待雪草 1 (6)
文字数 310文字
「今、履歴書を持ってる?」
奏凪は肩にさげていたカバンから紙切れを出した。
矩は受け取りながら、白々とした紙面を眺める。
奏凪の履歴書を見て、のぞむとの差を実感した。都内の有名大学卒で、幼い頃から習い事をたくさんしてきたのぞむとは大違いだった。
奏凪は中学生になってから桂木家の籍に入ったから、のぞむと違うのは当然だが、姉妹なのにと思わざるをえない。
それは奏凪の両親ものぞむも、誰一人として奏凪を気づかう者がいなかったからだ。
うつむいてしまう奏凪を見下ろしながら、矩の胸は疼いた。
「これ、預かるね。明日上司に見せるよ。それから連絡する」
奏凪は顔を上げた。しばらく何かを迷っているようだったが、黙って深く頭を下げた。
奏凪は肩にさげていたカバンから紙切れを出した。
矩は受け取りながら、白々とした紙面を眺める。
奏凪の履歴書を見て、のぞむとの差を実感した。都内の有名大学卒で、幼い頃から習い事をたくさんしてきたのぞむとは大違いだった。
奏凪は中学生になってから桂木家の籍に入ったから、のぞむと違うのは当然だが、姉妹なのにと思わざるをえない。
それは奏凪の両親ものぞむも、誰一人として奏凪を気づかう者がいなかったからだ。
うつむいてしまう奏凪を見下ろしながら、矩の胸は疼いた。
「これ、預かるね。明日上司に見せるよ。それから連絡する」
奏凪は顔を上げた。しばらく何かを迷っているようだったが、黙って深く頭を下げた。