第23話 服部から長めの説教
文字数 1,023文字
私はアニメなんてただの絵空事、時間潰しだと思っているし、興味が無かった。
けれどこの『マジ・カン』ってやつは絵がきれいだな。
調整区域を染めるオレンジ色の夕暮れと三日月と金星。グッとくる。葬儀屋の駐車場から見る夕暮れに似ている。そして夜空のアルデバランとペテルギウス。
キャラクターの絵を見て、ずっとドタバタラブコメかと思っていた。
精神世界で繰り広げる異能者バトルもので、体制と反体制に分かれたところで2期が終了か。
服部が呟いた。
「これ最後勇気をもらえるんだ。どんな境遇でも気持ち一つで道が開けるって」
おいおい、それは大山チルドレンこそ似合う言葉だぜ。服部の境遇なんて最高じゃないか。
まあ、辛いことって人それぞれだから一概には言えないかもしれないけど。
もしかすると与えられてばかりというのも、それはそれで、つまらないものかも知れないな。
勇気をもらえたのならそろそろ耳に入れるとするか。
「服部、がっかりしないで聞いてくれ」
「え? なに? え?」
「百川さんが戻ってくる」
「あ……そうなんだ……」
「こっちで就職するらしい」
「……」
「もう村瀬さんのことは諦めろ」
「……村瀬さんは、喜んで……いるの?」
「ああ」
「村瀬さんが喜んでいて、幸せになるなら、俺はそれでいいよ」
私は思わずグッときて、服部の肩に腕を回した。
「私も同じ気持ちだ、服部。好きな女には幸せになって欲しいよな」
「え? 天宮ちゃん?」
「私はバイセクシャルなんだ」
「え? え?」
「服部ってもちろん童貞だろ? いつも世話になっているから、私でよければ相手するぜ。やり方わかんないけど。そういうエッチなDVDとか見ながらならできんじゃね?」
「天宮ちゃん!」
「あ、やっぱり服部としては、大事に守ってきた童貞は好きな人に捧げたいか? でも服部、聞いたこと無いか? あんまり後生大事に童貞を守り続けると、妖精さんになっちゃうらしいぜ」
「天宮ちゃん!!」
「私は一応生物上メスだから、訳のわからない変態に襲われないとも限らないだろ? 私としても、最初は素性のしっかりした服部がいいんだけど」
「女の子からそういうこと言っちゃダメだから!」
「そうなの?」
「そういうことを気軽に口に出しちゃダメだから!」
「服部は純情だな。純情そうにみえる高山さんだって、高一の12月に経験済みだぞ。私もサッサと経験して身軽になりたいんだ。服部のことはずっとカワイイと思っているし」
そのあと私は服部から、長めの説教をくらった。
けれどこの『マジ・カン』ってやつは絵がきれいだな。
調整区域を染めるオレンジ色の夕暮れと三日月と金星。グッとくる。葬儀屋の駐車場から見る夕暮れに似ている。そして夜空のアルデバランとペテルギウス。
キャラクターの絵を見て、ずっとドタバタラブコメかと思っていた。
精神世界で繰り広げる異能者バトルもので、体制と反体制に分かれたところで2期が終了か。
服部が呟いた。
「これ最後勇気をもらえるんだ。どんな境遇でも気持ち一つで道が開けるって」
おいおい、それは大山チルドレンこそ似合う言葉だぜ。服部の境遇なんて最高じゃないか。
まあ、辛いことって人それぞれだから一概には言えないかもしれないけど。
もしかすると与えられてばかりというのも、それはそれで、つまらないものかも知れないな。
勇気をもらえたのならそろそろ耳に入れるとするか。
「服部、がっかりしないで聞いてくれ」
「え? なに? え?」
「百川さんが戻ってくる」
「あ……そうなんだ……」
「こっちで就職するらしい」
「……」
「もう村瀬さんのことは諦めろ」
「……村瀬さんは、喜んで……いるの?」
「ああ」
「村瀬さんが喜んでいて、幸せになるなら、俺はそれでいいよ」
私は思わずグッときて、服部の肩に腕を回した。
「私も同じ気持ちだ、服部。好きな女には幸せになって欲しいよな」
「え? 天宮ちゃん?」
「私はバイセクシャルなんだ」
「え? え?」
「服部ってもちろん童貞だろ? いつも世話になっているから、私でよければ相手するぜ。やり方わかんないけど。そういうエッチなDVDとか見ながらならできんじゃね?」
「天宮ちゃん!」
「あ、やっぱり服部としては、大事に守ってきた童貞は好きな人に捧げたいか? でも服部、聞いたこと無いか? あんまり後生大事に童貞を守り続けると、妖精さんになっちゃうらしいぜ」
「天宮ちゃん!!」
「私は一応生物上メスだから、訳のわからない変態に襲われないとも限らないだろ? 私としても、最初は素性のしっかりした服部がいいんだけど」
「女の子からそういうこと言っちゃダメだから!」
「そうなの?」
「そういうことを気軽に口に出しちゃダメだから!」
「服部は純情だな。純情そうにみえる高山さんだって、高一の12月に経験済みだぞ。私もサッサと経験して身軽になりたいんだ。服部のことはずっとカワイイと思っているし」
そのあと私は服部から、長めの説教をくらった。