第51話

文字数 665文字

 なるほど……。

 この子は感づいたのか。

 この世にかかっている魔法に……。

 厄介な存在だな。

 だが守護者に守られている。手を出す事は無理か……。

 ええ……。この子に手を出すなら私たちにも考えがあります。

 そうだ……。

 この子に手を出すな。

 ……それならこの子の友に手を出す事にする。

 そこでその存在は姿を消した。

 ……ああなんてこと。

(早苗……つらいけど頑張るんだよ……ごめんね……)

 私は一瞬とても嫌な雰囲気に包まれたような気がした……これは一体何だろうか。

「早苗さん、早苗さん」

 ……えっ?

「あ、ごめんなさい。何でしょうか?」

 早苗は友人の一言で現実に帰ってきた。

「早苗さんってたまにボーっとする時ってあるよね」

「あ、うん。私ってよく考えこみがちで………何も考えていないように見えて結構多感なのかもしれないです」

「そっか、だからあんな朗読が生まれるんだね。早苗さんって本当、不思議な人だね」

「うん、私って学校に通えなくなってしまって、自分で考え込む時間が自然に増えちゃったって言うか……」

「私もそんな時期あったからね。今の時代ってそういうの当たり前っていうか……。でもとてもかわいそう。とても辛かったね……」

「私でよかったらいつでも相談相手になるからね! いつでも連絡してね。LINEもなるべくすぐに返すようにするね」

「空花さん、ありがとう……」

 ……えへへ。

 今まで辛かった分これからは一杯よい事があるよね。

 神さま、本当にありがとうございます。

 ……。

(早苗、その子は……)

(えっ?)

(その子は影には勝てないかも知れない)
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