第27話

文字数 724文字

 その日、初めてできた友達。

 私は化粧室でひたすら目を洗っていた。

(ほら、早苗。いつまでも泣いていないで、空花ちゃんに会って来なさい)

(でも、ガブ……私はそんなにコミュニケーションが上手じゃないんです)

 新しい出会いが教会にあった。私はこの気持ちをどう表現していいのか分からず、落ち着かせることに必死だった。

(これからは一緒に遊べるね。これでもう一人ぼっちではないよね)

(……はい)

 私は聖堂に戻り、空花さんと一緒に賛美歌を歌った。

 私はただ一言祈った。神様、ありがとう。まるで、宝物を手にした思いになっていた。この出会いは一生大切にしていこう。

 説教が終わると空花さんが話しかけて来た。

「早苗さん、この後、暇? よかったら一緒にご飯を食べない?」

「はい、ぜひご一緒させてください」

 近くのサイゼリアでご飯を食べることになったが、道中では何も会話することはなかった。だけれど私は幸せな思いに包まれていた。学校に行けなくなって、悲しい思いをしたけれど、今こうして友達ができた。

 一人ぼっちだった人間にとって、孤独ではなくなるというのは大変なことなのだ。夢を見ているのだと思った。これからは、たくさんこの友達とお話をしよう。私はそう誓った。

 サイゼリアに着いて、ドリアを注文した私は、ただ俯くだけで、空花さんと目を合わせることができなかった。

「早苗さん、何だか不思議。まるで私たち、どこかで出会ったことがあるみたい。夢の中でね……私たちはずっと前から友達だった気がするの」

「はい、私もずっと前から空花さんと知り合いだった気がするんです。あ、あの……もしよかったら」

「早苗さん、私と親友になってくれませんか?」

 伝えたかったことを空花さんは言ってくれた。
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