第19話 リコ、新天地へ
文字数 1,580文字
ロボットコンテストでの大騒動の結果、M高校ロボット研究部は、学校側からも、無期限の活動停止の処分が下された。
といっても、放課後になると、実験準備室にみんなでたむろっていた。そんなある日、まったりとしたメンバーの中に、サヤカが飛び込んできた。
「みんなビッグニュースだよ! またやれるんだよ! アメリカ西海岸、姉妹校、レター」
「さやか落ち着いて」
リコは、さやかから国際郵便の封筒を受け取った。和訳するとこんな内容である。
M高校ロボット研究部のみなさん
ロボットコンテストでの活躍、動画配信で観ました。素晴らしい!
我が校にも、同様のサークルがありますが、低迷しております。
そこで、提案ですが、我が校に1年間留学して、ロボットサークルを立て直ししてください。
渡米費用、滞在費用等、一切は、我が校が負担します。
ロサンゼルス N高 主任教諭 キャサリン
「凄いことだね。でも、俺は降りるよ。ゲームのワールドツアーに戻らなきゃ」 とオサム
「僕も、弁護士を目指すから、法学部への受験勉強をしないと」 とシンジ
「男子はだめか~ アサミはどうなの?」
「…………」
決勝戦であれだけの胆力を見せたのに、いまはすっかりモジモジしている。
「アサミは、行きたいんだよね?」 彼女の一番の理解者は、やはりリコである。
「じゃあ、ご家族に相談しておいてね」
アサミはうなずいた。
◇◇◇◇◇
リコは、帰宅するとさっそく母に留学のことを話した。母は、大反対したが、最終的には妥協した。条件付きOKである。その条件について話をしていると、お客さんが来た。アサミの祖父である。
「遅くにすまんのう」
「留学のことですか?」
「本人は、アンタと一緒に行きたいと、泣いて頼んできたんじゃが、だめなんじゃ。理由は2つあって、実はワシとアサミは、公安に目をつけられとるんじゃ」
「公安!」
「ロケットの部品を作っていることは、話したと思うが、その他にも、自衛隊の戦車や護衛艦の部品を扱っておるんじゃ」
そこまで聞いてリコは理解した。
「それで、もう1つというのは?」
「それはじゃな、アサミには言うつもりはないが、お前さんだけに言っておこう…………」
「そうだったんですか。判りました」
◇◇◇◇◇
羽田国際空港において
留学するのは、リコとサヤカの2人である。
「なんでアンタが来るのよ。まっ、いないよりマシか」
「リコ酷い! でもいいわ、私の目的はただ1つ。パツキンの彼氏ゲットだぜ」
実は、サヤカは吹奏楽部もあって、留学する気は全然なかったのだが、他のメンバーより、リコ1人では心配だから一緒に行ってくれ、と頼まれたのである。
「…………」
アサミは、目に涙をためてリコとの別れを惜しんだ。その時に1つの箱を渡した。メモには、次のように書いてある。
『護身用グッズです。ピンチになったら空けてください』
リコは、アサミを抱きしめた。
「あんた、もうわかったから」
サヤカのワンコがさやかから離れようとしない。
ミクが、その言葉を翻訳した。
「サヤカ、ずっとアサミに浮気していたことを、謝るよ。やっぱり僕には、サヤカ、君しかいない」
「この、スケベ浮気犬め!」
そういいながらも、さやかは、ワンコをきつく抱きしめ、最後のペロペロを受けて、搭乗口に向かった。
「僕は、追っかけていくよ」とミク。
ロボットの国外持ち出しの許可が、なかなか降りないのだ。
「2人の門出を祝して、万歳三唱じゃ!」
見送りにきた、アサミの祖父が音頭をとって、万歳三唱が行われた。
「いやだ、こんなところで、恥ずかしい…………」
そう言いながらも、涙をぬぐう、リコとサヤカであった
すこし離れた場所にて
「ターゲット 出国ゲートに入りました。引継ぎをお願いします」
サラリーマン風の男性が、何者かにリコとサヤカの出国を報告していた。
といっても、放課後になると、実験準備室にみんなでたむろっていた。そんなある日、まったりとしたメンバーの中に、サヤカが飛び込んできた。
「みんなビッグニュースだよ! またやれるんだよ! アメリカ西海岸、姉妹校、レター」
「さやか落ち着いて」
リコは、さやかから国際郵便の封筒を受け取った。和訳するとこんな内容である。
M高校ロボット研究部のみなさん
ロボットコンテストでの活躍、動画配信で観ました。素晴らしい!
我が校にも、同様のサークルがありますが、低迷しております。
そこで、提案ですが、我が校に1年間留学して、ロボットサークルを立て直ししてください。
渡米費用、滞在費用等、一切は、我が校が負担します。
ロサンゼルス N高 主任教諭 キャサリン
「凄いことだね。でも、俺は降りるよ。ゲームのワールドツアーに戻らなきゃ」 とオサム
「僕も、弁護士を目指すから、法学部への受験勉強をしないと」 とシンジ
「男子はだめか~ アサミはどうなの?」
「…………」
決勝戦であれだけの胆力を見せたのに、いまはすっかりモジモジしている。
「アサミは、行きたいんだよね?」 彼女の一番の理解者は、やはりリコである。
「じゃあ、ご家族に相談しておいてね」
アサミはうなずいた。
◇◇◇◇◇
リコは、帰宅するとさっそく母に留学のことを話した。母は、大反対したが、最終的には妥協した。条件付きOKである。その条件について話をしていると、お客さんが来た。アサミの祖父である。
「遅くにすまんのう」
「留学のことですか?」
「本人は、アンタと一緒に行きたいと、泣いて頼んできたんじゃが、だめなんじゃ。理由は2つあって、実はワシとアサミは、公安に目をつけられとるんじゃ」
「公安!」
「ロケットの部品を作っていることは、話したと思うが、その他にも、自衛隊の戦車や護衛艦の部品を扱っておるんじゃ」
そこまで聞いてリコは理解した。
「それで、もう1つというのは?」
「それはじゃな、アサミには言うつもりはないが、お前さんだけに言っておこう…………」
「そうだったんですか。判りました」
◇◇◇◇◇
羽田国際空港において
留学するのは、リコとサヤカの2人である。
「なんでアンタが来るのよ。まっ、いないよりマシか」
「リコ酷い! でもいいわ、私の目的はただ1つ。パツキンの彼氏ゲットだぜ」
実は、サヤカは吹奏楽部もあって、留学する気は全然なかったのだが、他のメンバーより、リコ1人では心配だから一緒に行ってくれ、と頼まれたのである。
「…………」
アサミは、目に涙をためてリコとの別れを惜しんだ。その時に1つの箱を渡した。メモには、次のように書いてある。
『護身用グッズです。ピンチになったら空けてください』
リコは、アサミを抱きしめた。
「あんた、もうわかったから」
サヤカのワンコがさやかから離れようとしない。
ミクが、その言葉を翻訳した。
「サヤカ、ずっとアサミに浮気していたことを、謝るよ。やっぱり僕には、サヤカ、君しかいない」
「この、スケベ浮気犬め!」
そういいながらも、さやかは、ワンコをきつく抱きしめ、最後のペロペロを受けて、搭乗口に向かった。
「僕は、追っかけていくよ」とミク。
ロボットの国外持ち出しの許可が、なかなか降りないのだ。
「2人の門出を祝して、万歳三唱じゃ!」
見送りにきた、アサミの祖父が音頭をとって、万歳三唱が行われた。
「いやだ、こんなところで、恥ずかしい…………」
そう言いながらも、涙をぬぐう、リコとサヤカであった
すこし離れた場所にて
「ターゲット 出国ゲートに入りました。引継ぎをお願いします」
サラリーマン風の男性が、何者かにリコとサヤカの出国を報告していた。