美術講師 原田未耶 2
文字数 554文字
連休も過ぎた5月のある夜の事であった。
幸人は塾の帰りに友人と話をしていたら遅くなってしまい、マイホームタウンの駅に着いたのが10時を過ぎてしまった。人影もまばらな駅の東口を出ると横っちょの方で男と女が何か言い争いをしている場面に遭遇した。
東口はメインの駅では無いので、利用する人が少ない。
「痴話げんかか」
幸人はそう言って速足で横を通り過ぎた。
と、ばちんと音がして「もう、いい加減にして!」という女の声がした。
幸人はびっくりして立ち止った。
男が片手で頬を抑えていた。
その前で小柄な女性が仁王立ちになって説教をしている。
「早苗と寝ていたくせに! もう、信じられない!!」
「だから、それは早苗ちゃんが」
「何が『早苗ちゃんが』だよ! この浮気野郎!」
「いいから、来るんだ!」
男が女性の腕を掴んだ。女性を引っ張って駐車場へ連れて行こうとしている。女性は嫌がっている。幸人は少し離れた場所からそれを見ていた。ドキドキした。
女性が幸人を見た。幸人はまたまた驚いた。
「原田先生!」
思わず声が出た。
男ははっとした様に幸人を見た。
男の手が緩んだ。その隙に女は走り出した。幸人の腕を掴んで「来て!」と言って走り出した。幸人は未耶と一緒に走った。途中で後ろを見ると茫然とこっちを見ている男の姿が目に入った。
幸人は塾の帰りに友人と話をしていたら遅くなってしまい、マイホームタウンの駅に着いたのが10時を過ぎてしまった。人影もまばらな駅の東口を出ると横っちょの方で男と女が何か言い争いをしている場面に遭遇した。
東口はメインの駅では無いので、利用する人が少ない。
「痴話げんかか」
幸人はそう言って速足で横を通り過ぎた。
と、ばちんと音がして「もう、いい加減にして!」という女の声がした。
幸人はびっくりして立ち止った。
男が片手で頬を抑えていた。
その前で小柄な女性が仁王立ちになって説教をしている。
「早苗と寝ていたくせに! もう、信じられない!!」
「だから、それは早苗ちゃんが」
「何が『早苗ちゃんが』だよ! この浮気野郎!」
「いいから、来るんだ!」
男が女性の腕を掴んだ。女性を引っ張って駐車場へ連れて行こうとしている。女性は嫌がっている。幸人は少し離れた場所からそれを見ていた。ドキドキした。
女性が幸人を見た。幸人はまたまた驚いた。
「原田先生!」
思わず声が出た。
男ははっとした様に幸人を見た。
男の手が緩んだ。その隙に女は走り出した。幸人の腕を掴んで「来て!」と言って走り出した。幸人は未耶と一緒に走った。途中で後ろを見ると茫然とこっちを見ている男の姿が目に入った。