第4話:高齢者シェアハウスの増加

文字数 1,646文字

 政府肝いりで、五年前から日本版CRCC構想を考えて指定地域を選定して大都市圏から高齢者の地方移住促進の補助金を投入したが、地方移住が遅々として進まず成功例が出てこなかった。むしろ独居老人問題については首都圏近郊の高齢者シェアハウスの方が人気となり増えてきた。

 それにより元気な老人達が、手ごろな価格と言う事もあってシェアハウスがここ2年で急激に増加してきた。そのため日本版CRCC「老人の地方移住」から近郊のシェアハウス改築に補助金をつけて、大都市圏の高齢者の郊外への分散を後押しする方針に転換した。

 千葉、埼玉、山梨、栃木、群馬、長野、茨城、静岡の農家などの大きな一軒家を改修して6~12人程度のシェアハウスをつくった。特に近くに温泉がある地域のシェアハウスが人気で空き家が足りない程になった。そのため人気のある近くに温泉のある地域では大きなマンションを各フローごとにシェアハウスにした。

 その後、大規模アパートを改装して、高齢者シェアハウスする試みが、増えはじめた。その他、昔の社員寮、ローコスト住宅が、競い合う様にして高齢者シェアハウスに建て替えた。ただし、再利用しやすい間取り、変更のしやすい木造の建物が多いのが特長。老人が多い30年以上前にゴーストタウン化したマンションもリフォームした。

 さらに、ボランティア活動が、できる元気な老人達がNPOを結成して週に一回くらい集まり、身体の不自由な老人の1週間分の食事を作り冷凍弁当を届けていた。もちろん若いボランティアも参加したのは言うまでもない。ただし、支給される年金額が少ない人には、無料で支給する事もあった。

 こうして老人ホームに入所できない老人達を自分たちで、手助けをしていった。こういう工夫により老人ホームに入れない待機老人のが数が減った。この様な老人や貧困家庭に対する食事の差入れサービスが一部の調理師学校や外食産業でも協力してくれた。そうして福祉の輪が広まっていった。

 政府も首都圏、大都市圏の介護を必要とする老人増加問題や貧困家庭に対する成功例に対して多方面から補助金の活用などで全面的に協力するようになってきた。この頃には日本版CRCCとか老人の地方移住など小手先の方法は全く見向きもされずに忘れ去られていった。加藤圭さんがパソコンでブログを開設しており、この老人シェアハウスの日頃の活動を発信した。

 多くのテレビ番組や新聞に老人シェアハウスの話題が取り上げられる様になり、加藤圭さんの老人シェアハウスのブログがテレビ番組に取り上げられて、テレビ局が取材に来た。一日の生活を朝から午前、午後の趣味の活動を撮影したりシェアハウスの住人に感想などを取材していた。

 小旅行にも同行して住人達に、いろんな質問をしていた。住人の皆さんが楽しんで快適な生活を楽しんでいる風景が報道された。数日後、大手の建設会社石島光さんと不動産業者の木下冬彦さんが御意見を聞きたいと訪問の約束を事務所に取ってきたのでブログを書いている加藤圭さんが会う事した。

 加藤圭さん1人では心許ないので幼なじみの北山さゆりと、彼女の友人の佐島米子、話し上手な山下圭介とこのシェアハウスのオーナーで応対した。当日、朝九時にシェアハウスに来て、挨拶してから一階の広間で応対した。最初に大手不動産の石島光さんがシェアハウスとしては具体的に首都圏郊外でも、どこが良いと考えてますかと質問した。

 加藤圭さんが、都内まで特急で60~90分圏内まででしょうねと答えた。具体的にはと言う質問に対して暖かくて混み合ってなくて海が見えて温泉があって大病院がある所、例えば温暖な南房総、首都圏に近い三浦半島、遠い所では那須、伊豆半島くらいまで具体的には銚子、高崎、宇都宮、水戸、甲府などと答えた。

 首都圏でも、横須賀市、水戸市は、人口減少で、困っている様ですと答えた。この答えに対して石島さんは、そこまで、広げてくれれば、東京、横浜の高齢者が多いと言っても収容可能ですねと話した。
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