第23話

文字数 906文字

交流の促進を目的とし、日本とスイスにおいて支援するに値する文化事業への助成を行っている基金の窓口のことを知った。「私は在日スイス大使館に自分がアール・ブリュットに傾倒した絵を描いているようで評価されていることもあるので自分の作品も収めてくれないか、またソーシャルビジネスという形でアール・ブリュットのアートの発掘と教育に従事したいため、通信教育で美術系の大学で勉強などもしたい、そのための学費の助成などもお願いしたい。」という内容の手紙を送った。

 本当にこれは私らしいちゃっかりした文書だったと思う。今でも恥ずかしいが在日スイス大使館からは一週間くらい経って、丁寧に「前例がないため・・・」とお断りの返事を手紙で頂いた。

 実は日本にも日本財団アール・ブリュット支援事業がある。ここでの主旨は「アール・ブリュット作品が繰り出す豊かな創造と多様な価値観が、私たちの心にある偏見や固定観念を拭い去り、互いの個性と人格を認め、支え合う社会の実現につながることを期待して、この事業に取り組んでいく。」というものだ。

 そうなのだ。時代は変わってきている。世の中から疎外されてきた障害というワード。特に私の場合は精神障害だがそれらを含む色々な人にも可能性が秘められていて大きなチャンスとなり社会と関わっていけるのだ。そしてこれからは偏見とか固定観念は時代のムーブメントによって自然淘汰されていくであろう。生きている全ての人に人格があるようにある意味これは人権を守る行為と芸術に関して、規制概念にとらわれないという新しい試みであり、挑戦だと感じている。

 私はポコラートvol.3で知り合った出展者の大阪にいらっしゃるお母さんと今メル友になっている。その方も障害のある方のためのボランティアで忙しくも毎日元気に過ごして活躍しているらしい。

 ある時、ふと区役所で見つけたポコラートの全国公募のチラシ。そこから私の応募が始まり入選という流れで、自分はアートの世界に火が付き興味を持ち始めた。私が失った自信というものが後からついてきてくれる。そしてポンっと背中を押してくれる。前進せよ、ともときにはいってくれる。前へ前へ、未来へ未来へ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み