第2話
文字数 991文字
☆
「メダカちゃん! 起きるのだぁー!」
わたしのかけ布団を強引にはぎ取って、横っ腹に蹴りを容赦なく入れてきたこのひとは、ここ、朽葉珈琲店の店主の娘、朽葉コノコ姉さんだ。
「ぐへぇうぅッッッ!」
蹴りを入れられ息を漏らして悶絶するわたし、佐原メダカはこの朽葉珈琲店の二階の一室を間借りして絶賛居候中の身。
コノコ姉さんが叫ぶ。
「学園に行くのが遅れるのだ! 急いでトーストを口にくわえて学園へ走っていくのだ!」
「え〜? なんですぅ、その漫画みたいな奴は〜?」
目をこするわたし。
「わたしは先に向かうのだ。あと、全裸で眠らない方がいいのだ!」
「はい? え? きゃっ! 見ないでください、コノコ姉さん! このえっちぃ!」
どうやらわたしは全裸で眠っていたらしい。
思わず手で胸を隠す。
「そういうところが遥か古代の洞窟の壁画に描かれている日本の漫画みたいだ、と言っているのだぁ!」
「そ、そんな昔から日本には漫画文化がッッッ?」
「嘘なのだ!」
「なんだぁ、いつもの姉さんの嘘かぁ! てへっ」
「舌を出しててへっ、と言っているのがもう漫画だし、全裸だから丸見えなのだ! ちょっとは恥じらいを持つのだぁ!」
「きゃー! っていうか、ヘンタイさんの姉さんに言われたくないですぅ!」
「いいから服を着て学園へ向かうのだ」
「もう、わかりましたよぉ」
そこまで言うと、階段をダッシュして降りて、コノコ姉さんは家である珈琲店を出ていった。
わたしはのそのそと起き上がってあくびをしてから、下着をつけて制服を着た。
階段を降りて、洗面所で顔を洗って、支度を始める。
「あー、そう言えばわたし、ウェブ日記を書いていたんだっけ……。そのまま寝ちゃって」
わたしは成瀬川るるせというペンネームで小説を書いているウェブ作家だ。
男性ということになっているが、本当は女子高生だ。
成瀬川るるせの正体が女子高生だとは誰も気付くまい、ふっふっふっ。
わたしは、私立空美野学園高等部一年、佐原メダカ。
この空美野市の北に位置する空美坂をのぼる途中に点在する珈琲店のひとつ、朽葉珈琲店で間借りして住む、普通の女子高校生。
「んん〜。さぁ、今日も一日頑張りますかぁ!」
コノコ姉さんに言われた通り、トーストを齧りながら、学園へと向かう。
いつもの風景。
いざ、坂を下って西にある、空美野学園に、この佐原メダカ、今日も元気に行ってきますぅ!
「メダカちゃん! 起きるのだぁー!」
わたしのかけ布団を強引にはぎ取って、横っ腹に蹴りを容赦なく入れてきたこのひとは、ここ、朽葉珈琲店の店主の娘、朽葉コノコ姉さんだ。
「ぐへぇうぅッッッ!」
蹴りを入れられ息を漏らして悶絶するわたし、佐原メダカはこの朽葉珈琲店の二階の一室を間借りして絶賛居候中の身。
コノコ姉さんが叫ぶ。
「学園に行くのが遅れるのだ! 急いでトーストを口にくわえて学園へ走っていくのだ!」
「え〜? なんですぅ、その漫画みたいな奴は〜?」
目をこするわたし。
「わたしは先に向かうのだ。あと、全裸で眠らない方がいいのだ!」
「はい? え? きゃっ! 見ないでください、コノコ姉さん! このえっちぃ!」
どうやらわたしは全裸で眠っていたらしい。
思わず手で胸を隠す。
「そういうところが遥か古代の洞窟の壁画に描かれている日本の漫画みたいだ、と言っているのだぁ!」
「そ、そんな昔から日本には漫画文化がッッッ?」
「嘘なのだ!」
「なんだぁ、いつもの姉さんの嘘かぁ! てへっ」
「舌を出しててへっ、と言っているのがもう漫画だし、全裸だから丸見えなのだ! ちょっとは恥じらいを持つのだぁ!」
「きゃー! っていうか、ヘンタイさんの姉さんに言われたくないですぅ!」
「いいから服を着て学園へ向かうのだ」
「もう、わかりましたよぉ」
そこまで言うと、階段をダッシュして降りて、コノコ姉さんは家である珈琲店を出ていった。
わたしはのそのそと起き上がってあくびをしてから、下着をつけて制服を着た。
階段を降りて、洗面所で顔を洗って、支度を始める。
「あー、そう言えばわたし、ウェブ日記を書いていたんだっけ……。そのまま寝ちゃって」
わたしは成瀬川るるせというペンネームで小説を書いているウェブ作家だ。
男性ということになっているが、本当は女子高生だ。
成瀬川るるせの正体が女子高生だとは誰も気付くまい、ふっふっふっ。
わたしは、私立空美野学園高等部一年、佐原メダカ。
この空美野市の北に位置する空美坂をのぼる途中に点在する珈琲店のひとつ、朽葉珈琲店で間借りして住む、普通の女子高校生。
「んん〜。さぁ、今日も一日頑張りますかぁ!」
コノコ姉さんに言われた通り、トーストを齧りながら、学園へと向かう。
いつもの風景。
いざ、坂を下って西にある、空美野学園に、この佐原メダカ、今日も元気に行ってきますぅ!