積読本

文字数 988文字

 著名人が一万もらったら、どんな本を買うのか。これを企画し動画をつくっている人たちがいる。ぼくが見たのは、野田クリスタルという芸人が好きな本を買う動画だった。

 いろいろな本が紹介されていたけれど、ぼくが気になったのは安部公房の『砂の女』、『箱男』、それと又吉直樹の『火花』という作品だった。

 安部公房はカフカから影響を受けているらしいのだが、ぼくはまだ『変身』すら読めないでいる。いや本は持っているのだけれど。しかも2、3冊・・・。いや、『変身』は読もうとしたことがあった。グレゴール・ザムザが虫に変身している冒頭の描写ぐらいは読んだ。でも、それ以降の物語を読んでいない。実存主義文学、あるいは不条理文学を読みなれていない、というか抵抗感があるせいかもしれない。「断食芸人」は読んだ記憶があるのだが、食わず嫌いなのだろうか。

 不条理文学といえば、カミュの『ペスト』も気になってはいるけれども、なぜか読んでいない作品だ。幸い、カミュに詳しいおじさんが最後まで読んでもらえるように翻訳した本があるらしいので、ついでにこれも読んでみたい。『異邦人』が積読になっているのは言うまでもない。いや、これは比喩で書棚には飾ってある。インテリアと化して。

 又吉直樹の『火花』を読めていないのは謎だ。きっとすらすら読める作品なのに。芥川賞をとった作品だから、きっと短編ですぐ読めるはずなのに。芥川賞といえば、西村賢太の『苦役列車』も、綿矢りさの『蹴りたい背中』も、金原ひとみの『蛇にピアス』も読んでいない。いや、これらは部屋にはある。『苦役列車』が全文掲載された文藝春秋、『蹴りたい背中』、『蛇にピアス』の単行本をもっているのはまちがいない。ただ作者には申し訳ないが、室内装飾品になっている。何たる怠慢・・。

 又吉は芸人だが、紗倉まなというえっちなおねえさんが書いた小説も気になる。野間うんたら賞の候補になった作品より、『最低。』という、教科書に掲載されることは絶対ないであろうデビュー作のほうが気になる。アマゾンレビューだと、期待外れ、ありがちな設定、ゴーストライターが書いているなどなど、好き勝手な評価が目につく作品のほうが気になる。

 それにしても、気になりながらも敬遠していた安部公房の本が面白かったと言われると、その本に対する読書欲がわいてくるのは不思議な感じがする。戯曲も読もうかな。

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