ワクワク半ドン

文字数 634文字

「母さん、ただいまー!」
「お帰り、サトシ。ちゃんと手を洗いなよ。」
「わかったー。」
「いつもと同じだけど、ラーメンでいい?」
「きょうは何味?」
「サッポロ一番の塩」
「やった!」
「はいお待たせ。」
「いただきます! あ、ウィンナー入りだ、ラッキー!」

<母>

いつも同じでごめんね。平日は、給食があって助かるけど、土曜のお昼は、いつも困るの。
私だけだったら、前の晩か、朝の残りですませるけど、育ち盛りのサトシには足りないものね。
いつもキャベツ炒めだけだとタンパク質が足りないから、今日はウィンナーを奮発しよう。
今は苦労かけるけど、私がもっとお金を稼げるようになったら、サトシの好物、いっぱい食べさせるからね。

<息子>

土曜は大好き。午後はコウイチたちと野球できるし、夜のテレビも楽しみ。
そして明日は日曜!
だから、よけいにお昼のラーメンは、おいしい。
油で炒めたキャベツを食べると、土曜が来た!ってテンションあがる。
おまけに今日は札幌塩。ウィンナーまでついてる!

「かあさんは食べないの?」
「私はいいの。朝ごはん食べすぎちゃったし。」
「いつもそう言ってるけど、ほんと?」
「大丈夫よ・・・サトシ・・・土曜はいつもこんなのばっかりでごめんね。」
「なに言ってるの、ぼくは、これが大好き。まじ、ハッピー!・・・母さん、どうしたの?」
「ごめんね、サトシが喜んで食べてるのを見てると、なんだか涙がでちゃった。」

母子それぞれ、心の中で考えていることは違うけど、あの頃。土曜の昼は、幸せなひとときだった。
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