第32話

文字数 686文字

 始めに「生まれ変わったら、いつの間にか甲子園に出場していた件」というタイトルの本を読むことにした。

 私は野球が好きだった。中学生の頃によく甲子園の生放送を見た。青春の為に全てを投げ打つ少年たち。その流す汗や涙がとても綺麗だった。

 封を開けて中身を見ると、全300ページにて締めくくられていた。どうやら続巻もあるらしい。

 あらすじを読んだあと、ページを捲っていく。

 草野球をやっていた、大人の社会人が、事故で亡くなり、もう一度転生して野球人生をやり直すストーリーだ。色々と野球の知識に詳しい大人が、甲子園に出場するのは容易いことだろう。

 私は何やら突っ込みたくなる気持ちを抑えて、続きを読んでいく。

 なるほど、小学生のリトルリーグから中学の名門野球部にスカウトされるところから始まっていくお話らしい。

 確かに面白い。漫画みたいなストーリーが文章となって、繰り広げられていく。

 私はいつの間にか、主人公の秀一というキャラクターに感情移入してしまっていた。

(なんか、私……この主人公、好きです。真面目に見えるけれど不器用で、それでも少年に戻って、やり直したい気持ちが強くって……)

(早苗……それは私に話しかけているの?)

(あ、いえ。つい心の声が。ごめんなさい。ガブ)

 私は一巻を読み終えた。面白かったな。今度、続巻を買ってこよう。

 これは、声優の勉強になるかも知れない。

 真面目なライトノベルしか読めなかったけれど、大体の世界観は分かりました。

(ガブ、ありがとう)

(え? どうして)

(私が声優の勉強をやる後押しをしてくれたでしょう? 嬉しかったよ)

(えへへ、どういたしまして)
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