第59話
文字数 1,086文字
夜中に目を覚ますと、その声の主は居なくなっていた。やっぱり幻だったのだろうか……。熱が出ると、こんなことがたまにある。私は敢えて深く気にすることを辞めた。
私はテレビでアニメを見ながら、気分転換をしようとする。こうしていると、どこか安心して、暗い気分がどこかへ行ってしまう様な気がした。
アニメを見ながら、休んでいると段々と気持ちが楽になってきた。熱も心なしか下がって来た様だ。どうやら一時的なものだったらしい。私はそのままアニメを鑑賞しながら夜を明かした。
徹夜でアニメを見ていた私は体温計で、熱が少しだけ下がっていることを確認するとそのまま眠ってしまった。
次に目覚めたのは昼間の十二時だったが、やはり寒気が残っていたので、そのままベッドで横になっていた。ただ、嬉しかったのは私を苦しめていた声がしなくなっていたことだ。そのことが、熱が引いたことよりも嬉しかった。
あの声がしなくなった理由について、何でだろうかと詮索は敢えてしなかったのだが、きっとガブが守ってくれたのだろう。私はそう思うことにした。
三日後、完全回復した私は、代々木公園まで来ていた。流石にジョギングは控えることにしたが、いつものトレーニングを空花さんとこなした。
「早苗さんが、元気になってくれて、本当によかったよ。まだ無理しないで、きつくなったらすぐに言ってね。あ、ところでさ」
空花さんは、何か言いたい様子でこちらを見ている。何だろうか? 私は素直に聞いてみることにした。
「はい、空花さん。なんですか?」
「昨日、夢を見たんだ。何か白い六枚の翼を持った天使が現れてさ……。早苗さんに、どうか、こう伝えて欲しいって。今だに信じられないんだけれど、すぐ帰るから、安心して欲しいって。これは一体誰なんだろうね?」
その天使はガブだ……。私はすぐにそう直感した。よかった、やっぱり何か理由があって居なくなっていただけなんだ。
「空花さん、それはきっと私たちの、守護天使様ですね。きっと心配して夢の中に現れてくださったのですよ」
空花さんは、そうだといいね……と私の頭を撫でてくる。
えへへ、よかった。声がしなくなったことも嬉しかったけれど、私にはやっぱりこのニュースが一番、嬉しかった。
「じゃあ、トレーニングしていこうか。早苗さん! じゃあ、にらめっこをするよ」
「そんなあ……空花さん、いじめないでください」
「はは、冗談だって。病み上がりの早苗さんにそんな無茶させないさ。じゃあ、いつもの朗読していこうか」
「はい!」
季節は夏が来ようとしていた。代々木公園には紫陽花が咲き始め、夏の匂いが立ちこめていた。
私はテレビでアニメを見ながら、気分転換をしようとする。こうしていると、どこか安心して、暗い気分がどこかへ行ってしまう様な気がした。
アニメを見ながら、休んでいると段々と気持ちが楽になってきた。熱も心なしか下がって来た様だ。どうやら一時的なものだったらしい。私はそのままアニメを鑑賞しながら夜を明かした。
徹夜でアニメを見ていた私は体温計で、熱が少しだけ下がっていることを確認するとそのまま眠ってしまった。
次に目覚めたのは昼間の十二時だったが、やはり寒気が残っていたので、そのままベッドで横になっていた。ただ、嬉しかったのは私を苦しめていた声がしなくなっていたことだ。そのことが、熱が引いたことよりも嬉しかった。
あの声がしなくなった理由について、何でだろうかと詮索は敢えてしなかったのだが、きっとガブが守ってくれたのだろう。私はそう思うことにした。
三日後、完全回復した私は、代々木公園まで来ていた。流石にジョギングは控えることにしたが、いつものトレーニングを空花さんとこなした。
「早苗さんが、元気になってくれて、本当によかったよ。まだ無理しないで、きつくなったらすぐに言ってね。あ、ところでさ」
空花さんは、何か言いたい様子でこちらを見ている。何だろうか? 私は素直に聞いてみることにした。
「はい、空花さん。なんですか?」
「昨日、夢を見たんだ。何か白い六枚の翼を持った天使が現れてさ……。早苗さんに、どうか、こう伝えて欲しいって。今だに信じられないんだけれど、すぐ帰るから、安心して欲しいって。これは一体誰なんだろうね?」
その天使はガブだ……。私はすぐにそう直感した。よかった、やっぱり何か理由があって居なくなっていただけなんだ。
「空花さん、それはきっと私たちの、守護天使様ですね。きっと心配して夢の中に現れてくださったのですよ」
空花さんは、そうだといいね……と私の頭を撫でてくる。
えへへ、よかった。声がしなくなったことも嬉しかったけれど、私にはやっぱりこのニュースが一番、嬉しかった。
「じゃあ、トレーニングしていこうか。早苗さん! じゃあ、にらめっこをするよ」
「そんなあ……空花さん、いじめないでください」
「はは、冗談だって。病み上がりの早苗さんにそんな無茶させないさ。じゃあ、いつもの朗読していこうか」
「はい!」
季節は夏が来ようとしていた。代々木公園には紫陽花が咲き始め、夏の匂いが立ちこめていた。