第3話 リコの初恋
文字数 1,460文字
小学校1年生のリコは恋をした。お相手は同じクラスで学級委員長のマコト。机が隣り同士になった2人はすぐ仲良しになり、科学が大好きとういことでも意気投合していた。
リコはすっかりマコトに夢中だが、マコトの意中の人は他にいた。
「マコト君、先生のこと好きなんでしょ」
「なんだよリコ、いきなり」
「どこが好きなの?」
「先生のそばにいると、あま~い、いいにおいがするんだよ」
「なによそれ。マコト君のエッチ!」
リコはほっぺたを膨らませて不機嫌となった。
その日の夜、ヒミツ基地にて。リコは犬型ロボットのミクに、恋の悩みを打ち明けていた。
「リコ、それは2人の身体のにおいが混ざることで、特別な香水ができたんだよ」
「じゃあ、それをイジワルするにおいを作って、マコトくんにかけるのってどう?」
「博士は香水の研究もしていたから、ここで作れるよ。でも、それってホントいじわるだよね。いいの?」
「ノープロブレム、ノープロブレム」
リコは、F博士の口癖だったこの言葉をしたり顔で連呼した。
そして、ミクの指導の下、いろんな薬品をフラスコに入れ、アルコールランプで温めたり、マドラーで混ぜたりして目的の液体を作った。
「先生とマコト君とこの水がいっしょになると、ドブのような嫌~な匂いになるよ。ただし、きをつけることが1つある」
リコはミクの注意を最後まで聞かないで、学校に向かって駆けだしていた。
体育の授業でグランドに出たリコは、例の液体を入れた小瓶をポケットに忍ばせ、マコトの背後から近づいた。
(いまよ!)
小瓶のふたを開け、マコトの背中にふりかけようとしたその時、ドッジボールがリコの背中にぶつかり、ばったり倒れる。そして、液体はリコの体育衣にかかってしまった。
「あいたた……」
するとリコをめがけてカラスが集まってきた。10数羽ものカラスが体育衣をくちばしでつついた。
「痛い! 誰か助けて!」
「リコ!」
マコトがリコとカラスの間にはいり必死で追い払った。
リコとマコトは医務室でカラスにつつかれ出血したところの治療を受けていた。
「どうして、カラスが攻撃してきたんだろう?」
あとでミクに聞いたところ、あの液体は女の子の匂いと混ざると、カラスやハトの大好きな臭いになるとのこと。リコは本当のことをマコトに伝えらえない。
「マコト君、ワタシを守ってくれてありがとね」
少し頬を染めたマコトは、視線をはずして、ぶっきらぼうな口調で言った。
「そんな、とうぜんだよ。リコは僕の一番の友達だから。さあ、教室に戻ろう」
さっさと歩いていくマコトを追いかけるリコ。
「まってよ!」
(やっぱりマコト君大好き!)
マコトとの距離が縮まってウキウキのリコであったが、2人の別れはある日突然やってきた。
月曜日に登校すると、先生からマコトの転校が告げられた。別れも告げず行先も教えられなかったのは、父親のDVから逃れるためであったが、なにも知らないリコは悲しみに暮れた。
(マコト君、どうしてなにもいわずにいっちゃったの? リコが一番の友達だって言ってたのに)
リコは日記にそう書きながら、学習机に突っ伏して眠ってしまった。日記の文字は涙と鼻水で読めなくなっている。
「あら、リコったら風邪ひいちゃうわよ」
リコの母親は、まったく起きないリコを抱きかかえベッドに横たえた。
枕元には、亡きF博士と3人で写した最後のスナップ写真が飾られている。
「あなた、リコは健やかに育ってますよ。今回のことでも、多くのことを学んだことでしょう」
写真の中のF博士に語りかけ、涙をぬぐった。
リコはすっかりマコトに夢中だが、マコトの意中の人は他にいた。
「マコト君、先生のこと好きなんでしょ」
「なんだよリコ、いきなり」
「どこが好きなの?」
「先生のそばにいると、あま~い、いいにおいがするんだよ」
「なによそれ。マコト君のエッチ!」
リコはほっぺたを膨らませて不機嫌となった。
その日の夜、ヒミツ基地にて。リコは犬型ロボットのミクに、恋の悩みを打ち明けていた。
「リコ、それは2人の身体のにおいが混ざることで、特別な香水ができたんだよ」
「じゃあ、それをイジワルするにおいを作って、マコトくんにかけるのってどう?」
「博士は香水の研究もしていたから、ここで作れるよ。でも、それってホントいじわるだよね。いいの?」
「ノープロブレム、ノープロブレム」
リコは、F博士の口癖だったこの言葉をしたり顔で連呼した。
そして、ミクの指導の下、いろんな薬品をフラスコに入れ、アルコールランプで温めたり、マドラーで混ぜたりして目的の液体を作った。
「先生とマコト君とこの水がいっしょになると、ドブのような嫌~な匂いになるよ。ただし、きをつけることが1つある」
リコはミクの注意を最後まで聞かないで、学校に向かって駆けだしていた。
体育の授業でグランドに出たリコは、例の液体を入れた小瓶をポケットに忍ばせ、マコトの背後から近づいた。
(いまよ!)
小瓶のふたを開け、マコトの背中にふりかけようとしたその時、ドッジボールがリコの背中にぶつかり、ばったり倒れる。そして、液体はリコの体育衣にかかってしまった。
「あいたた……」
するとリコをめがけてカラスが集まってきた。10数羽ものカラスが体育衣をくちばしでつついた。
「痛い! 誰か助けて!」
「リコ!」
マコトがリコとカラスの間にはいり必死で追い払った。
リコとマコトは医務室でカラスにつつかれ出血したところの治療を受けていた。
「どうして、カラスが攻撃してきたんだろう?」
あとでミクに聞いたところ、あの液体は女の子の匂いと混ざると、カラスやハトの大好きな臭いになるとのこと。リコは本当のことをマコトに伝えらえない。
「マコト君、ワタシを守ってくれてありがとね」
少し頬を染めたマコトは、視線をはずして、ぶっきらぼうな口調で言った。
「そんな、とうぜんだよ。リコは僕の一番の友達だから。さあ、教室に戻ろう」
さっさと歩いていくマコトを追いかけるリコ。
「まってよ!」
(やっぱりマコト君大好き!)
マコトとの距離が縮まってウキウキのリコであったが、2人の別れはある日突然やってきた。
月曜日に登校すると、先生からマコトの転校が告げられた。別れも告げず行先も教えられなかったのは、父親のDVから逃れるためであったが、なにも知らないリコは悲しみに暮れた。
(マコト君、どうしてなにもいわずにいっちゃったの? リコが一番の友達だって言ってたのに)
リコは日記にそう書きながら、学習机に突っ伏して眠ってしまった。日記の文字は涙と鼻水で読めなくなっている。
「あら、リコったら風邪ひいちゃうわよ」
リコの母親は、まったく起きないリコを抱きかかえベッドに横たえた。
枕元には、亡きF博士と3人で写した最後のスナップ写真が飾られている。
「あなた、リコは健やかに育ってますよ。今回のことでも、多くのことを学んだことでしょう」
写真の中のF博士に語りかけ、涙をぬぐった。