第12話
文字数 579文字
こんな状態で始めた通信課程であったがあっという間に何も手をつけることなく八年くらい経ってしまった。その間の私は過去にイギリスで経験した失敗の語学留学で英語ができないことを反省し、語学の勉強に時間を費やしたり、アルバイトでコールセンターでテレホンオペレーターの仕事をしたり、アパレルでファッションの洋服や雑貨を売る仕事をしたり、長くは続かない塾講師などをしていた。自分の自我との葛藤の時期でもあった。就職がすんなり新卒で上手くいった友人の結婚ラッシュや出産ラッシュが続いた時期でもあった。結婚などのことで自分は友人と比べて何故できないのだろうと卑屈になったことはなかったがお付き合いしたりしている人がいるときに自分の病気のことを正直に話すことでお付き合いそのものがなくなっていった。
ある時、姉と通りかかった会場で留学フェアをやっていたので少し覗いてみようと立ち寄った。そのときもらったサマージョブのチラシ。穴があくほど握りしめて読んでいたのを覚えている。そこには三十歳以下の大学生であればアメリカに就労の学生ビザを取ってアメリカで働くことができる、というものだった。私はそのチラシに書いてある代理店に通信制の大学生でも構わないのか、と問い合わせをした。そのとき私は二十九歳だった。代理店の方は三十歳以下で現役の大学生であれば通信制は問題ない、とはっきり答えた。
ある時、姉と通りかかった会場で留学フェアをやっていたので少し覗いてみようと立ち寄った。そのときもらったサマージョブのチラシ。穴があくほど握りしめて読んでいたのを覚えている。そこには三十歳以下の大学生であればアメリカに就労の学生ビザを取ってアメリカで働くことができる、というものだった。私はそのチラシに書いてある代理店に通信制の大学生でも構わないのか、と問い合わせをした。そのとき私は二十九歳だった。代理店の方は三十歳以下で現役の大学生であれば通信制は問題ない、とはっきり答えた。