第18話:高齢者シェアHの新しい考え方

文字数 1,759文字

 確かに、老人が、車で頻繁に買い物で多く出かける事はない。家の中にいる時間の方が圧倒的に長い。その点で、住み易さの方が、重要だと言う事ですねと、聞き返した。山下さんが、そう言う事ですと答えた。そうか逆転の発想か、実は、そう言う意味では、このエリアには、この様な物件が多そうなのですと話した。

 改修して賃貸で古家を貸したいと言うオーナーが多いと語った。大洋の村の悪いイメージでなく鉾田市と言う事で大きな道沿いの大きな家と離れのあるシェアハウスとして開発していく決心がついたと、ちょっと上気した笑顔で石島さんが言った。ありがとう、みなさん、これで、会社にも、良い報告ができると、握手する程、喜んでくれた。

 マイクロバスで、山下さん達4人を送ってくれた。帰って加藤さんが、今までの体験宿泊した中でも、最も役に立ったようだねと、喜びながら話していた。数日後、不動産会社の石島さんが老人シェアハウスに体験宿泊のお礼に来た。

 石島さんが以前から、会社の方から土地の安い所、温暖な所、温泉のある所、大病院やスーパーが多い所、空地の多い所とかエリアを決めてから、そのエリアでどうするかとい言う視点にばかりとらわれていて肝心なシェアハウスの中の広さ、快適性がその次になっていたと言った。先日、佐島さん、ここのシェアハウス住み心地が良くて快適です。

 一番、多くの時間を過ごすのは家、部屋の中ですから、そこが快適なのが一番良いと言ってくれた事で目が覚めましたと言った。今後、住み心地で最優先のシェアハウスを作っていきますと言ってくれた。そう言う観点で見ると大きな国道に近くて敷地の大きな農家や離れのある家を中心に関東全体を調査し直してみる事にしたと言った。

 もう何回も体験宿泊してもらい助かりました。今後はシェアハウスの写真や動画で見てもらい家の周辺はグーグルマップで見てもらい、アドバイスをもらう様にしたいと言った。山下さんや佐島さんも、その方が楽で時間を取られなくて好都合。また地元の住人など、もっと多くの方の意見も聞けるので、その方が良いと話した。

 石島さんがグールグマップやYOUTUBEで現地に行かなくても希望にかなう大きな農家や古家、空家の場所や周りの様子もわかる。これを社内で詳しく見てからターゲットになりそうなエリアを実際に車で走ってみて写真を撮ったり住んでる方や、地元の方から情報収集して候補地を絞り、家主さんと改修工事費用と賃貸契約の話を進めて行く様にしていくと語った。

 急がず一軒ずつ地道に老人シェアハウスを作り入居者を集めて、それが終了してから次の物件を当たる様にしていくようだ。遂に、このシェアハウスの建設に関して、昨年から石島さんの会社がリーディングカンパニーになったらしい。その仕事が社内で評価され石島さんが課長から副部長に昇進した様で破顔一笑だった。

 石島さんが2019年から国が所有不明の土地10年利用権、所有者が現れない限り利用権を延長できる制度を創設を国会に提出した様だと言い、これで一層、シェアハウスの競争が激化すると言った。所有不明の土地10年利用権を全国的に調査したが、多くある事が判明して我が社で積極的に利用していく事が決まったと言った。

 石島さんから山下さんに電話があり、翌週、相談にのって欲しいと言われた。相談事というのはシェアハウスの別荘版構想についてと言った。火曜日に石島さんが訪ねてきて我が社に登録しているシェアハウス会員が自由に避暑、避寒に使えるシステムを考えたと言うのだ。

 北は北海道、釧路、旭川、札幌、函館、南は沖縄、石垣島、久米島、温泉地、スキー場、海辺の町、離島などバラエティーに富んだ場所につくる。全国のシェアハウスにはマイクロバスがあり希望者者があれば観光してくれ各シェアハウスには男性管理人がおり賄いさんが夕食造りに来てくれるだけでなく買い物の代行もしてくれるシステム。

 各施設に、カードゲーム、大型テレビ、ステレオ、インターネットパソコン3台を設置。全国シェアハウスの予約や格安の飛行機便、特急列車、高速バスの手配もしてくれる。シェアハウス入会時に使える施設の数と宿泊数によってプレミア会員として登録すれば全国の施設を個人で移動できるという便利なシステムだと言った。
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