第14話:困窮老人のためのAPと補助金

文字数 1,620文字

高齢者シェアハウスとか美辞麗句を並べ立てても、所詮は、姥捨ての場所じゃないかと、心の中でつぶやくのだった。その後、佐島が、皆さん、たまらず、もう帰りましょうと口走った。北山さんも、少し疲れたから、帰ろうと言ったので全員で会場を後にした。自分たちのシェアハウスに帰り食事をとって早めに床についた。

 数日後、石島さんから電話が入り訪問したいと連絡が入った。少しして佐島さんが部屋に入ってきて挨拶し、山下、加藤、北山、木島さんにご相談があると言うので小さな部屋へ移り話を聞く事にした。石島さんが、ある筋から政府や企業、NPOからの補助で、貧困老人のための安いアパートを作りたいので、具体的に、青写真をつくって提案して欲しいという依頼があった。

 対象となるのは年金の少ない老人又は貧困老人で具体的には3食付き、全部込みで月8万円と言う条件だという。そこで食事について朝、トースト2枚に目玉焼きとサラダ、昼、スパゲッティとスープ、夕、豚肉と野菜炒め、スープで原価で3万円に抑えられれば何とか、やれるんだけれど食事は問題ないかと言うのだ。

 山下さんが大きめの具材いり、おにぎりと卵焼き、肉、魚とスープでも十分であり、量は多くなくてもよいから大丈夫じゃないのと言った。ただ買い物に行くにはどうやって行くかが問題だと言った。郊外でスーパーまで行けなければどうするのかと逆に質問した。石島は週3回程度ワゴン車で買い物に出かける事は可能だと言った。

 ワゴン車1台と住み込みの管理人さんを常駐させるように考えてると言った。それなら問題ないかも知れなと言った。山下さんが、とにかく対象の高齢者に試しに住んでもらって結論出した方がいいよと助言した。特に、女性は人間関係が大切だから試してみて決めてもらうしかない。

 嫌な人と一緒じゃ近くに住みたくないからねと笑った。石島さんが、わかりましたとお礼を言った。政府の方でも首都圏に多い一人暮らしの経済的に困窮している老人問題に本格的に動き出す様だと言い、これが1つの救いのチャンスになるかも知れないと喜んでいた。

 北山さんが、私たちは石さんの会社のために協力すると言うよりも利用させていただいて1人暮らしの老人のためになる様にと願って協力したんですからねときっぱりと言った。これを聞いて北山さんには一本取られた。確かにその通りですよねと石島さんが苦笑いした。
 
 数日の後ニュースで茨城県と栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県で給食センターの跡地を利用して有償ボランティアによる食事提供する、老人向けサービスを開始すると伝えており入居老人10人に男性管理人1人を置きを24時間体制で見守る体制の格安老人アパートを作ると報道していた。

 これを使って首都圏に住む独居老人の孤独死を防止する為に転居してもらう計画をたてると言った。対象のご老人には、近く通知を送り、格安老人アパートが空き次第、入居させようという計画。多摩ニュータウンや高島平団地、千葉ニュータウン、都内の貧困独居老人を優先的に入居させる方針が伝えられた。

 アパートの改修についても地元の工務店やボランティア大工さんに格安でお願いしたいとニュースで報道していた。貧困老人が増えており、こういう簡易の貧困老人アパートが多く作られた。貧困老人アパートは、多目的に使えるように工夫され、改修しやすく、隣部屋と大きなボルトで接合されており、1つづつ、分離して、トラックで運べる。

 他の土地で貧困老人アパートが必要になった時に、その地域で簡単にアパートの部屋を増やせるように工夫してある。 高齢者が急増している現状の対策協議会として、政治家、産業界(不動産、建設、医療、銀行)福祉協議会ができた。

 これに対し、対象の高齢者が協議会を作ろうという動きが自然発生的に現れ始めた。加藤と山下、北山、木島も老人シェアハウスを見てきて自分たちの問題なので積極的に関わっていきたいと考えていた。
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