恋する山田と無自覚タラシの高橋さん4

文字数 956文字

 眼鏡(山田)

 前方にインチョー発見! うつむいて目を擦ってる。ゴミでも入ったかな。
 ──────これは、チャンスだ☆

 眼鏡無しのインチョー、顔見たら恥ずかしがるかな? 恥じらうインチョー……
 …………妄想中
 …………妄想中
 ───────────♡(≧∇≦)bいいね
 
 

「あれ? インチョー眼鏡取ってる。ちょっと見せて、もっとよく見せてよ♡」

 オレが執拗に顔を覗き込むとインチョーは顔を背け急いで眼鏡をかけようとした。

 え、可愛い。ちょっと、もうちょっとこの姿見ていたい……

 気付けば眼鏡を奪ってた。
 しまったーーー!……けど、もう遅い。

「だーかーらー、眼鏡取った顔見せて♡って言ったの~」

 我ながら苦しい言い訳、そして空気の凍結を感じた。

 インチョーの筆箱と教科書、そしてノートが高々と飛ぶ。なんで、どうして? 
 右手に温もりを感じたと同時に背中への衝撃。右手は押さえ込まれた。やばい、左に

 バンッ!!

 突如視界がなくなる。衝撃音と共に何かに塞がれた。恐る恐る前方を向くとインチョーのドアップ!! うわあぁぁぁぁ!!

「逃がさないよ」

 間近でインチョーのドスの利いた声。
 うわあぁぁぁぁ!!
 し、心臓がもたない! やばい、あ、汗が……あ! 汗臭いって思われたら嫌だ! は、離してくれー!! 今すぐ解放してくれーー!!

「……か、返す、返すから暴力反対!!」

「暴力? 顔見せろと言ったのは山田じゃないか、ほら、たんまりと見るがいい」

 インチョー近い! 顔近い! 近くて見えない! というか、息かかる! インチョーの息……すんすん……じゃなーーーい! 
 あ、オレ息臭かったらどうしよーー! 息吐けない、く、苦しい……

 俺の右手は掴まれてる、左手は……動かせない位置。手を伸ばしたらインチョーの胸にムネムネしちまう場所だ。

 ヘルプ、降参! ヘルプ、降参!

 オレは眼鏡を必死に動かした。頼む、インチョー察してくれ!

 その時、急に手首が楽になった。眼鏡も抜かれ、オレは晴れて自由の身。
 インチョーは眼鏡をかけると散乱した荷物を拾いその場を後にした。

 オレはしばしその場にしゃがみ込む



 ─────だって見てしまったんだ。
 手首を離した時のインチョーの顔。
 笑ってたんだよね。


 鉄仮面破れたり!!
 ヽ(*≧ω≦)ノうおぉぉぉぉ


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