第48話 運命の相手が決まるのっ！！
文字数 2,034文字
このだるさ、限界点が見えない。
バンッッ！！！！
あにのことなんて大っ嫌いだから、
っていうツンデレだから！！
俺はツンもデレも興味無いっていう無関心。
あに、いよいよだよ、いよいよ！！
いよいよ？
何がだ？
あの、天哉君と昴君、そして星奈ちゃんのことなんだけど……
運命の相手が決まるのっ！！
うぉらっしゃぁああ！！！！
よし、とっととおさらい済ませて本題入るぞ！！
任せてっ！！
あまねの友達、星奈ちゃんは、大人しくて男の子が苦手な読書好きの女の子！
転校生の昴君、成績優秀、スポーツ万能、お金持ち、優しくてイケメン！！
一匹狼の天哉君っ！ 星奈ちゃんと幼馴染でギターが上手な男の子っ！！
星奈ちゃんのことが気になってる天哉君と昴君、恋の行方やいかにっ！！
忘れちゃならない、病気がちな女子、月乃。天哉のギターを聞いて病気が回復したとか。
そして新登場、昴の許嫁、真珠。昴との結婚を決められているが、果たして……？
それで、運命の相手が決まるってどういうことだっ！！
今日ね今日ね、天哉君と昴君が星奈ちゃんに告白するのっ！！
マジか、一大イベントじゃねぇか……
二人、同時に！！
なるほど、二人同時に……
夕日が沈む河川敷の下でっ！！
夕日が沈む河川敷の下で……
……え？
夕日が沈む河川敷の下で、男同士の殴り合いっ！！
…………。
それは、危ないからやめた方がいいんじゃね？
今ね、クラスでヤンキー漫画が流行ってるの。
それで、クラスの人が焚きつけたら、こうなっちゃったんだって。
外野は無責任だからなぁ……。
大丈夫！！
ちゃんと今、博士お手製の盗聴器つけて監視してるから！！
危なくなったら駆け付けるっ！！
偉い。
だが、それはそれで犯罪だ。
だが、盗聴器を付けてるってことは？
三人の様子をライブ配信っ！！
来たぁぁぁぁああああ！！！！
早速、繋いでくれっ！！
任せてっ！！
カァ、カァ
音量、もうちょっと上げようかな。
いや、この後に殴り合いがあるから、今は小さめでいいんじゃね？
はーい。
「……ねぇ、二人とも。本当に、やるの……？」
「まぁ……」
「星奈ちゃん、大丈夫。大ごとにはならないようにするから」
あ、始まった！！
河川敷での静かな、ピりつく空気がここまで感じられる。
「昴、なんか、本気が感じれられないけど……」
「……緊張だよ、僕だってこういうのは初めてなんだ」
……なんか、昴の様子がおかしいな。
緊張じゃない？
昴君は真面目だから、喧嘩とか苦手なのかも。
まぁ、そうかもしれねぇけど……。
「喧嘩……。慣れてねぇなぁ……、でも……」
「星奈のためだ！ 昴、悪いなっ！！」
「天哉君っ！！」
キャーーーーっ！！！！
いや、人が殴られる時に喜ぶなよ。
「……やっぱ、やめだ」
あれ、どうした。
えー、いい所だったのに～。
いい所ってなんだよ。
「昴、やる気ないな、わかるぞ」
「昴君……？」
「…………」
昴、どうしたんだ？
殴り合いが苦手っていうのはわかるが、それにしては元気無いな。
すばるー、何してるんだー！
なぐれー、そこだー、なぐれー！！
ガチャ
なんの話してんの？
だ、誰！？
あ、あまねちゃん？
うち、大地の彼氏の未来で～す。
よろしく～。
え、あにの彼女さんっ！？
え、おい、なんで急に！！
なんか、来なきゃいけないって気がして～。
で、なんの話してたの？
実は、かくかくしかじかで。
なるほどねぇ。
まずさぁ……
やってること、割と犯罪じゃない？
ごめんなさい。
まぁいいけど。
でも、その昴君って子……
「……星奈ちゃん、色々付き合ってもらったのに、ごめん。それと天哉、天哉の言う通りだよ。
僕は本気じゃない。というより、本気になれない……。」
「……昴、君？」
「さっき通りすがりのお姉さんに言われて、やっとわかったんだ。僕の本当の好きな人……」
あ、このお姉さんって、私だ。
え、マジか！！
うん。なんかこの子、さっき私にぶつかって来たんだよね。
聞くと、恋のことですごく悩んでたみたいで。
本当に好きな人がわからないって言ってたの。
昔のどこかの誰かさんみたいに。
…………。
だから、アドバイスしてあげたんだよね。
『ねぇ、君がずっと一緒にいたい人って誰？ ……今、頭の中に浮かんだのが、君の好きな人』って。
そしたら、なんか少し覚悟が決まった顔をしててさ。
会ったばっかりなのに、ちょっとたくましくなったのがわかっちゃった。
なんか、すごーいっ！！
そうか、だから昴は……。
「僕は、ずっと僕のことを想ってくれた、真珠のことを裏切れない……。こんな僕に、星奈ちゃんを守る資格は無いよ。」
「……そうか」
「星奈ちゃん、僕の我儘で、ごめん……。それと……、ありがとう」
「ううん……、昴君、私こそありがとう」
「天哉、星奈ちゃんのことを幸せにするんだぞ」
「……言われなくても、そうする」
これで、一件落着か。
じゃあ、これからは天哉君が……
「て、天哉君、ちょっといいっ！？」
「月乃ちゃんの容態が悪化したんみたいなのっ！！ すぐに来てっ！！」
えぇぇっ！！？？
お、おい、どういうことだっ！？
（この兄妹、何してるんだろう……）
次回に続く
