魔力か愛か　１

お題　『恋人同士のふたりが初めてキスする瞬間まで』2000字以内、必須ワード『魔法』
魔女の力

　私は魔女の末裔、だけど極々一般的な女子高生だ。魔女なんていっても、本当なのか嘘なのかよくわからない。５歳の誕生日に口頭で伝えられただけ。もしかしたら母親や祖母に騙されているのかもしれない。

　魔女だと言われてから、実際に試してみたのだ。色々念じたり、くじ引きを引いたり、ガチャをやりまくったり、だけど結果は散々だった。

　きっとあれは子供に夢を持たせる為の嘘。そして黒歴史として私は長年心の奥底に沈めていた。
　
　しかし高２の夏、私は恋をした。

　同じクラスの館石和也くんに一目惚れ。私は願った、大好きな彼が私を好きになってくれることを、そして付き合いたいと、

「好きです！　付き合ってください」

「俺も……好きです」

　彼と一緒に帰りたい。手を繋ぎたい。

「一緒に帰ろ、手を繋いでもいい？」

「うん、帰ろ。手を繋ぎたいな」

　交際は順調だった。全てが自分発信を除けば……これはもしかして魔法の効果なのでは？　そんな疑問もあったけれど、幸せならいいの、幸せだったら。

　幸せだよ。だって願った通り恋人になれたから。


　──────────でも、
　これって魔女の力なのかもしれない……