恋する山田と無自覚タラシの高橋さん1

文字数 659文字

お題[シチュエーション]
・「教室で、恋に落ちた瞬間まで」の物語
・年齢、性別自由
・500~2000文字以内(詩などもOK)
・タグに「シチュエーション物語」と記入
・書き下ろしのみ
・必須ワード「チョーク」

 挑発(恋に落ちる瞬間)

 髪を束ねたゴムは黒、メガネも縁あり。オシャレなんて縁遠い絵に描いたような学級委員、ついたあだ名は『インチョー』。私の真面目過ぎるところを皮肉っているのだろう。ま、嫌いじゃないけどね。

「じゃじゃーん!」

 陽キャ男子がチョーク片手に落書き発表。黒板に書かれた日直の名前に相合い傘。

 『山田△高橋』

 小学生か。

「インチョーと山田、熱いねぇ~♪」

 くだらない。高校生でもこれやるか。残念だが笑ってごまかすほどのキャラは持ち合わせていない。私はそんな陽キャではないのだ。ここは黙って消しとくのが無難。

 軽く息を吐き黒板へと向かう。途中、山田と目が合った。
 少しは嫌がれよ。
 山田は陽キャだ、私とは別世界の人間。女子にも男子にも人気がある。確かにあのルックスは認める……が、これと冷やかされたら火傷するのはこっちだけだぞ。
 黒板消しに手をかけると、

「インチョー、消しちゃうの?」

 山田の声、振り向くとちょっとイタズラ気味に笑ってる。何それ挑発⁉️ 私の反応見たいだけだろ、フザケンナヨ。 

「ちがうよ」

 私は赤いチョークで相合い傘にハートを乗せた。山田のうろたえた顔は見逃さない。私は勝ち誇った顔で席に戻る。イタズラにはイタズラで返す。それが私のやり方。

 


 ──────その後、
 なぜか山田がよくやってくる。

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