第４７話

（私、もうだめ……。こんなことなら学校なんて来るんじゃなかった）

（早苗の意気地なし。普通の子はね、それでも頑張ってこの世を乗り越えようとしているの。私が付いているのにどうしてそんなに弱気になるの！）

（……）

「早苗さん！」

「大丈夫！？　具合悪いの？　私が病院まで付いて行ってあげようか？」

「あ……空花さん」

「ちょっと、緊張しちゃって……。もう大丈夫です」

「そう……。無理そうだったらすぐに私に言ってね」

（……ガブ）

（早苗、私を信じて。ほら、もう時間だよ）

　あっ！

　私は自分の出番が近づいて来た事に気がついて慌てて教室に戻った。

「早苗さん、お帰りなさい。ちょっと緊張しちゃったかな？　大丈夫？」

「はい、大丈夫です。すみません」

「ええと、自己紹介できるかな？」

「はい」

「焦らずにゆっくりで大丈夫だからね。ではよろしくお願いします」

「皐月早苗です。趣味は読書です。読むジャンルは全般でちょっと不思議なストーリー物が好きです。漫画も最近読むようになりました。声優の勉強をしようと思ったのは、人って普通に生きていたらきっと分からない、未知の見えない隠れた部分ってたくさんあるのではないか……？　と思うようになりました。それを表現できる世界は一体どういったものなのだろうと興味を持ちました。プロになろうとは思っていません。よろしくお願いします。では……朗読します」