第29話 宇宙に行くのっ！！
文字数 1,571文字
だるいという感情がこの身体を支配する。
バンッッ！！！！
あにが忙しくなかったら相談するっ！！
じゃあ忙しい。
忙しくても相談するっ！！
どのみちじゃねぇか。
なんだよ。
あに、あのね、あのね……
宇宙旅行に招待されてるのっ！！
宇宙旅行に招待？
なんだそれ。
あまねの友達の天才博士、覚えてる？
あぁ、底辺Yourtuberの迷惑なやつ。
その博士がね、簡易的に宇宙に行く機械を発明したの。
だから、試運転であまねに宇宙に行って欲しいって……
いや、自分で行けよ。
駄目だろ、そんな危ねぇこと。父さんと母さんになんて言うんだよ。
そうだよねぇ……
…………。
行きたいのか。
行きたいっ！！
はぁ、ったく……。
ちょっと博士に連絡させろ。
え？
その宇宙旅行が安全なものか確認する。
あ、はーい。
わかった〜。
もしもし、博士〜。
今、暇ー？
宇宙旅行について、あにが色々聞きたいんだって。
だから、電話繋いでもいい？
うん、うん、わかった〜。
あに〜。
なんだ？
電話したくないって〜。
宇宙旅行について秘密にしたいんだって。
……今すぐ代われ。
はーい。
もしもし、お電話代わりました。
天希の兄の大地です。
うぁぁ……っ、と、どうもぉ、天才博士ですぅ……っ！
自分で天才って言うんすね。
で、天希が宇宙に行くって話なんですけど……
ち、ちち違うんですよぉ……っ！！
何がですか。
私は危ないって、とと止めたんですよぉっ……！
ででも、もももちあまが、どどっどどうしてもって駄々をこねるからぁ……！
はぁ。
おい。
なに？
お前がどうしても宇宙に行きたいって駄々こねてる、って博士が言ってるんだが。
ゔぇっ！？
なんでっ！？
博士もノリノリだったよ！？
…………。
あー、もしもし。
うちの天希は、博士もノリノリだったって言ってるんすけど。
……嘘つきましたぁ。
なぜですか。
お、怒られるの、ここ怖くてぇ……。
凄い、シンプルな理由。
そんな、怒られるぐらい危ないんすか？
だだ、大丈夫です！
私の発明は安全第一、です、よぉっ……！
たぶん……。
多分か……
ちなみに、どんなプランなんですか？
とりあえず、宇宙行ってぇ、星見てぇ、えと、えっと……
……帰る。
めちゃくちゃアバウト。
それ、本当に安全なんすか？
大丈夫ですよぉ！
緊急転送装置も付けるのでぇ！！
緊急事態になったらすぐに地球に転送されますのでぇっ！！
いや、その装置も……
この緊急転送装置、宇宙開発機関でも使われてる優れものぉっ！！ 宇宙という無重力無酸素空間で100%の安全を担保しておりましてぇっ！！ なんでこんなことが可能になったか、なんですけどぉっ！！ まず、地球の方で本人の思考回路と肉体の一部を抽出してぇっ！！ あ、まず思考回路の抽出っていうのは脳回路に電極棒を刺して、あ、刺すって言っても安全なように外部から信号を発してぇ！！ 肉体の抽出っていうのは細胞の培養がありましてぇっ！！
…………
おーい。
あに、どしたの？
なんか、聞くのめんどくさくなったから、行っていいぞ。
やったー！
要するにぃ、クローン技術の応用でしてぇっ！！
あ、わかりました、どうもです。
じゃあ、天希に問題がないように、お願いします。
はは、はいっ！
もちろんですよぉっ！！
色々どうもでした。
失礼します。
ピッ
はい、携帯。
で、宇宙にはいつ行くんだ？
今晩っ！！
だから、なんでいつも急なんだよ。
まぁ、いいや。
母さんには適当に取り繕っておくから、行ってこい。
あにがとーっ！！
じゃあ、行ってきまーすっ！！
……地球の写真、撮ってきてもらおうかな。
天希、宇宙……、夢中……
………………
風呂も上がって、だるい。
あいつは今頃、宇宙か。
ブーッ
電話……、あいつから？
なんで宇宙から電話かけてんだよ。
ピッ
もしもし。
あに、宇宙規模のやばやばっ！！
何があった。
あのね、あのね……
大隕石が接近してきてるのっ！！
……すぐ帰ってこい。
次回に続く
