第22話

文字数 817文字

また英語で称されたアウトサイダーアートという言葉はイギリス人著述家のロジャー・カーディナルが英語表現に訳し替えたものだ。「アウトサイダー」と表現してしまうと、とかく障害者を社会の枠外に置きたがる風潮の中では障害者に対しての差別的な言葉であると非難をされてもしかたがない。その上アウトサイダー・アートを安直に精神障害者のアートとしてしまうことは本来の意図からしても外れてしまっているわけだそうだ。その代わり今日では、そういった様々な障害を持った人たちの作品を「エイブルアート」「ワンダー・アート」「ボーダーレス・アート」という呼称で、社会につながりを持つための手掛かりとして支援しようする動きになっているらしい。

スイスのローザンヌに十八世紀の貴族の邸宅「ボーリュウ館」を改修し誕生した「アール・ブリュット・コレクション」という美術館がある。ジャン・デュビュッフェのコレクションを多く展示し継続する決意をしている。「アール・ブリュット・コレクション」では、文化的な伝統や社会規範などにとらわれずに作られたアウトサイダーアートの作品を、世界各地から蒐集し展示している。その作者は囚人、精神病者、何らかの理由で社会から見放された孤独な人々などであり、それゆえ芸術的伝統にとらわれない独自の表現方法を用い、時にはこれまでの芸術では利用されなかった材料を用いたり、使用されたことのない技法が用いられているそうだ。アール・ブリュット・コレクションが蒐集したアウトサイダーアート作品は約3万点に及び、うち七百点が常設展示されている。

 私がこのスイスのローザンヌにある「アール・ブリュット・コレクション」の存在と情報を知ると私は突拍子もない行動に出てしまい、今思うと恥ずかしい限りだ。スイス大使館のホームページを見て、「サカエ・シュトゥンツィ基金」という非営利団体としてスイス法に基づき設立された、日本とスイス両国文化、社会、学術そして科学分野における
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