第5話

文字数 582文字

 外の日差しが強く感じる。肌に自信のなかった私は、紫外線のクリームを持ってくるのだったと後悔をした。

 私は、重い足取りを一歩一歩、引きずる様にして歩き、本屋まで何とか、辿り着こうとする。

 駅前のざわざわとした雰囲気は苦手だった。まず人混みが体質と合わないのである。よく、みんな学校に行ったり、会社に行けたりするものだと思っていた。

 満員電車なんかもってのほかだ。普段から、バスやタクシーなんかを利用するのが当たり前だった。学校という密室が苦手になってからというもの、狭い空間がトラウマになっているのかも知れない。

 ただ、本屋さんだけは、飲食店や他の店と比べて、プレッシャーが少ない様に感じていた。

 内面の世界が現れているのか、自分と相性が良いのかも知れない。

 私は考察を続けながら、駅前の本屋に到着した。

「いらっしゃいませ」

 その声を聞いて、サッと眼鏡を付け直す。眼鏡をしておけば、人の視線が気にならなくなるからだ。私は、特に目は悪くなく、いわゆる伊達眼鏡なのである。

 たくさんの本が迎えてくれる。今の私にとっては、この空間が宝物庫の様に見える。

 オドオドと店内を彷徨う。

 ふと、不思議な感覚が身を包み、一冊の本が、私の目に止まった。

「えっ!?」

 私は思わず、声を出していた。

 目に止まった、本のタイトルに驚いてしまったのだ。

 そのタイトルの名は……。

「永遠列車」
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