、語り手の「わたし」がどんどん狂気を孕んで暴走していくところがすごく怖いんですが、でもユーモアもあるという本当に不思議な作品でした。「こちらあみ子」の方が作品としては優れているような気が私はしましたが、一気に読まされてしまうという点では「むらさきのスカート」の方かもしれません。
どちらもそれぞれの面白さがありますので、もしよろしかったら、つばめさん、ぜひ読んでみて下さいませ!(*^^*)