第25話 近藤優名の補足説明
文字数 1,780文字
私はプラトニックラブが好きだと言ったわよね。
そして、たんぽぽ食堂界隈では私好みのプラトニックラブが無いと言ったわ。
プラトニックラブが発生したの。それがとても意外なカップルで。
開ちゃんと服部なのよ。
びっくりして、え? そっち! って思ったわ。
時間が経てばお祓いの効力が薄れて、村瀬さんと服部君の組み合わせも有りかな? なんて思っていたから。
でもよく考えたら妥当な感じがした。
年齢は6歳離れているけど、服部は幼く見えるから並んでも違和感無し。開ちゃん高校生になったら段々キュートになってきた。
きっかけはね、『オオツボ模型』なの。
フィンランド雑貨のお店が閉店したあと、オープンしたお店。思っていることをすぐ口に出す大家さんがブツクサ言っていた。
「借りてくれるのはありがたいけど、大丈夫かしら? 模型よ? 鉄道でしょ? お客さん来るのかしら」
成田君が「俺、模型やジオラマ好きですよ。泉工医大生とか好きな人多そう」
大家さんはそれを聞き流し、
「店主の大坪さんて、県庁勤めの公務員でね、定年退職を機に開業するの。要するに素人なのよ。大人しく再雇用で働いた方がよかったんじゃないかしら。退職金使って設備投資や仕入れなんかをするんでしょう? 大丈夫かしら。あ、借りてくれるのはありがたいんだけどね」
大家さんの心配をよそに、『オオツボ模型』は固定客を掴んで地味ながらも安定した滑り出しをみせたの。実は店主の大坪さんが、その業界では知名度のある人だったみたい。
オープンして1か月ほど経ったゴールデンウィークに、開ちゃんが服部を誘ってお店に行ったの。
私もこっそりついて行ったんだけど、思っていたよりシンプルで居心地が良い店内だった。明るく清潔で開放的な作業ブースがあって、3時間いくらで工具や塗料を自由に使うことができるシステム。
開ちゃんと服部、2人でジオラマの一部を作って楽しそうだった。
時間になって店を出て、それから種原山散策ルートをたどって道の駅に行ってアイスクリームを食べて。2人で笑い合っていた。
最初は開ちゃんに引きずられていた服部だったけど、帰りがけに木陰でキスをしたのは服部からだったのよ。そのキスが良かった。私好み。小鳥がついばむような、軽いキス。
開ちゃん、目をまん丸にしていて可愛かった。
そこで思い出したのよ、服部って恋愛体質だったって。
開ちゃん、次第に身なりに気をつけるようになった。もちろん、今は足は閉じて座っている。
娘のいない服部ママからも「面白い子」認定された。
心配性の服部ママだから、開ちゃんの家のこととか色々くま無く調べただろうけど、破産歴を帳消しにして余りあるプラスを感じたみたい。
なんといっても、籠もりがちな服部を外に連れ出してハッパかけてくれるからね。
それからは開ちゃんと服部、種原山デート中にムードが高まってくると、すぐに開ちゃんが照れて冗談言ったり話をはぐらかしたりギクシャクして、見ていてじれったくて、……もう最高。
服部、手を繋ぐのにも四苦八苦している。
高山・小関ペアの1時間が、天宮・服部ペアの1か月ってところかしら。自分でもなにを言っているのかわからないわ。
あんまり意識していなかった頃の開ちゃんは、
「世話になっているから、私でよければエッチしてやってもいいぜ」みたいな、目眩 を覚えるセリフを言っていたくせにね。
開ちゃんの誕生日には、服部が花束を持ってきた。
緑がかった白い薔薇と柔らかな葉の組み合わせで、結婚式のブーケみたいだった。
服部には開ちゃんがそういう風に映っているんだなって思ったら、キュンとしちゃった。
そして最後に残ったのが成田君。
葉月ちゃんは素直で気立てがいいからきっと大丈夫、心配ないの。
心配なのは成田君よ。
とても可愛い顔して真面目でいい子で、私は大好き。でも、なんか暗いのよ。
あのメンヘラ服部は、いつも喜怒哀楽を十分発揮してしくじったりはっちゃけたり、笑ったり泣いたり色々しているというのに、成田君はなかなか動きが乏しく本心を見せない。
人生はいつ終わるのかわからないのよ。もっと自分を出していっていいのに。
成田君は悲観しすぎ、自分の人生の主人公は自分でしょ? もっと自分を大切にして。
そんな私の声も、かたくなな成田君の耳には届かない。
そしてもう1人、私はずっと待っている男の人がいるの。
そして、たんぽぽ食堂界隈では私好みのプラトニックラブが無いと言ったわ。
プラトニックラブが発生したの。それがとても意外なカップルで。
開ちゃんと服部なのよ。
びっくりして、え? そっち! って思ったわ。
時間が経てばお祓いの効力が薄れて、村瀬さんと服部君の組み合わせも有りかな? なんて思っていたから。
でもよく考えたら妥当な感じがした。
年齢は6歳離れているけど、服部は幼く見えるから並んでも違和感無し。開ちゃん高校生になったら段々キュートになってきた。
きっかけはね、『オオツボ模型』なの。
フィンランド雑貨のお店が閉店したあと、オープンしたお店。思っていることをすぐ口に出す大家さんがブツクサ言っていた。
「借りてくれるのはありがたいけど、大丈夫かしら? 模型よ? 鉄道でしょ? お客さん来るのかしら」
成田君が「俺、模型やジオラマ好きですよ。泉工医大生とか好きな人多そう」
大家さんはそれを聞き流し、
「店主の大坪さんて、県庁勤めの公務員でね、定年退職を機に開業するの。要するに素人なのよ。大人しく再雇用で働いた方がよかったんじゃないかしら。退職金使って設備投資や仕入れなんかをするんでしょう? 大丈夫かしら。あ、借りてくれるのはありがたいんだけどね」
大家さんの心配をよそに、『オオツボ模型』は固定客を掴んで地味ながらも安定した滑り出しをみせたの。実は店主の大坪さんが、その業界では知名度のある人だったみたい。
オープンして1か月ほど経ったゴールデンウィークに、開ちゃんが服部を誘ってお店に行ったの。
私もこっそりついて行ったんだけど、思っていたよりシンプルで居心地が良い店内だった。明るく清潔で開放的な作業ブースがあって、3時間いくらで工具や塗料を自由に使うことができるシステム。
開ちゃんと服部、2人でジオラマの一部を作って楽しそうだった。
時間になって店を出て、それから種原山散策ルートをたどって道の駅に行ってアイスクリームを食べて。2人で笑い合っていた。
最初は開ちゃんに引きずられていた服部だったけど、帰りがけに木陰でキスをしたのは服部からだったのよ。そのキスが良かった。私好み。小鳥がついばむような、軽いキス。
開ちゃん、目をまん丸にしていて可愛かった。
そこで思い出したのよ、服部って恋愛体質だったって。
開ちゃん、次第に身なりに気をつけるようになった。もちろん、今は足は閉じて座っている。
娘のいない服部ママからも「面白い子」認定された。
心配性の服部ママだから、開ちゃんの家のこととか色々くま無く調べただろうけど、破産歴を帳消しにして余りあるプラスを感じたみたい。
なんといっても、籠もりがちな服部を外に連れ出してハッパかけてくれるからね。
それからは開ちゃんと服部、種原山デート中にムードが高まってくると、すぐに開ちゃんが照れて冗談言ったり話をはぐらかしたりギクシャクして、見ていてじれったくて、……もう最高。
服部、手を繋ぐのにも四苦八苦している。
高山・小関ペアの1時間が、天宮・服部ペアの1か月ってところかしら。自分でもなにを言っているのかわからないわ。
あんまり意識していなかった頃の開ちゃんは、
「世話になっているから、私でよければエッチしてやってもいいぜ」みたいな、
開ちゃんの誕生日には、服部が花束を持ってきた。
緑がかった白い薔薇と柔らかな葉の組み合わせで、結婚式のブーケみたいだった。
服部には開ちゃんがそういう風に映っているんだなって思ったら、キュンとしちゃった。
そして最後に残ったのが成田君。
葉月ちゃんは素直で気立てがいいからきっと大丈夫、心配ないの。
心配なのは成田君よ。
とても可愛い顔して真面目でいい子で、私は大好き。でも、なんか暗いのよ。
あのメンヘラ服部は、いつも喜怒哀楽を十分発揮してしくじったりはっちゃけたり、笑ったり泣いたり色々しているというのに、成田君はなかなか動きが乏しく本心を見せない。
人生はいつ終わるのかわからないのよ。もっと自分を出していっていいのに。
成田君は悲観しすぎ、自分の人生の主人公は自分でしょ? もっと自分を大切にして。
そんな私の声も、かたくなな成田君の耳には届かない。
そしてもう1人、私はずっと待っている男の人がいるの。