第1話:近所に高齢者シェアハウスが完成?!

文字数 1,721文字

 佐島米子は一年半前に、夫、佐島一郎に先立たれた。半年前から長女の木島恵子の家族3人と佐島米子の実家で同居生活を始めた。以前は、友人の北山さゆり、佐藤みどり達が実家に遊びに来てお茶のみ話を楽しんでいたが、長女一家と同居になり自宅で楽しみにしていたお茶飲み会ができなくなった。

 半年が過ぎ自由に行動できないのに嫌気がさしてきた。今日は久しぶりに近くの喫茶店に友人二人と会う事になり楽しげに喫茶店に行き、いつもの様に世間話やニュースの話題であっという間に時間が過ぎていった。友人の二人も旦那さんに先立たれて3年たっていたが、すっかり元気を取り戻していた。 

 北山さゆりが、ねー知ってる、最近ここからバスで20分行った、大きな農家を改修して高齢者のシェアハウスができたそうよ。 何でも、高齢の女性5人が入居して費用も15万円+食費3万円と比較的安いみたいと話してくれた。全員、まだ元気で洗濯も掃除も自分たちでやってるそうで食事を自分で作れば月15万円だと言っていた。

 ただし要介護、要支援の人は、入れないそうよと言った。お手伝いさんが一人いてくれて夜間は、警備会社とつながって安心だそうよ。近いうちに見学に行ってみないと言い、彼女がその高齢者シェアハウスに連絡しておくと言ってくれた。この話に佐島米子、佐藤みどりも興味を持ち見学しようと言う話になった。

 来週水曜日、昼、この喫茶店で集合する事が、決まった。約束の日に喫茶店に集合してバスで「高齢者シェアハウス・緑の里」へ到着すると、スタッフが出迎えてくれた。施設の女性からパンフレットをもらい説明を受けた。それによると支援、介護の必要のない65才以上の高齢者で基本的に重い持病のない人が対象。

 もし介護、病気になった段階で、他の施設に移っていただくという条件付きで、入居できると話してくれた。施設を見回してみるとステレオ、大きなテレビとDVD、生け花、トランプ、将棋、数冊の本、自動式の麻雀台一つ、珈琲メーカー、紅茶、お茶が完備されていて食事付きと食事なしの一方を選ぶ様になっていた。

 部屋は8畳と6畳があり、どちらか選べる。組み立て式のタンス、ベッド、小さな茶ダンス。
2階にも5部屋あり、離れの部屋が2つあり、全員で12名まで収容できる大きな施設。4人用の大きな浴槽。トイレは2階に2つ、1階に3つ。掃除されきれいなリビングとエレベーターが完備してあった。

 まだ、入居者募集中であり、入居者が10人以上になれば常時、昼間、女性2人を常駐させる予定だと言った。1時間くらい見学と説明を聞いた後、失礼した。また喫茶店に戻り北山さゆりが開口一番、あの施設で、月15万円いいんじゃないと言った。2人の友人も、確かに割安かもねと同感した。

 自宅に帰り、佐島米子「73才」は今日、行った、高齢者シェアハウス「緑の里」の事を長女、木島恵子に話してみたが。老人同士で、本当に、大丈夫なのと、言うだけで、あまり関心がなさそうだった。そこで佐島米子は実は、あそこが気に入って近いうちに入居したいと思っているだけれどと続けた。

 木島恵子が、えー嘘、そんな簡単に、決めちゃって大丈夫なのと、言い返した。だって友人と三人と一緒に入居すれば寂しくないし気兼ねもいらないから第一楽しそうなんだものと言った。それじゃ、今の私たちと一緒の生活が、全然楽しくないみたいじゃないのと、少し怒ったように言った。あわてて、そうじゃーないの、ただ楽しそーと、思っただけよといい直した。

 長女、恵子が、木島太朗が帰ってきて高齢者シェアハウスの話をした。それに対して太朗は、そっちの方が良いなら、そうしたら、良いんじゃないかと素っ気ない返事だったので、恵子は心配なのよと言い返した。太朗は、お母さんの家に住まわせてもらっている身であり、こっちが世話になっている。

 それだから、お母さんの意見を尊重すべきだよと言った。それに高齢者シェアハウスも、ここから車で15分位の近い所にある訳だから、そんなに心配しなくて良いじゃないかと言った。お母さんの自由にさせてあげた方が良いと思うよと話した。それを聞いて米子は喜んで、太朗さん、ありがとうねと言った。
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