研究所に響く銃声 1 研究所のメンバー
文字数 1,376文字
古来、人は人を殺してきた。破壊衝動が国家レベルになると、戦争が生じる。思うに人を殺したいという欲望は、多かれ少なかれ、誰もが経験するものかもしれない。
しかし、平和主義者として知られる人たちがいるのもたしかなことで、兵役拒否などという行為は、平和を望む心の現れかもしれない。思うに、人間には人を傷つけたいと思う性質と人を傷つけたくないと思う性質があって、何らかの条件により、そのどちらかが強く出てくるのではないか。
どのような条件で、人は殺人衝動を感じるのだろうか。ここは、そのような殺人の衝動を追究する国の研究所。平時であれば殺人はゆるされない。しかし、戦時となると、国としては敵対勢力の兵士を殺すことが要求される。この研究所を設立した国家としては、戦時動員に備え、殺人の抵抗を低め、殺人衝動を高める方法を把握する必要を感じていたのである。
何事もなければいいですけど、科学者の好奇心というのは必ずしも善意とともに生じるものではありません。ただ純粋に何が起こるか知りたい、試してみたいという好奇心が破滅的な事態を招くことも十分考えられますね。