第20話 幽霊に妹が捕まったのだが。
文字数 2,171文字
前回のあらすじ
とある中学校の噂、それは玄関に置いてある鏡が帰る人々を引きずり込むというもの。
そんな噂を聞いた天希は原因を探るも、逆に閉じ込められてしまうことに。
「お兄ちゃん、助けて……っ!!」
聖なる夜、大地の元に妹の悲痛な叫び声が届く。
助けに行かなければ……、大地は意を決して学校に向かおうとするのであった……。
※一部、美化しております。
くそっ、あいつ閉じ込められてんのかよ。
すぐ助けに……
いや、兄貴、やめた方がいい。兄貴まで閉じ込められたら、それこそ手の打ちようが無くなる。
(学校の幽霊がね、みんなを閉じ込めちゃうのっ!!これは学校の七不思議の中でも最強のお話!!
学校の玄関にはね、大きな鏡があるの。
それで学校から帰ろうとした時に、「もう帰っちゃうの……?」って声がするの!!)
(で、振り返ると、鏡の中に閉じ込められちゃうの!!でも、無視して進もうとしても足首を掴まれて引きづり込まれちゃうのっ!!
あと、鏡に触っても引きづり込まれちゃうの!!
だからうまく言い訳して帰らないと駄目なのっ!!)
(あまね、「今日はヒーローボコボコの日だから帰る」って言い訳したけど駄目だった!!)
そりゃそうだろ、むしろ幽霊ファインプレーじゃねぇか。
(それで、その鏡の幽霊が最近どんどん強くなっててやばやばなのっ!!もう230人ぐらい閉じ込められちゃってるっ!!)
(どうしよっ、あまね、助けなきゃっ!!
でも捕まっちゃったっ!!
どうしよっ!?)
いや、これは小娘なりに恐怖を抑えているのだろう。小娘も今は囚われの身、恐怖しないはずが無い。
我が小娘の所まで行ければ、幽霊なぞ一掃出来るのだが……。
忘れてるとは思うが、我は闇の覇王ぞ?闇の存在の中では頂点だ、幽霊ごとき敵でもないわ!
いや、兄貴、落ち着いてくれ。早まってしまえば奴らの思うつぼだ。
くそがっ……!
ったく、クリスマスのケーキとかも準備してんのによ……。
(なんか、能力覚醒したかもっ!!
兄の声、バッチリ聞こえるっ!!)
(鏡の中、幽霊の呪縛でガチガチなの!!でも、あににテレパシーを送ってたら意識を保てるの!!)
あだ名を付けるな!! ……いや、今はそんなことどうでもいいか。我がそちらに向かって、幽霊を退治するつもりだ。
しかし、兄貴はそこに向かえない。兄貴が向かえないとなると、我もそこに行けない。
誰か他に、そこに向かって我を運んでくれる奴はいるか?
(あ、じゃあじゃあ、あに、はるるに電話かけて!!
多分、出てくれると思う!!)
(あにの部屋の机の上!!パスワードとかは一切付けてない!!)
『お兄様、はるるですっ!!もちあまがピンチなんですよねっ!!??
今すぐ駆けつけますから!!
学校の鏡、行ってきます!!』
いや、その事情がありまして、一度そっちに向かうので……
『お兄様、ヤミちゃんですか?あ、ヤミちゃんを私の体に入れて、もちあまの元に運ぶんでしたね!!
わかりました、私の体、好きにしてくださいっ!!』
今までで一番怖い人間だな……。仕方ないか、行ってくるぞ!!
……あとは、祈るだけか。
いつも待ってばっかだな、俺は。
あまね、闇の覇王、奮闘中……、奮闘中……
……………………
怖かったーー!!!! あに、生きてたーーー!!!!
ったく、心配したんだぞ。
あんま無茶すんなよ、本当に。
まぁ無事戻ってきたことだし、クリスマスパーティー、準備するぞ。
あの人達、デートで一晩いないって。
お前の親友、誘ってみるか?
誘う! あ、ヤミちゃん、はるるの元で修行するって。
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