第24話
文字数 1,335文字
☆
「じゃあ、あなただけでも石化しなさい、金糸雀ラズリッッッ」
名前を呼ばれて、思わず御陵生徒会長の方に振り返ってしまったラズリちゃん。
「その瞳を見ちゃダメ! ラズリちゃんッッッ」
今度は、わたしが叫ぶ番だった。
御陵生徒会長とラズリちゃんの目と目が合う。
きゅいーん、という機械音のようなものがして、ラズリちゃんの足が銅になった。
そのまま、侵食されるように、足下から銅になる部分が増え、せり上がっていく。
「ラズリちゃんッッッ」
わたしは叫んだ!
叫んだって、どうにもならないのに。
ラズリちゃんの身体は銅像になってしまった。
「ああ、……ラズリちゃん。そんな」
涙が床にこぼれ落ちる。
わたしが下を向いて泣いていると、カメラのフラッシュのような閃光。
目をつむるわたし。
「大丈夫でしてよ、この阿呆のメダカ。そう簡単に涙は流すものじゃなくてよ」
顔を上げる。
わたしに声をかけたのは、銅像になったはずのラズリちゃんだった。
光ると、銅が弾けて戻った、ということなのか。
「え? でも? どういうこと……なの?」
くすくす笑うラズリちゃん。
「今日、午後の授業が始まる前、お昼休みが終わる頃、ふらふらの疲れた顔を隠せないままでわたしがあなたとコノコお姉さまのところにやってきたでしょ。そして、わたしはお姉さまに〈ディスオーダーで捜査の協力をお願いした〉のは覚えていて?」
「あ! っていうことは!」
「夜になっても元気だったでしょ。つまりね、協力とは、コノコお姉さまのディスオーダー〈目覚めの珈琲〉を飲ませていただいたということなのでしてよ」
「ドーピング! ドーピングですぅ!」
「人聞きの悪いことは言わないでね、この阿呆は。……そういうわけで、今のわたしは元気だし、涙子お姉さまと同様に、ディペンデンシー・アディクトは効きませんの」
さて、とコノコ姉さんは言う。
「お縄を頂戴、なのだ、御陵ちゃん」
床を鳴らす、複数の足音が近づいてくる。
コノコ姉さんは、
「もちろん、御陵ちゃんも捜査線上に上がっていた人物のひとりだったのだ。そういうわけで、対異能特殊部隊がやってくるのだ」
「教師どももためらっていたけど……あなたが呼んだのね、朽葉コノコ」
「そうなのだ、御陵生徒会長」
「対異能特殊部隊って、なんですかぁ」
「そのままの意味でしてよ。特別司法警察職員の一種ね」
と、ラズリちゃん。
「とくべつしほ……えーっと、どういうもので?」
「はぁ。警察官を一般司法警察職員と呼ぶの。その、一般司法警察職員ではないけれど、特定の法律違反について刑事訴訟法に基づく犯罪捜査を行う権限が特別に与えられた一部の職員のことを、特別司法警察職員と呼ぶ。……要するに、合法的に刑務所にぶち込むことの出来る奴らでしてよ」
そこにコノコ姉さん。
「空美野学園の卒業生でもあるのだ。異能力のエキスパートなのだ」
話していると、対異能特殊部隊が到着する。
「ご無事でしたか、お嬢様!」
部隊員が、涙子ちゃんに言う。
無言で頷く涙子ちゃんは、椅子から立ち上がって背伸びする。
「くっだらねぇ。あたしたちも早く帰ろうぜ」
涙子ちゃんはそう吐き捨てるように言う。
こうして、御陵生徒会長とぜぶらちゃんは捕まることになったのでした。
「じゃあ、あなただけでも石化しなさい、金糸雀ラズリッッッ」
名前を呼ばれて、思わず御陵生徒会長の方に振り返ってしまったラズリちゃん。
「その瞳を見ちゃダメ! ラズリちゃんッッッ」
今度は、わたしが叫ぶ番だった。
御陵生徒会長とラズリちゃんの目と目が合う。
きゅいーん、という機械音のようなものがして、ラズリちゃんの足が銅になった。
そのまま、侵食されるように、足下から銅になる部分が増え、せり上がっていく。
「ラズリちゃんッッッ」
わたしは叫んだ!
叫んだって、どうにもならないのに。
ラズリちゃんの身体は銅像になってしまった。
「ああ、……ラズリちゃん。そんな」
涙が床にこぼれ落ちる。
わたしが下を向いて泣いていると、カメラのフラッシュのような閃光。
目をつむるわたし。
「大丈夫でしてよ、この阿呆のメダカ。そう簡単に涙は流すものじゃなくてよ」
顔を上げる。
わたしに声をかけたのは、銅像になったはずのラズリちゃんだった。
光ると、銅が弾けて戻った、ということなのか。
「え? でも? どういうこと……なの?」
くすくす笑うラズリちゃん。
「今日、午後の授業が始まる前、お昼休みが終わる頃、ふらふらの疲れた顔を隠せないままでわたしがあなたとコノコお姉さまのところにやってきたでしょ。そして、わたしはお姉さまに〈ディスオーダーで捜査の協力をお願いした〉のは覚えていて?」
「あ! っていうことは!」
「夜になっても元気だったでしょ。つまりね、協力とは、コノコお姉さまのディスオーダー〈目覚めの珈琲〉を飲ませていただいたということなのでしてよ」
「ドーピング! ドーピングですぅ!」
「人聞きの悪いことは言わないでね、この阿呆は。……そういうわけで、今のわたしは元気だし、涙子お姉さまと同様に、ディペンデンシー・アディクトは効きませんの」
さて、とコノコ姉さんは言う。
「お縄を頂戴、なのだ、御陵ちゃん」
床を鳴らす、複数の足音が近づいてくる。
コノコ姉さんは、
「もちろん、御陵ちゃんも捜査線上に上がっていた人物のひとりだったのだ。そういうわけで、対異能特殊部隊がやってくるのだ」
「教師どももためらっていたけど……あなたが呼んだのね、朽葉コノコ」
「そうなのだ、御陵生徒会長」
「対異能特殊部隊って、なんですかぁ」
「そのままの意味でしてよ。特別司法警察職員の一種ね」
と、ラズリちゃん。
「とくべつしほ……えーっと、どういうもので?」
「はぁ。警察官を一般司法警察職員と呼ぶの。その、一般司法警察職員ではないけれど、特定の法律違反について刑事訴訟法に基づく犯罪捜査を行う権限が特別に与えられた一部の職員のことを、特別司法警察職員と呼ぶ。……要するに、合法的に刑務所にぶち込むことの出来る奴らでしてよ」
そこにコノコ姉さん。
「空美野学園の卒業生でもあるのだ。異能力のエキスパートなのだ」
話していると、対異能特殊部隊が到着する。
「ご無事でしたか、お嬢様!」
部隊員が、涙子ちゃんに言う。
無言で頷く涙子ちゃんは、椅子から立ち上がって背伸びする。
「くっだらねぇ。あたしたちも早く帰ろうぜ」
涙子ちゃんはそう吐き捨てるように言う。
こうして、御陵生徒会長とぜぶらちゃんは捕まることになったのでした。