第21話 ハイスクールリコ、サークルメンバーの選抜

文字数 1,518文字

 リコとサヤカが留学したハイスクールには、日本語学級クラスがあったので、そこに席を置くことになった。ただし、授業は全て英語である。初日の授業は、まったくチンプンカンプンだった。ようやく放課後になる。

「ロボットサークルってどこにあるの?」

 クラスメイトの何人かに聞いたが、みんな首を傾げるばかり。

「ハーイ リコ、サヤカ!」

 その時、とびきりイケてるパツ金のお姉さんが教室に入ってきた。

「はじめまして。キャサリンよ。さあ、部室にレッツゴー!」

 リコとサヤカは、キャサリンの後について行く。校舎の屋上に出た。

「さあ、ここよ。自由に使ってね」

 そこは、なんとプレハブ小屋なのであった。中はがらんどうである。

「そういえば、荷物が届いてたわよ」

「ああ、窮屈だった」 梱包を自ら解いて出てきたのは、ロボット犬のミク。

「キャサリン先生、他の部員は?」

「ナッシング。まだ私たちだけよ」

 リコは、しっかりとしたリサーチをしないでノコノコ、ロスくんだりまで来てしまった自分を、呪った。 

 ◇◇◇◇

 翌朝キャサリンは、タブレット端末をリコとサヤカに渡した。

「ついさっき、ロボットサークル員募集をかけたから、エントリーされるはずよ。選択しといてね。じゃ、今夜もパーティーがあるから、お先に」

 お色気ムンムンでボインちゃんのキャサリンが、香水の香りを残して、帰っていった。

「リコ、応募がいっぱい入っているわ。それも、イケメンばっかり!」

「この募集要項変だわ…………ロボットサークルメンバー募集、長身のイケメン男子。奨学金、大学推薦入学等優遇措置あり だって。ミク、キャサリンって何者?」

「キャサリンは、このハイスクールや、大学、専門学校、予備校も含めた学校法人の創設者である理事長の1人娘で、当ハイスクールの主任教諭。30歳独身スリーサイズは…」

「それはいいわ。ロボットサークル再生の目的は?」

「アメリカも、少子化で生徒の取り合い状態。とくに、この地区には、ライバル校があり、前年ロボコン全米大会で優勝して、入学希望者を増やした。担当の教諭はトニーといって、向こうの学校法人の御曹司。キャサリンにとっては因縁の相手。以上だよ」

「キャサリンとトニーの因縁とは何?」

「詳細情報なし」

「そうかー。まず、この募集要項を変更しないと。サヤカ、聞いてるの?」

「リコ、素敵な男子ばっかり。ワタシの好みとしては、ジョージとバラクね」

「サヤカ!!!」

 リコの大きな声にビックリするサヤカ。

「ねえ、リコ。メンバーの募集要項変更するのよそう」

「だめよ。絶対やり直し」

 さやかは、困った顔になった。その時、屋上のドアが開いて、2人組の男の子がやってきた。2人は、バスケットボールをパスしながら、ブレイクダンスを見事に踊り、リコとサヤカの目の前で、ポーズを決めた。

「へい! サヤカ、リコ。ヨロシク!」

「リコ、ごめんね。バラクとジョージ。もう呼んでたの」

「サヤカのバカタレ! じゃあ、2人の適性を見るわよ」

 まず、シューティングゲームでリコとバラクが対戦すると、バラクが圧勝。そこで、ミクと対戦すると、いい勝負になるものの、ミクの勝利。

「オサム? オー マイフレンド」

「バラク、それ、早く言ってよ」

 一方、

「アサミ? オー マイフレンド」

「ジョージ、それ、早く言ってよ」

 オサムとバラクは、ネット対戦ゲームでのライバルで、ネット上では旧知の間柄、アサミとジョージは、姉妹校でのメカニックオタクとして、ネット上で旧知の間柄なのであった。オサムとアサミは、リコ達の渡米に合わせて、協力してくれるように、依頼をしていたのだが、ちょっと意地悪くサプライズを仕掛けたのは、外ならぬキャサリンなのだった。
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