海の息吹 ダイバシティ

文字数 556文字

洗面所の化粧台に並んでいる、七色のボトル。
それを見ると時代は変わったと思う。

私が小娘だったころのシーブリーズは・・・
それは白いボトルにヨットのマークの一択。
学校では誰も彼もが、その爽やかな香りを纏っていた。

着替え途中の明日香が洗面所に割り込んでくる。
「ふがふがふが!(ちょっと、ママが歯を磨いてるんだけど!)」
「悪い、あたし、急いでるんで。」

制服のスカートにブラ姿。
「ふがふが!(はしたない!)」
「家の中じゃん!」

私の小言を尻目に、娘は指さしながらカラフルなボトルの品定めを始める。

フローズンミント
ポッピンフラワー
スプラッシュマリン
シトラスシャーベット
フレッシュサボン
クリアボタニカル
サマーアイスティー

「よし、今日はこれで決まり。」
明日香が選んだのは、サマーアイスティーだった。

「ふがふが(何でそれ?)」
「うっさいなー、どうでもいいじゃない。」
そう言いながらボトルの蓋を開け、爽やかのモトを手に取り、ピタピタとつける。

私は知っているぞ。
ボーイフレンドのユウイチ君と放課後デートの時は、必ずそれを選ぶって。
だから、サマーアイスティーのボトルの減りが早い。

「ふがふがふがふが!(それが空っぽになる前に、うまく行くといいね!」
「ママ! 余計なお世話!」

翌週から。
シトラスシャーベットのボトルの中身が減り始めた。

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