【Lー⑨】それは降り注ぐ紫のよう
文字数 7,819文字
「っっ────!!」
放たれた衝撃を左肩に掠めさせ、それが過ぎた先へ連ねそうになる視線に……強引を伴った歯止めをかける。
──前 から外すな。
一時の流動に無様な応を返せば、意志を伴った圧力は容易く私を伏すと覚えろ。
「っっだぁ!!!!」
捉え直した意と共に振るう木刀 は、相手の脇腹へ直地点を定めるが……しかし。
がつん、という音と共にその進行は遮られる。
……読まれていたのか、見事に防御を成功させていた。
胸中で舌打ちを響かせる最中、今度は相手の木刀 が振るわれ──
──その場へ屈む。
横一線に走る軌跡は頭上に風圧を感じさせた。
……その矛先が、私の首元だったのだと理解。
「──ッッ!!」
そのまま片手を軸に地に伸びた相手の両脚へ足払いを掛け……それは望む結果を弾き出し、あちらは地を舐めた。
構図は反転し、今度は私が相手を見下ろす。
「ふっっ──!!」
仰向けに突き出された鳩尾を目掛け、木刀を一直線に走らせる。
……体勢を立て直すより私の方が疾い。
そう確信した時──まいった、という声が相手の口から発せられた。
……瞬間に木刀の前身を止め、ひとつだけ息を吐く。
収縮しつつあった視界はようやく色を帯び、呼吸と共に辺りを鮮明に駆動させる。
──勝者、リコリス。
次いで反響するその言葉は、私の耳を何度か叩くのだった。
────────────
──────
───
「…………ふー」
がやがやと喧騒が響く広間の壁に背を預けると同時に、少しだけため息が漏れた。
出 場 者 の控え場として宛てがわれたこの場所は……どうにも、私に落ち着きをもたらす事は無かった。
視界に映るのは……豪華絢爛 とでも言うべきか、過剰な装飾を施された内装が嫌でも目を撫でる。
──鈍い光沢を放つ床。
──今にも動き出しそうな甲冑。
──均等に掛けられた絵画。
──煌びやかなシャンデリア。
『……テレビとかでしか見た事無いや』
そんな耽りを過ぎらせたまま……さらに視線を上に滑らせる。
そこには、巨大なステンドグラスが静かに佇んでいた。ここにいる人間を全て包み込むような……或いは、支配とも取れるような。
……その硝子の表面に。
連なる白銀を携え、雄々しい羽ばたきを魅せる姿を模した何 か が描かれている。
……あれは…………たぶん──
「──リーコちゃんっ」
「わ」
その声と共に背中へ何かが触れる。
振り向くと、片手にグラスを持ったレイナさんがそこにいた。
「初戦突破おめでと」
「ありがとうございます、いただきます」
そう言いながらグラスを渡される。
一口煽ると、僅かに柑橘系の風味が残る水が喉を通り……まだ少しだけ火照っていた体に、それはゆっくりと浸透していった。
「自己治癒力促進 のヤマトが入ってるんだって、それ」
「そ、そんな事もできるんですね」
……改めてマナやオド への理解がまだ及んでいないのだと認識した。
「どうだった? さっきの相手」
「……すごい気迫を感じました。たぶん、ほんの少し何かが掛け違えただけで……勝敗は変わっていたんじゃないかな、と」
「なるほど、そっか」
レイナさんは深く頷きながら、私の横で同じく壁に背を預ける。
……もう一度グラスを傾けたあと、私は彼女へ向き直った。
「そ れ ほ ど の事……って解釈していいんでしょうか、闘技大会 は」
──昨日。
古い友人との会合から戻ったレイナさんから漏れた、それ。
……全然ピンとこなかったし、そういったものを競う意識も持ち合わせてはいなかったけど。
ただ、ひとつだけ──
「まーね。爪痕残せば一応名誉な事でもあるし、数年に一度しか開催されないっていうのもあるけど……今回は特にね」
「ご友人の方が教えてくれたんですよね」
都市の中心にあった、お城。
……闘技大会が行われているこの場所には今、異例の客人が招かれているという。
「わざわざ大会のタイミングに合わせて現れたんだってさ」
「あ、そうなんですね」
──龍族。
……この世界には、その名で呼ばれている人々が存在すると聞かされた。
曰く、世界の始まりから存在した……とか。普通の人間よりも遥かに高度なヤマトを扱える……とか──
「ま、アタシら以外にも始まりの島について知りたい人は多いって事かな」
──龍族 が生を重ねている場所が、始まりの島 である……とか。
「ミステリアスそして神秘、ですもんね」
「それメイコ がよく言うやつ」
互いの笑いが重なる。
つまるところ……この大会で名を残す、ないし優勝でも出来ようものなら件の龍族への謁見が叶うのでは、といったところ。
「でも、本当に私なんかが出場しちゃって良かったんでしょうか」
「まあほら、島についてハッキリした手掛かりもなかったしさ。それに……」
「はい?」
「いつも思い切り体動かす時って、相手が這者の時ばかりでしょ。たまには人同士で健康に……運動的なね」
「お遊戯感覚にしては殺伐としてますよお」
「あっはは、そうだね」
「んー……出場者の方々もすごい人多いんですよね、きっと」
「そりゃもう。由緒正しい名家のなんちゃらとか、這者討伐数が百超えててなんちゃらとか、色々」
「うわあ」
いよいよ、場違いなのではという感覚が私に襲い掛かる。
……よくよく見てみると、周りに控えている人達の屈強さったらない。
「大丈夫だよ、とりあえずお互いやれるところまでやってみよ。最悪アタシらで城主に色仕掛けでもなんでもして……」
「嫌 です」
「じゃ、頑張らなきゃね」
「う……」
笑顔を携えたレイナさんが私の肩にぽんと手を置く。この人には勝てない。
ただ……確かに、始まりの島 へ赴く為の足掛かりにはなるのかもしれない。
雲を掴むような道程から、僅かでも輪郭が浮かぶ要素へ邁進するのは当然の事ではある。
それに……龍 族 という言葉に思うところが無いわけでも──
「あ、リコちゃん」
僅かな思考はレイナさんの声で掻き消される。
彼女は、人差し指を遠目に向けながらあっちあっち、と指した。
その方向を見てみると、大きな紙を丸めて脇に抱えたお城の関係者と思われる男性がこの控え場にやってきていた。
次いで丸めた紙を広げ、壁に貼り付ける。
周りにいた出場者の面々は……こぞってそれを食い入るように眺めている。
あれは……
「それぞれの対戦者の掲示、でしょうか」
「そうみたいだね」
それだけを交わし、私達もそこへ歩み寄る。
一体どういう基準で割り振っているんだろう、とか。
そんな取り留めない事を頭に浮かべながら……私達はその前に立つ。
……程なくして、自分の名前を見付けた私にレイナさんも顔を寄せる。
「あった?」
「はい、えーっと……」
自分の名前は見付けたのだが、肝心の相手の名前が……頭に入らない。
……いや、読めないわけではないのだけど。
リコリスという文字の横にずらりと並ぶ文字は……よく分からない呪文のように、あまりにも長く書き連なっていたのだ。
「あー……」
「どうしました?」
それを見て、レイナさんが少しだけ唸った。
私は面を向けその所以を尋ねる。
……何かを思い出す様に眉をひそめたその表情から、彼女は。
「知ってる、この子」
ぽつりとそう呟いた。
────────────
──────
───
──こつ、こつ、と。
短い階段へ、私は交互に足を重ねる。
耳に入る足音がうるさいと感じるくらい……そこは静寂に包まれていた。
だんだんと、視線の先から光が射してくる。
それは少しずつ私を覆い、照らし、導く。
……光を抜けると、数十メートル四方に敷かれた石畳が臨む。
同時に、この場を囲み見降ろす様に設けられた客席から……幾人もの声が重なりまばらな音として辺りを打ち付ける。
そのうちのひとつが、私により深く突き刺さった。
「──リコリスさーん!! 負けないでえーーっっ!!!!」
……ダメだよメイコちゃん。
そんな事言われたら、頑張るしかなくなっちゃう。
「ふう…………っっ」
激励 に手を振り返した後、ひとつ呼吸を落とす。
闘技大会の舞台として用意されたこの空間へ再度一瞥をくれ、そのまま。
……対極に位置する相 手 を見据える。
まだ若い女性……私よりは下で、メイコちゃんよりは上、といったくらいの。
そして、その人物が舞台へ上がる時……一際大きい歓声が湧く。
その音はやがてひとつの言葉に収束し、示し合わせたかのように熱を上げ始めた。
──勇者、と。
「……すごい」
聞いてはいたけど、なんというか……とてもアウェー。
……先程レイナさんが呟いた知 っ て る 、という所以はここにあった。
這者の脅威から世界を救う事を掲げ、幼少の頃から厳しい教育を受けてきたという名のある家格の娘。
実際にこれまで数多くの這者を討伐してきたようで……誰が名付けたわけでもなく、最終的に定着した通称が──勇者。
……その名声は首都 のみならず、至る所に響いていたそうだ。
「…………」
「…………」
程なくして、溢れんばかりの歓声を浴びながら勇者 は私と対面する。
金髪碧眼……あどけなさを残しつつ凛々しさを携えた顔立ちに加え、無駄なく仕上がるそのしなやかな肢体は……い か に も といった具合。
……この歓声の出処は勇者 に対してのモノだけではないのかも、なんて。
「よろしくね」
「こちらこそ」
「……えっと」
「…………アイリ、でよろしくてよ」
握手を求めた私に、真顔のまま返しながら……彼女はそう言う。
言い淀んでいた事 を察したのか、先んじて名乗りを通してくれた。
「ありがとう。慣れてるんだね」
「べつに」
「私、リコリス」
「覚えておきますわ──」
やんごとないお家の人である事が、長い名前の理由なのかな……とか。
お嬢様口調 で話す人、初めて見た……とか。
「──すぐに忘れてしまうでしょうけれど」
そんな浮ついた考えを、ぴしゃりと遮断された。
それだけを言い残した彼女はこちらに背を向け、舞台の脇へ歩みを進める。
「ん……」
緊張感を欠いていたのは私の方か。
未だ止まぬ歓声と共に、彼女の双肩に乗るモ ノ を……私には計り知る事ができないのかもしれない。
──だからと言って、私にも変え難い意思はある。
通らなければいけない道にあなたがいるというのなら……
「ふ……っっ」
再度、呼吸を整える。
自分の位置に着き、こちらに鋭い視線を投げかける彼女を視界に収める。
同時に、示された戦い方 を頭の中で反芻した。
──刃物の使用は不可。
──ヤマトの使用は可。
──死を伴う障害は不可。
──場外、降参、闘技不能のいずれかで勝敗を決す。
『思ったよりは、シンプルかな』
などと耽りながら……自分の木刀 を握り直し──
──どん、と。
開始の合図を呈すヤマトの音が鳴り響いた。
「────ッッ!!」
その響きを後に残し、石畳を蹴る。
前進を低く、より低くと言い聞かせた上体は……限りなく地面を目前に流れ。
──そのさ ら に 下 へ、彼女が割り込んでくる。
「なっ──」
その発現に驚愕の隙を与えぬまま、彼女は抜いた木剣を斬り上げる。
おん、と眼前を昇る音に引かれ──寸でのところで上体を逸らし……私の前髪が数本宙を舞った。
──間髪を入れず、彼女は振り上げたモノをそのまま私の脳天目掛け落とし込む。
「ッッ────」
がつんと互いの獲物が競り鳴く。
頭上へ横に構えた木刀が彼女の直下を阻んだ。
刀身を強引に脇へ流し、捻った半身をそのまま営力に乗せる。
「せっっ!!!!」
そしてその側頭を着地に定めた回し蹴りを放ち──
────私の脚は空を斬る。
回避を為し、数メートル先へ位置した彼女は木剣を持たぬ空いた手を掲げて言い放つ。
「閃熱光射出 !!」
「ロ、ロケット花火!!」
その手が光を帯び始めた瞬間、私は切っ先を向け──易しと過ぎるイメージを強引に紡いだ。
ずどん、という轟音と共に互いのヤマトは合致を果たす。
行き場を失くした熱気が弾け飛び……私は後ろに距離を取った。
僅かな砂埃はすぐに晴れ、変わらず鋭い視線を投げ続けている彼女の姿が映る。
「……想像よりは、できますのね。最初ので済ませるつもりだったのですけれど」
真顔のままそう呟く彼女は木剣を二、三素振り……構え直した。
──全ての所作が、疾い。
それ以前に……恐ろしく正確でいて、とんでもない柔軟性の持ち主。
……一体、どれ程の鍛錬を積んだのだろうか。
「……それは、どうも」
思わず浮かんだ苦笑いを噛みながら、私も木刀の握りを改めた。
──瞬間、彼女の輪郭がブレる。
……違う。
こちらへ駆けている──!!
「自己駆動力強化・雷 !!」
そのまま、その号に呼応するように彼女の木剣は青白い閃光に包まれていく。
ばちばちと鋭い音を発しながら、あちらの振りかざす軌跡をなぞるように……私の目の前をその光は走り抜けた。
「あっっ──うッッ!!!!」
間違いなく、躱した。
……そう思える程には距離を取っていたはずだ。
しかし、ひどく鋭利でいて不快感を伴うその衝撃は……確実に私を襲い──
──それによって生じた隙を彼女は逃さない。
「これで終わりですわ」
こちらへ疾駆する勢いをそのままに、閃光を携えた木剣を私へ貫かんとする。
痺れが抜けきらぬ所為から、その推進を正面からただ眺めている事しか出来なかった私は、せめて…………
せめて、イメージをする。
疾さと巧 さ、その両方を兼ねた……稲妻とも言える存在。
……決して易くは無い。
度重なる反復と切磋で構築されたそれを、打ち崩せるだけのモノ…………
……もう、猶予が迫る。
視界に映るのは、彼女の剣から伸びる光…………
光 ────?
「────懐中電灯!!!!!!」
ぎしぎしと唸る自らの腕を奮い、木刀の柄頭を彼女へかざす。
瞬間。
私の唱えに呼応し、視界を背けたくなる程の光が音も無く照射される。
「ああッッ──!?」
それは彼女を包み込む様に……いや、彼女の顔へ正面から叩き付けることになる。
こちらに突き付けていたはずの切っ先は行き場を失くしたかのように遊び、彼女は思わず目を庇った。
「だぁぁぁあああっっ!!!!」
木刀を握り返し、そのまま横に薙ぐ。
まだ視界が収まっていないはずの彼女は、それでも感覚でアテを付けたのか……目を閉じたまま私が狙いを定めた肩へ防御の構えを取った。
……しかしそれも完璧ではない。
私の一撃はある程度の効を成し、インパクトと同時に彼女は数メートル後退 る。
合わせ、私も再度後方へ飛び退き……迫り上がる呼吸を整えた。
「……はっ……っっ……」
「んんっ………」
それは彼女も同じようで。
瞼を擦りながら、少しずつ私との距離を図った。
……僅かな暇の後。
その鋭い視線を再び携えながら、彼女は吐き捨てるように呟く。
「な、なんて素っ頓狂なヤマトを使いますの……」
「……よく言われる」
示し合わせるわけでもなく、その交わしを仕切り直しにあて。
……自らの獲物を互いに構え直し……姿勢を前へと屈め、いよいよ駆けんとしたところで──
「いい加減になさい!!!!」
──そんな異音が、耳に入った。
次いで。
私を見据えていたはずの彼女は、その音の方へ向き直り……姿勢を正した。
「……申し訳ありません、お母様」
そう言った彼女の視線の先。
舞台の場外へ位置する端に……最初からそこにいたのか、年配の女性が一人佇んでいたのだ。
……全く気が付かなかった。
「申し訳ないと思うのなら早く決着をつけなさい!! あんな得体の知れない人間に手こずって……あまつさえヤマトを二度も使用する事になるなんて、なんてザマなの!?」
「……はい。仰る通りです」
「我が一家の面汚しと言わざるを得なくなるわよ、汚名は自らさっさと返上なさい!!」
「…………畏まりました」
そのやり取りを最後に、母と呼ばれた女性はこちらを一瞥し……顔を背け後方へ去った。
……彼女がそれを見ていたのかは定かではないが。
一度、顔を伏せた後……私へ再度向き直る。
「…………お待たせしてしまいましたわね、失礼を」
「……ううん、いいけど」
……何となしに、彼女の顔色を伺ってしまう。
つい今しがた起きた出 来 事 に対し、私は──
「────っっ!!!!」
思いを馳せる暇は、無いようだ。
余計な思考をかき消すように木剣を構えた彼女が私へ駆ける。
……が、その様に僅かな違和感を覚えた。
「ん……っっ!!」
がつ、と互いの武器が交差する。
そのままぎり、ぎり、と競り合いを呈し……僅かな呼吸と合わせ私がそれを弾く。
──弾く、事が容易であった。
「…………?」
彼女に、先程までの疾さと圧が伺えない。
……不思議に思い、その表情を臨む。
「──はっ……は……っっ!!」
そこには……肩で息を重ね、あまりにもわかり易い焦燥を貼り付けた彼女の顔があった。
「ね、大丈夫……?」
「……なに惚けてますの、いきますわよ」
「ちょっと待っ──」
私の言葉を待たず、彼女はまた飛び込んで来る。だが、稲妻の様な鋭さはやはり……鳴りを潜めてしまっている。
幾度か振るわれた木剣の撃を捌いた後、三度 交わる競り合いの最中……私は彼女の表情から目が離せないでいた。
「先程からじろじろと、一体──」
「──ねえ、嫌なんだよね……?」
……私のその言葉に、彼女は少しだけ目を見開く。
「なにを言って……」
「このままでいいから聞いて。 まだ会ってほんの少ししか経ってない私ですらわかるくらい……あなたの様子が変」
「ッッ……」
「他人様の家庭事情に口なんか挟みたくは無いし、お節介なのは理解してるけど……あなたみたいなすごい人が、そ う い う の で参っちゃうのは見てられない」
「あ、貴女……」
「もっと、自由にしてもいいんじゃないかな……って」
「……自由?」
「……うん。嫌な事はそう言えばいいし、自分がやりたい事とか──」
「──何を言い出すかと思えば」
「え?」
交差していた彼女の木剣に、少しずつ圧力が蘇っていく。
私は足を踏み直し……それを堪えた。
「不思議な方だとは思っていましたが、まさかそこまでとは考えてもいませんでしたわ」
「……私、間違ってるかな。言ってる事、変かな。……嫌じゃないの?」
私が投げる台詞を拒否するように、彼女はかぶりを振る。
…………そして。
「──嫌に、決まっていますわ」
その口から……断続的に漏らすのだった。
「勇者という名 も、好奇な眼差しも、家柄も、生い立ちも……ッッ」
「……でも」
「そ ん な モ ノ ……軽く、難無く、簡単に乗り越えられるくらい──」
「──私 は強くなりたいんですのッッ!!!!」
「っっ……!!」
そこまでで、彼女の手により競り合いは弾かれる。
その表情から先の焦燥は完全に消え去り……彼女の強 さ を象徴する鋭利な視線が再び携えられたのだった。
「…………だから……勝たなくてはいけないのですわ」
「だったら、なおさら──」
「──余計な、お世話ですことよ」
その言葉が乗せられた様に……彼女の振るう一閃は、私をシャットアウトする。
──からん、と。
手中から何かの感触が潰える事を覚えたと同時に、そんな音が聞こえた。
その意味はすぐに理解出来た。
……私の木刀が、彼女に掠め取られ舞台へと打ち捨てられたのだ。
「降参して下さいませ、リ コ リ ス 様 。もう……貴女の武器はありませんわ」
そして彼女は獲物の切っ先をこちらに向け、そう言い放つ。
「……わかった」
私は──
「なら、素手で相手 してあげる。アイリ」
────その意思へ向け、構えた。
────────────
──────
───
※アイリイメージ
放たれた衝撃を左肩に掠めさせ、それが過ぎた先へ連ねそうになる視線に……強引を伴った歯止めをかける。
──
一時の流動に無様な応を返せば、意志を伴った圧力は容易く私を伏すと覚えろ。
「っっだぁ!!!!」
捉え直した意と共に振るう
がつん、という音と共にその進行は遮られる。
……読まれていたのか、見事に防御を成功させていた。
胸中で舌打ちを響かせる最中、今度は相手の
──その場へ屈む。
横一線に走る軌跡は頭上に風圧を感じさせた。
……その矛先が、私の首元だったのだと理解。
「──ッッ!!」
そのまま片手を軸に地に伸びた相手の両脚へ足払いを掛け……それは望む結果を弾き出し、あちらは地を舐めた。
構図は反転し、今度は私が相手を見下ろす。
「ふっっ──!!」
仰向けに突き出された鳩尾を目掛け、木刀を一直線に走らせる。
……体勢を立て直すより私の方が疾い。
そう確信した時──まいった、という声が相手の口から発せられた。
……瞬間に木刀の前身を止め、ひとつだけ息を吐く。
収縮しつつあった視界はようやく色を帯び、呼吸と共に辺りを鮮明に駆動させる。
──勝者、リコリス。
次いで反響するその言葉は、私の耳を何度か叩くのだった。
────────────
──────
───
「…………ふー」
がやがやと喧騒が響く広間の壁に背を預けると同時に、少しだけため息が漏れた。
視界に映るのは……
──鈍い光沢を放つ床。
──今にも動き出しそうな甲冑。
──均等に掛けられた絵画。
──煌びやかなシャンデリア。
『……テレビとかでしか見た事無いや』
そんな耽りを過ぎらせたまま……さらに視線を上に滑らせる。
そこには、巨大なステンドグラスが静かに佇んでいた。ここにいる人間を全て包み込むような……或いは、支配とも取れるような。
……その硝子の表面に。
連なる白銀を携え、雄々しい羽ばたきを魅せる姿を模した
……あれは…………たぶん──
「──リーコちゃんっ」
「わ」
その声と共に背中へ何かが触れる。
振り向くと、片手にグラスを持ったレイナさんがそこにいた。
「初戦突破おめでと」
「ありがとうございます、いただきます」
そう言いながらグラスを渡される。
一口煽ると、僅かに柑橘系の風味が残る水が喉を通り……まだ少しだけ火照っていた体に、それはゆっくりと浸透していった。
「
「そ、そんな事もできるんですね」
……改めて
「どうだった? さっきの相手」
「……すごい気迫を感じました。たぶん、ほんの少し何かが掛け違えただけで……勝敗は変わっていたんじゃないかな、と」
「なるほど、そっか」
レイナさんは深く頷きながら、私の横で同じく壁に背を預ける。
……もう一度グラスを傾けたあと、私は彼女へ向き直った。
「
──昨日。
古い友人との会合から戻ったレイナさんから漏れた、それ。
……全然ピンとこなかったし、そういったものを競う意識も持ち合わせてはいなかったけど。
ただ、ひとつだけ──
「まーね。爪痕残せば一応名誉な事でもあるし、数年に一度しか開催されないっていうのもあるけど……今回は特にね」
「ご友人の方が教えてくれたんですよね」
都市の中心にあった、お城。
……闘技大会が行われているこの場所には今、異例の客人が招かれているという。
「わざわざ大会のタイミングに合わせて現れたんだってさ」
「あ、そうなんですね」
──龍族。
……この世界には、その名で呼ばれている人々が存在すると聞かされた。
曰く、世界の始まりから存在した……とか。普通の人間よりも遥かに高度なヤマトを扱える……とか──
「ま、アタシら以外にも始まりの島について知りたい人は多いって事かな」
──
「ミステリアスそして神秘、ですもんね」
「それ
互いの笑いが重なる。
つまるところ……この大会で名を残す、ないし優勝でも出来ようものなら件の龍族への謁見が叶うのでは、といったところ。
「でも、本当に私なんかが出場しちゃって良かったんでしょうか」
「まあほら、島についてハッキリした手掛かりもなかったしさ。それに……」
「はい?」
「いつも思い切り体動かす時って、相手が這者の時ばかりでしょ。たまには人同士で健康に……運動的なね」
「お遊戯感覚にしては殺伐としてますよお」
「あっはは、そうだね」
「んー……出場者の方々もすごい人多いんですよね、きっと」
「そりゃもう。由緒正しい名家のなんちゃらとか、這者討伐数が百超えててなんちゃらとか、色々」
「うわあ」
いよいよ、場違いなのではという感覚が私に襲い掛かる。
……よくよく見てみると、周りに控えている人達の屈強さったらない。
「大丈夫だよ、とりあえずお互いやれるところまでやってみよ。最悪アタシらで城主に色仕掛けでもなんでもして……」
「
「じゃ、頑張らなきゃね」
「う……」
笑顔を携えたレイナさんが私の肩にぽんと手を置く。この人には勝てない。
ただ……確かに、
雲を掴むような道程から、僅かでも輪郭が浮かぶ要素へ邁進するのは当然の事ではある。
それに……
「あ、リコちゃん」
僅かな思考はレイナさんの声で掻き消される。
彼女は、人差し指を遠目に向けながらあっちあっち、と指した。
その方向を見てみると、大きな紙を丸めて脇に抱えたお城の関係者と思われる男性がこの控え場にやってきていた。
次いで丸めた紙を広げ、壁に貼り付ける。
周りにいた出場者の面々は……こぞってそれを食い入るように眺めている。
あれは……
「それぞれの対戦者の掲示、でしょうか」
「そうみたいだね」
それだけを交わし、私達もそこへ歩み寄る。
一体どういう基準で割り振っているんだろう、とか。
そんな取り留めない事を頭に浮かべながら……私達はその前に立つ。
……程なくして、自分の名前を見付けた私にレイナさんも顔を寄せる。
「あった?」
「はい、えーっと……」
自分の名前は見付けたのだが、肝心の相手の名前が……頭に入らない。
……いや、読めないわけではないのだけど。
リコリスという文字の横にずらりと並ぶ文字は……よく分からない呪文のように、あまりにも長く書き連なっていたのだ。
「あー……」
「どうしました?」
それを見て、レイナさんが少しだけ唸った。
私は面を向けその所以を尋ねる。
……何かを思い出す様に眉をひそめたその表情から、彼女は。
「知ってる、この子」
ぽつりとそう呟いた。
────────────
──────
───
──こつ、こつ、と。
短い階段へ、私は交互に足を重ねる。
耳に入る足音がうるさいと感じるくらい……そこは静寂に包まれていた。
だんだんと、視線の先から光が射してくる。
それは少しずつ私を覆い、照らし、導く。
……光を抜けると、数十メートル四方に敷かれた石畳が臨む。
同時に、この場を囲み見降ろす様に設けられた客席から……幾人もの声が重なりまばらな音として辺りを打ち付ける。
そのうちのひとつが、私により深く突き刺さった。
「──リコリスさーん!! 負けないでえーーっっ!!!!」
……ダメだよメイコちゃん。
そんな事言われたら、頑張るしかなくなっちゃう。
「ふう…………っっ」
闘技大会の舞台として用意されたこの空間へ再度一瞥をくれ、そのまま。
……対極に位置する
まだ若い女性……私よりは下で、メイコちゃんよりは上、といったくらいの。
そして、その人物が舞台へ上がる時……一際大きい歓声が湧く。
その音はやがてひとつの言葉に収束し、示し合わせたかのように熱を上げ始めた。
──勇者、と。
「……すごい」
聞いてはいたけど、なんというか……とてもアウェー。
……先程レイナさんが呟いた
這者の脅威から世界を救う事を掲げ、幼少の頃から厳しい教育を受けてきたという名のある家格の娘。
実際にこれまで数多くの這者を討伐してきたようで……誰が名付けたわけでもなく、最終的に定着した通称が──勇者。
……その名声は
「…………」
「…………」
程なくして、溢れんばかりの歓声を浴びながら
金髪碧眼……あどけなさを残しつつ凛々しさを携えた顔立ちに加え、無駄なく仕上がるそのしなやかな肢体は……
……この歓声の出処は
「よろしくね」
「こちらこそ」
「……えっと」
「…………アイリ、でよろしくてよ」
握手を求めた私に、真顔のまま返しながら……彼女はそう言う。
「ありがとう。慣れてるんだね」
「べつに」
「私、リコリス」
「覚えておきますわ──」
やんごとないお家の人である事が、長い名前の理由なのかな……とか。
「──すぐに忘れてしまうでしょうけれど」
そんな浮ついた考えを、ぴしゃりと遮断された。
それだけを言い残した彼女はこちらに背を向け、舞台の脇へ歩みを進める。
「ん……」
緊張感を欠いていたのは私の方か。
未だ止まぬ歓声と共に、彼女の双肩に乗る
──だからと言って、私にも変え難い意思はある。
通らなければいけない道にあなたがいるというのなら……
「ふ……っっ」
再度、呼吸を整える。
自分の位置に着き、こちらに鋭い視線を投げかける彼女を視界に収める。
同時に、示された
──刃物の使用は不可。
──ヤマトの使用は可。
──死を伴う障害は不可。
──場外、降参、闘技不能のいずれかで勝敗を決す。
『思ったよりは、シンプルかな』
などと耽りながら……
──どん、と。
開始の合図を呈すヤマトの音が鳴り響いた。
「────ッッ!!」
その響きを後に残し、石畳を蹴る。
前進を低く、より低くと言い聞かせた上体は……限りなく地面を目前に流れ。
──その
「なっ──」
その発現に驚愕の隙を与えぬまま、彼女は抜いた木剣を斬り上げる。
おん、と眼前を昇る音に引かれ──寸でのところで上体を逸らし……私の前髪が数本宙を舞った。
──間髪を入れず、彼女は振り上げたモノをそのまま私の脳天目掛け落とし込む。
「ッッ────」
がつんと互いの獲物が競り鳴く。
頭上へ横に構えた木刀が彼女の直下を阻んだ。
刀身を強引に脇へ流し、捻った半身をそのまま営力に乗せる。
「せっっ!!!!」
そしてその側頭を着地に定めた回し蹴りを放ち──
────私の脚は空を斬る。
回避を為し、数メートル先へ位置した彼女は木剣を持たぬ空いた手を掲げて言い放つ。
「
「ロ、ロケット花火!!」
その手が光を帯び始めた瞬間、私は切っ先を向け──易しと過ぎるイメージを強引に紡いだ。
ずどん、という轟音と共に互いのヤマトは合致を果たす。
行き場を失くした熱気が弾け飛び……私は後ろに距離を取った。
僅かな砂埃はすぐに晴れ、変わらず鋭い視線を投げ続けている彼女の姿が映る。
「……想像よりは、できますのね。最初ので済ませるつもりだったのですけれど」
真顔のままそう呟く彼女は木剣を二、三素振り……構え直した。
──全ての所作が、疾い。
それ以前に……恐ろしく正確でいて、とんでもない柔軟性の持ち主。
……一体、どれ程の鍛錬を積んだのだろうか。
「……それは、どうも」
思わず浮かんだ苦笑いを噛みながら、私も木刀の握りを改めた。
──瞬間、彼女の輪郭がブレる。
……違う。
こちらへ駆けている──!!
「
そのまま、その号に呼応するように彼女の木剣は青白い閃光に包まれていく。
ばちばちと鋭い音を発しながら、あちらの振りかざす軌跡をなぞるように……私の目の前をその光は走り抜けた。
「あっっ──うッッ!!!!」
間違いなく、躱した。
……そう思える程には距離を取っていたはずだ。
しかし、ひどく鋭利でいて不快感を伴うその衝撃は……確実に私を襲い──
──それによって生じた隙を彼女は逃さない。
「これで終わりですわ」
こちらへ疾駆する勢いをそのままに、閃光を携えた木剣を私へ貫かんとする。
痺れが抜けきらぬ所為から、その推進を正面からただ眺めている事しか出来なかった私は、せめて…………
せめて、イメージをする。
疾さと
……決して易くは無い。
度重なる反復と切磋で構築されたそれを、打ち崩せるだけのモノ…………
……もう、猶予が迫る。
視界に映るのは、彼女の剣から伸びる光…………
「────懐中電灯!!!!!!」
ぎしぎしと唸る自らの腕を奮い、木刀の柄頭を彼女へかざす。
瞬間。
私の唱えに呼応し、視界を背けたくなる程の光が音も無く照射される。
「ああッッ──!?」
それは彼女を包み込む様に……いや、彼女の顔へ正面から叩き付けることになる。
こちらに突き付けていたはずの切っ先は行き場を失くしたかのように遊び、彼女は思わず目を庇った。
「だぁぁぁあああっっ!!!!」
木刀を握り返し、そのまま横に薙ぐ。
まだ視界が収まっていないはずの彼女は、それでも感覚でアテを付けたのか……目を閉じたまま私が狙いを定めた肩へ防御の構えを取った。
……しかしそれも完璧ではない。
私の一撃はある程度の効を成し、インパクトと同時に彼女は数メートル
合わせ、私も再度後方へ飛び退き……迫り上がる呼吸を整えた。
「……はっ……っっ……」
「んんっ………」
それは彼女も同じようで。
瞼を擦りながら、少しずつ私との距離を図った。
……僅かな暇の後。
その鋭い視線を再び携えながら、彼女は吐き捨てるように呟く。
「な、なんて素っ頓狂なヤマトを使いますの……」
「……よく言われる」
示し合わせるわけでもなく、その交わしを仕切り直しにあて。
……自らの獲物を互いに構え直し……姿勢を前へと屈め、いよいよ駆けんとしたところで──
「いい加減になさい!!!!」
──そんな異音が、耳に入った。
次いで。
私を見据えていたはずの彼女は、その音の方へ向き直り……姿勢を正した。
「……申し訳ありません、お母様」
そう言った彼女の視線の先。
舞台の場外へ位置する端に……最初からそこにいたのか、年配の女性が一人佇んでいたのだ。
……全く気が付かなかった。
「申し訳ないと思うのなら早く決着をつけなさい!! あんな得体の知れない人間に手こずって……あまつさえヤマトを二度も使用する事になるなんて、なんてザマなの!?」
「……はい。仰る通りです」
「我が一家の面汚しと言わざるを得なくなるわよ、汚名は自らさっさと返上なさい!!」
「…………畏まりました」
そのやり取りを最後に、母と呼ばれた女性はこちらを一瞥し……顔を背け後方へ去った。
……彼女がそれを見ていたのかは定かではないが。
一度、顔を伏せた後……私へ再度向き直る。
「…………お待たせしてしまいましたわね、失礼を」
「……ううん、いいけど」
……何となしに、彼女の顔色を伺ってしまう。
つい今しがた起きた
「────っっ!!!!」
思いを馳せる暇は、無いようだ。
余計な思考をかき消すように木剣を構えた彼女が私へ駆ける。
……が、その様に僅かな違和感を覚えた。
「ん……っっ!!」
がつ、と互いの武器が交差する。
そのままぎり、ぎり、と競り合いを呈し……僅かな呼吸と合わせ私がそれを弾く。
──弾く、事が容易であった。
「…………?」
彼女に、先程までの疾さと圧が伺えない。
……不思議に思い、その表情を臨む。
「──はっ……は……っっ!!」
そこには……肩で息を重ね、あまりにもわかり易い焦燥を貼り付けた彼女の顔があった。
「ね、大丈夫……?」
「……なに惚けてますの、いきますわよ」
「ちょっと待っ──」
私の言葉を待たず、彼女はまた飛び込んで来る。だが、稲妻の様な鋭さはやはり……鳴りを潜めてしまっている。
幾度か振るわれた木剣の撃を捌いた後、
「先程からじろじろと、一体──」
「──ねえ、嫌なんだよね……?」
……私のその言葉に、彼女は少しだけ目を見開く。
「なにを言って……」
「このままでいいから聞いて。 まだ会ってほんの少ししか経ってない私ですらわかるくらい……あなたの様子が変」
「ッッ……」
「他人様の家庭事情に口なんか挟みたくは無いし、お節介なのは理解してるけど……あなたみたいなすごい人が、
「あ、貴女……」
「もっと、自由にしてもいいんじゃないかな……って」
「……自由?」
「……うん。嫌な事はそう言えばいいし、自分がやりたい事とか──」
「──何を言い出すかと思えば」
「え?」
交差していた彼女の木剣に、少しずつ圧力が蘇っていく。
私は足を踏み直し……それを堪えた。
「不思議な方だとは思っていましたが、まさかそこまでとは考えてもいませんでしたわ」
「……私、間違ってるかな。言ってる事、変かな。……嫌じゃないの?」
私が投げる台詞を拒否するように、彼女はかぶりを振る。
…………そして。
「──嫌に、決まっていますわ」
その口から……断続的に漏らすのだった。
「
「……でも」
「
「──
「っっ……!!」
そこまでで、彼女の手により競り合いは弾かれる。
その表情から先の焦燥は完全に消え去り……彼女の
「…………だから……勝たなくてはいけないのですわ」
「だったら、なおさら──」
「──余計な、お世話ですことよ」
その言葉が乗せられた様に……彼女の振るう一閃は、私をシャットアウトする。
──からん、と。
手中から何かの感触が潰える事を覚えたと同時に、そんな音が聞こえた。
その意味はすぐに理解出来た。
……私の木刀が、彼女に掠め取られ舞台へと打ち捨てられたのだ。
「降参して下さいませ、
そして彼女は獲物の切っ先をこちらに向け、そう言い放つ。
「……わかった」
私は──
「なら、
────その意思へ向け、構えた。
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※アイリイメージ