第5話

文字数 869文字

一年生が無事終わって自分の成績が出たとき、私は長野県の奥志賀高原のスキー場のあるホテルでリゾートバイトをしている真っ只中だった。仲良くしているサークルの同じ学年の友達に成績表を代理で取りに行ってもらった。後で聞いて自分でも驚くほど成績がよかったので意外だった。。サークルの仲間も一年間明るく過ごすことができた元気でおっちょこちょいの私、しか知らないためとてもびっくりしていた、と友人が教えてくれた。

 今思えば後のまつりだ。が実は法政大学には二部の夜間から一部の昼間に編入できる試験というものがあったらしい。しかし私がその存在に気付いたのはボロボロになって卒業するころのことだった。編入試験問題集もが校内の購買で売られていたらしい。私はなんだかんだ二部を結果として自分で認めたくない、強い学歴コンプレックスがあるようだ。

 その後の学生生活は一年時で成績がよかったことに油断して学業がおろそかになった二年と三年だった。アルバイトをしすぎて学校に行かれない。本末転倒であった。その上精神的には相変わらずデリケートでかかりつけの精神病院で薬をもらい、服薬し、定期的に三週間ないし四週間に一度はカウンセリングも受けていた。当時の主治医は病名もを聞いても「あってないようなもの」とオブラートに包んでぼかすところがあった。それも全て私自身がショックを受けないための配慮だったように思う。薬も粉薬で何と何が入っているのかさっぱりわからなかった。後に個人的に主治医から服薬している自分の薬の名前を聞いて、私は同じ病院で精神を患わっているおじさんに「こころの病の薬が分かる本」という本を紹介してもらい、すぐに書店に買いに赴き、自分の薬の効果や副作用などや何に作用するのかなどを読んでマーカーや付箋をはったりした。こんなふうにいわば病み上がりと一緒の状態であったので授業で受けた「心理学」の授業で先生が精神的な病状のある患者の動向に触れて面白おかしく話している様子にいたたまれなくなり、聞いたとたん「早退させてください」といきなり授業を抜け出したこともあった。
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