第23話 決戦 ドス恋バラク VS アンドレ・ザ・ジャイアン山

文字数 1,838文字

「レディーーーーー Go.!!!!!!」

 レフェリーの手が上がった。

「ごつん!!!」

 ドス恋バラク と アンドレ・ザ・ジャイアン山 の額と額がまともにぶつかる音がした。激しい指し手争いを経て、両者は土俵中央で、右よつのがっぷり状態となってしまった。キャサリンのしくじりで、張り手からの速攻プランが出来なったことが痛い。

「ファイト!」

 レフェリーの声にも両者は動かない、動かせない状態に陥った。3分経過し人間の大相撲では、水入りとなるが、ロボット同士ということで継続された。すると、ドス恋の背中から煙が出始めた。メカニックのジョージが叫ぶ。

「この力比べ状態は、まずい! オーバーヒートしてしまう。バラク、離れろ!」

 ドス恋は、なんとかジャイアン山の、まわしを切って離れた。それを追いかけるジャイアン山に土俵際まで押し込まれた。
 ドス恋は右上手の深いところをつかむと、渾身の上手出し投げを打つ!

「ずるずるずる」

 すると、あろうことかジャイアン山の、ショッキングピンクのまわしが外れ、その勢いでジャイアン山がクルクルと回転してしまう。

「いやん!」

 と言葉を発したのはキャサリンだが、リコとサヤカも顔を赤らめた。仁王立ちしたジャイアン山は、ショッキングピンクのまわしと前押さえが完全に外れ、一瞬秘部がまるだしになってしまったのだ。トニーの指示による操作で秘部には3次元モザイクがかけられた。

「 V A R 」 レフェリーが宣言した。

 審判団の協議は、長くかかったが、ようやく審判長がアナウンスする。

「只今の、協議の結果についてお知らせいたします。アンドレ・ザ・ジャイアン山の局部がまる見えになっており、アンドレ・ザ・ジャイアン山の『不浄負け』といたします」

 審判団の判定により勝利した、N高校メンバーは歓喜に沸いた。キャサリン、リコ、サヤカ、バラク、ジョージ、ミクが輪になって肩を組み、ジャンプする。場内の観客も大歓声で祝福した。

「キャサリン」

 その時、敗北したK高校の顧問教諭である、トニーが険しい表情で、キャサリンに近づいてきた。キャサリンに危害が及ばないか心配した、バラクとジョージはキャサリンの前に立ってガードする。

「2人とも、大丈夫よ」

 とキャサリンは、2人を下がらせる。するとトニーが真剣な表情で語り始めた。

「これまで、我々の学校法人Kと、君たちの学校法人Nは少子化での生き残りをかけて、様々なところで争ってきた。しかし、それも今日で終わりにしよう。我々が君たちの学校法人に吸収合併されるプランに、同意するよ」

 事の成り行きに驚くリコ達。すると、さらなる展開が。
 トニーは、キャサリンの足元に片膝をついて、四角い小箱をカパッと空けた。

「キャサリン、愛しているよ。僕と結婚してください」

 このサプライズに、キャサリンは号泣するも、しっかりと答えた。

「トニー、私も愛しているわ。私のダーリン。一瞬見えたあのお相撲ロボのあそこ、あなたのとまったく同じで、びっくりよ」

「なんで、それを知ってるかな!」 リコとサヤカは、同時に声をあげる。

 2人は、熱い抱擁と、何度も何度もディープキスを繰り返し、しまいにはトニーの手が、キャサリンのオシリに伸びようとするにいたって、リコ達が慌てて止めに入った。

「ごめんごめん。すっかり2人の世界に入って」

 キャサリンによると、それぞれの学校法人のトニーとキャサリンの家同士も犬猿の中であったが、ある教育のシンポジウムで顔を合わせた2人は、たちまち恋に落ちてステディな関係を結ぶに至った。トニーのプランは、2人の恋を成就させる唯一の方法のようだが、これから両親をはじめ、両家の関係者全員を説得させることは容易ではなく、2人はイバラの道を選んだのである。

 続いて行われた表彰式で、リコはトロフィーを授与された。その時、2階席に目が止まった。

(あれは、マコト君?)

 リコは、トロフィーをサヤカに放り投げて、2階席に走っていったが、探し人はもう居ない。その代わりに、会いたくない人物と遭遇してしまう。花形である。

「優勝おめでとう。ロボコンワールドシリーズで、対戦できることを楽しみにしているよ」

 そう言って花形は長い前髪をかき上げながら、去って行った。

「リコ、どうしたの?」 

「おさな馴染みのマコト君に似た人がいたのよ。探していたら、いやな奴に会っちゃったわ」

「花形のヤツ! 今度こそ息の根を止めてやるわ」

 リコとサヤカは、日本でのロボコンの雪辱を誓った。
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