三奈乃の読書日記

[創作論・評論]

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わたし――南ノ三奈乃が読んで面白かったと思う本を紹介していきたいと思います。
純文学多めになるかな? ……と思っていたのですが、エンタメもマンガも……もうなんでもありになってきました!
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール

ファンレター

第8話、9話

南ノさんが紹介された『ハレルヤ』の文章を読んだ第一印象は、親しい人の話し言葉のよう、ということでした。
生きている話し言葉は剪定されていなくて、意識が時間や場所をいったりきたりして流れるようで、それでもこちらの心には理屈抜きで浸透してくる。そして浸透してきたものは、日常の水面下で流れる悲しみを、慈しみの眼差しですくい上げるようななんとも得がたい感覚でした。
感銘を受けた部分を抜粋しようとすると、ほとんどになってしまいます。特に後半の「作者は、ひとりで哲学的な思考に遊んでいるわけではありません」以降とラストの南ノさんの文章は圧巻。大切なことが伝わってきました。

返信(1)

佐久田さん、お読みいただきありがとうございます!
『ハレルヤ』の文章を読んだ時の私の感じ方も、佐久田さんと同じでした…と言うか、「生きている話し言葉は剪定されていなくて」から、「日常の水面下で流れる悲しみを、慈しみの眼差しですくい上げるようななんとも得がたい感覚」まで、私がうまく言語化できなかった部分を書いていただいた気がしました。佐久田さん文章うますぎです!
「。」ではなく、「、」でつなげていくような特殊な文体(学校の作文だったら、絶対先生に怒られそうw)なのに、読んでいる時は別におかしいと思わないんですよね。それは佐久田さんが仰る通り、保坂和志の文章が「心に理屈抜きで浸透してくる」言葉のつらなりだからなのだと思います。
それと今回は長くなりすぎると思って言及しなかったのですが、『ハレルヤ』に収録されているもう一つの短篇「こことよそ」もすばらしいんです!その短篇では、若かった頃の友人と自分の父親の死が描かれます。生きている人間にとって、誰かの死を受け入れるということが日常生活の中で最も大事なことなんだ、ということを改めて感じさせてくれる作品でした。