第13話 リコの新しい友達シンジ

文字数 945文字

 放課後の実験準備室に、リコ達が集まっていた。
 オサムは、ロボット犬のミクとずっと対戦ゲームをやっている。実力伯仲である。アサミは、リコのラボで撮影してきた、発明品の写真をみながらニヤニヤしている。そこへ、サヤカが駆け込んできた。

「みんな、いいかな」

 オサム、アサミ、サヤカが、リコの発言に注目する。

「M高校ロボット研究同好会の第1回のミーティングを始めます」

「なにそれ。私、吹奏学部なんだけど」

「うん。サヤカは、兼部で、出れる時だけでいいから」

「みんなに来て貰ったのは、あと1人なんとか、ならないかっていう相談なんだ。いま4人だけど、5人になると、部を名乗れて、活動費もでるらしい」

 4人は、首をひねっている。

 その時、部屋のドアが開き、電動車椅子に乗った男子が現れた。
 リコ達と同クラスの、シンジである。手に真っ赤なバラの花束を握りしめている。

「おっどうした。告るのか?」 

 オサムがはやし立てるが、それを無視して部屋に入ってきた。

「わっわたし???」 といった、さやかをスルー。次は、リコ。

「違うのね。ちょっと残念だわ」 とリコ

 するとシンジの動きが止まった。アサミの前である。

「アサミさん、好きです。お付き合いしてください」

 と言って、薔薇の花束をアサミに差し出した。これには、コミュ障アサミが大混乱である。次の瞬間、脱兎のごとく部屋を出て行ってしまった。残されたシンジはがっくりとうなだれた。

「おい、どういうことか話を聞こう」とオサム。

 ある日、シンジは学校からの帰り道で、電動車椅子の調子が悪くなり立ち往生していた。通りがかったアサミが無言で車椅子の点検を始めた。そして、1箇所のナットの緩みを発見すると、胸の内ポケットから万能ナイフを取り出し、ナットの緩みを締め上げた。すると車椅子は、まったく元通りになったというのだ。この姿に、シンジはすっかり恋に落ちてしまった。

「シンジ君、アサミに対しては焦っちゃだめよ。まずは、近くにいることが大事なの。この部活に入るしかないわよね」

「そうかぁ。でも、僕、ロボットなんて判らないけど」

「絵が得意だったよね。ロボットのデザインをお願いするのは、どう?」

「そんなんでいいの?」

「じゃあ、きまりだね」

 かくしてM高校ロボット研究部が発足した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み