第9話
文字数 743文字
☆
「空美野天満宮の天神祭には、ほかの多くの祭りと同じく、宵宮と本宮があるのだ。太鼓、獅子舞などの宵宮と、映る篝火や提灯灯り、花火などを行う本宮があるのだぁ。宵宮は、街の要人が集まって無病息災を祝う」
「詳しいですね、コノコ姉さん」
「家のある同じ坂道の天辺の天満宮で行うのだ、知らない方がおかしいのだ」
「なるほど」
「宵宮は、年に一度選ばれる子供が素木の神鉾を天満宮に捧げることから、宵宮祭が斎行されるのだ」
「へぇ。知らなかったですぅ」
「祭りは、もうすぐなのだぁ!」
「ヒャッハー!」
「東風吹かば、にほひおこせよ梅の花。主なしとて春を忘るな」
「誰の和歌ですかぁ?」
「菅原道真、拾遺和歌集より、なのだ」
「よくすらすら出てきましたねぇ―」
「たまには格好つけたいのだ」
「わたしの前だからってことですかぁ。いやん」
「と、いうことで、仕事なのだ! さぁ、ビール瓶ケース運ぶのだー」
「うひー」
今日も朽葉珈琲店は大にぎわい。
それはこの店がある空美坂が喫茶店の有名店がひしめく場所であり、そして、その坂をのぼると、観光地になっている異人館街があるからだ。
観光客も、常連さんも、朽葉珈琲店に訪れる。
毎日大忙しだ。
うーむ、それにしてもコールドスリープ病棟……空美野研究所、に〈ディスオーダー〉。
考えないとならないことがたくさん出来た。
「ほら、ビールケース運んだら次はシンクの洗い物して、時間が出来たらトレンチを持って接客なのだー」
「はいー! 佐原メダカ、頑張りますっ!」
夜八時まで働いて、店はクローズした。
クローズ作業は店主であるコノコ姉さんのお母さんがやるので、わたしたちに自由時間が訪れる。
「抹茶ラテを買いにコンビニ行くついでに、空美野天満宮へ行ってみるのだ」
「そうしましょう、姉さん!」
「空美野天満宮の天神祭には、ほかの多くの祭りと同じく、宵宮と本宮があるのだ。太鼓、獅子舞などの宵宮と、映る篝火や提灯灯り、花火などを行う本宮があるのだぁ。宵宮は、街の要人が集まって無病息災を祝う」
「詳しいですね、コノコ姉さん」
「家のある同じ坂道の天辺の天満宮で行うのだ、知らない方がおかしいのだ」
「なるほど」
「宵宮は、年に一度選ばれる子供が素木の神鉾を天満宮に捧げることから、宵宮祭が斎行されるのだ」
「へぇ。知らなかったですぅ」
「祭りは、もうすぐなのだぁ!」
「ヒャッハー!」
「東風吹かば、にほひおこせよ梅の花。主なしとて春を忘るな」
「誰の和歌ですかぁ?」
「菅原道真、拾遺和歌集より、なのだ」
「よくすらすら出てきましたねぇ―」
「たまには格好つけたいのだ」
「わたしの前だからってことですかぁ。いやん」
「と、いうことで、仕事なのだ! さぁ、ビール瓶ケース運ぶのだー」
「うひー」
今日も朽葉珈琲店は大にぎわい。
それはこの店がある空美坂が喫茶店の有名店がひしめく場所であり、そして、その坂をのぼると、観光地になっている異人館街があるからだ。
観光客も、常連さんも、朽葉珈琲店に訪れる。
毎日大忙しだ。
うーむ、それにしてもコールドスリープ病棟……空美野研究所、に〈ディスオーダー〉。
考えないとならないことがたくさん出来た。
「ほら、ビールケース運んだら次はシンクの洗い物して、時間が出来たらトレンチを持って接客なのだー」
「はいー! 佐原メダカ、頑張りますっ!」
夜八時まで働いて、店はクローズした。
クローズ作業は店主であるコノコ姉さんのお母さんがやるので、わたしたちに自由時間が訪れる。
「抹茶ラテを買いにコンビニ行くついでに、空美野天満宮へ行ってみるのだ」
「そうしましょう、姉さん!」