統計学について語る
文字数 2,075文字
結果はこのようなものでした。今でも謎なのですが、金木犀先生は統計の知識がないことを認めた上で、この後いろいろ調べて問題の回答をします。以下コピペです。
仮説検定を用いてサンプルの平均値が規定値から有意に外れているかどうかを検証する。
t検定を用いて、算出すると
t値=(101ー100)/(1.2/√100)=8.33
そこから規格値100から有意に外れるかを計算すると、
df=100-1=99
p=T.DIST.2T(8.33,99)=4.68843E-13
サンプルの平均値から有意にずれていると言える。
*
検証してみます。まず仮説検定とは何なのかというところでしょう。どこにも仮説がありません。次にt検定ですが、これは改善前と後の統計結果の比較や、同じものを生産する二台の機械に能力差があるかを調べるためのものであり、問題に無関係です。そもそも、統計結果はすでに問題文の中で済ませてあり、新たに行う必要はありません。もっと根本的な話をすると、問題はこの統計結果を受けて何をするかであって、平均からズレてますというのは答えになっていません。
このように金木犀先生に返信しました。それに対する返信がこちらです。
「それはそうと回答あざっす。派手に間違えたみたいですね」
私、これを見て思いました。
私まだ答え書いてないんだけどって。
ということで回答編です。
ご存知の方もいるかもですが、偏差値やIQも統計なんですよ。
そこで使われている手法はz検定というものです。この問題もそうです。
偏差値は平均を50、標準偏差を10としてます。この標準偏差はばらつきを表す指標でσ(シグマ)で表されます。
ちなみにIQは平均100、標準偏差15です。
ここで重要なのは3シグマ法というもので、平均プラスマイナス3σには、全体の98%のデータが収まるという法則があります。
つまりIQ55-145の範囲に98%の人が入り145から上はわずか1%ということです。
ということは、平均が規格の中心値と同じで、プラマイ3σが規格内に収まるなら少なくとも98%以上のアンパンは規格値を満足しています。
問題の例でいうと
101±3.6だから、余裕で規格内です。
言い換えると、規格内に6シグマ収まれば98%以上良品ということです。
問題の規格は±10なので、その規格の幅は20。
で、この規格幅を6σで割ったものを工程能力(cp)といいます。
1なら98%良品ということになりますね。問題文の例だと、2.78位ですが、驚異的に優れてます。
ここでは説明のため一旦平均107としますよ。
するとcpは優秀なのに、+3σで上限を超えてしまいます。
cpは平均値の偏りを考慮してないわけです。
そこでそれを考慮したcpkがあります。
ざっくりいうと、余裕のない方の限界値(この場合上限)と平均の幅(ここでは3)を3σで割るわけです。すると0.83位。1切ってます。
さて、このcp, cpkですが見方として
1.33未満 工程能力不足
1.33〜1.66未満 適正
1.66以上 優秀すぎ
ということですよ。
当然ながら1.33未満なら何かしら手を打たないといけないわけです。
で、逆に1.66以上の場合は何をするかというと
A. 規格を厳しくする(例えばプラマイ5g)、あるいは工程を簡易化(例えば中間検査を省く)してコストカットに繋げる
でした。
これを知ってるだけで件の問題は簡単に暗算で答えでますよね。
1.2×3が3.6。9÷3.6、細かく計算しなくても、2以上だとわかると思います。
というわけで、金木犀先生の回答は全くの的外れなのですが、素直に知らないことを認めている人を馬鹿にする趣味はないので、「知らないことを素直に認める人をそれについて深追いしたりしないので、その件について金木犀先生を嘲笑しないことをお約束する」と私は締めました。
……のですが、
「なんか終わらせようとしていますが、統計学うんぬんは言葉尻ですよ」なんて返されてしまいました。
私は「浮離ちゃんといい、ののあちゃんといい、金木犀先生といい、差し伸べた手に唾を吐きかける素敵な趣味をお持ちだ。僕は潔く認めた人を嘲笑う趣味はないんだけど、ご本人たっての希望ということならしょうがないね。今後ありがたくネタとして嘲笑の的にさせていただくとします」と返信し、以後金木犀先生のことを、”金木犀@ぷりもさんへ 統計学については無知でした。申し訳ありませんでした”としばらく呼ぶようになりました。
ちなみに、どのタイミングかは覚えていないですが、私が金木犀先生を浮離派と称したことを否定するという意思の現れか、浮離ちゃんのことを、「くそおしゃべりばばあ妖怪浮離」と呼んだり、作品について「煮込みすぎて形が崩れすぎちゃってるように傍目からは見えるけど、あれは浮離さんなりの神視点なんだろうなぁ、とは思いました」とこれまでの鬱憤を晴らすかのような変化が見られました。