第22話 新ロボの製作が始まる。ロス地区大会へ。

文字数 1,494文字

 ロボット研究サークルのメンバーが全員集合した。
 顧問のキャサリン、リコ、サヤカ、ミク、バラク、ジョージである。
 ロボットコンテストの地区予選は、ちょうど1ケ月後で、今日は「お題」が発表される日だ。
 ホームページに記載されたお題を見て、一同仰天。

<お題>
 2足歩行相撲ロボット
 土俵の大きさ、ルールは日本の大相撲と同じ。

「相撲って、なんなの?」

 キャサリン、バラク、ジョージは、全く知らないので、ミクがディスプレイに、大相撲中継のアーカイブを映した。

「キャー、この恥ずかしいかっこうは、何なのよ!」

 キャサリンは、最初は馴染めなかったが、徐々にお相撲さんの肉体に、好感を持ち始めた。

「この、ちょんまげがカッコいいわ。まわしもカラフルだし。この力士、毛深くて大好き」

 一方、バラクとジョージはグランドに線を引き、お相撲ごっこ遊びに夢中になった。

「はっきよーい、のこった!」 行司は、ミクである。

 アンコ型体系のジョージが、ぶちかまして張り手をして突っ張るが、土俵際で筋骨隆々のバラクに、うっちゃりをくらっていた。

「オーケー、うちのドスコイロボは、バラクの体形でいくわよ」

 2人の稽古を見たリコが、即決しバラクの体形は3Dスキャンされた。
 そしてロボの名前は、キャサリンにて『ドス恋ロボバラク』に決定し、エンジニアのジョージを中心に、製作が始まった。ジョージ、リコは、日本に居るアサミと何度もオンラインミーティングを行い、助言を求めた。
 一方、操縦者のバラクは、徹底的に大相撲の決まり手の研究を、ミク相手に行った。稽古相手になるようにミクは着ぐるみを着て、とことん投げられたので、さすがに音をあげ、ホームシックにかかってしまった。

「サヤカのワンコに会いたいよ~」

 サヤカは、バラクとジョージというイケメンのお世話を嬉々としてやっている。
 リコとキャサリンは、ライバル校の動静を探るべくリサーチすると、地区大会でのリコ達のライバルは、例のイケメン御曹司率いる隣町の高校以外は見当たらなかった。

『ドス恋ロボバラク』が完成したのは、地区大会の前日であった。

◇◇◇◇

 ロス地区大会でリコ率いるN校は快進撃である。ドス恋バラクの仕上がりは外見的にも素晴らしく、シルバーメタリックで曇り1つない磨きがかかった鏡面のボディーに、黄金のまわし、人口毛による見事な大イチョウで俊敏に動く姿は、名横綱千代の富士を思わせた。1回戦から準決勝まで、立ち合いの張り手1発で相手を倒した。

「やあ、キャサリン。久しぶりの出場にしては、凄いの持ってきたもんだ。でも、張り手とは、チャンピオンになるには品格がないね」

 これまた、決勝に進出した前年大会優勝K校の顧問であるトニー教諭が、挑発した。

「いいわ。決勝は張り手なしで勝ってやる。あんたこそ、卑怯な手を使うんじゃないわよ」

 これを聞いたリコとバラクは大慌てである。決勝の作戦は、立ち合い後左手で思いっきり張り手し、相手の上体が浮いたところを、両前まわしをおがみどりして、いっきに電車道を寄りで走り勝利、というものである。

「リコ、バラク、ごめん。お願い」

 トニーの挑発に乗ったキャサリンの、しくじりである。

 K校のロボットは、アンドレ・ザ・ジャイアン山という、身長も、体重もリミットギリギリである。力強いが動きがゆっくりで、ドス恋バラクとは対照的なあんこ型ロボ力士である。ボディー色はブラウンメタリックで、まわしはショッキングピンク。

 いよいよ決勝の時間。このロボコンは、ネット中継で配信され、日本ではアサミ、マコトが見守っている。
 土俵上には、行司役のレフェリーが現れた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み