虫すだく 6 (3)
文字数 278文字
奏凪の返事を待たず、のぞむはスマホを手離した。
ぽちゃんと、まっすぐ湯の中に落ちる。
奏凪はあわてて浴槽から飛び出した。
裸のまま、自分の部屋に逃げ込んだ。ぜいぜいと、肩で息をする。
胸の心臓の辺りの筋肉がつっぱり、ヒクヒクと痛んだ。骨ばった右手で、胸の辺りの肉をギュッとつかんだ。
「水びたしじゃない……」
のぞむはつぶやく。
奏凪が逃げ出した後は、奏凪が落としていった滴でぬれていた。
のぞむは湯の中からスマホを拾い上げた。
のぞむは感電などしなかった。
それは昔使っていた壊れた携帯電話で、バッテリーに充電もされなくなって久しいただのガラクタだった。
ぽちゃんと、まっすぐ湯の中に落ちる。
奏凪はあわてて浴槽から飛び出した。
裸のまま、自分の部屋に逃げ込んだ。ぜいぜいと、肩で息をする。
胸の心臓の辺りの筋肉がつっぱり、ヒクヒクと痛んだ。骨ばった右手で、胸の辺りの肉をギュッとつかんだ。
「水びたしじゃない……」
のぞむはつぶやく。
奏凪が逃げ出した後は、奏凪が落としていった滴でぬれていた。
のぞむは湯の中からスマホを拾い上げた。
のぞむは感電などしなかった。
それは昔使っていた壊れた携帯電話で、バッテリーに充電もされなくなって久しいただのガラクタだった。