そこで吟じますか

文字数 244文字

見計らったかのように、下校時の急な雨。

僕は、下駄箱前で佇んでいる彼女に傘を差しだす。
「ありがとう・・・」

二人並んで帰ろうとすると。
「ごめん、一緒には帰れないの。」

そうか、と。僕は傘を預ける。
遠慮がちにそれを受け取る彼女。

傘無し。独りぼっちの僕。
降られて、振られる。

と、背後にクックックッと笑いを堪える声。

おひとよし。
フラレあにきの、
いいところ。

妹はそう吟じると、折り畳み傘を僕に放り投げた。
それを有難く受け取り、傘を広げる。
すかざず、妹は傘の下に入り、僕の腕をとる。

そして、同じ家に帰る。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み