後書きに代えて

文字数 993文字

 いかがだっただろうか?

 結局、月見の会は滅亡への道を辿ってしまった。神代への攻撃を開始した時点で、その運命は避けようがなかったのかもしれない。だが、放っておいてもいずれ廃れていくだけなのも事実。生き残った叢雲はその後、どうなったのかは不明である。きっと持てる才能を活かし、可能性を切り開いて今日もどこかで空気を吸っているのだろう。
 可憐もそうだ。普通の日常に戻った彼女も、自分の未来に目を向けて羽ばたいているに違いない。

 科学では証明できない現象は、今もどこかで起こっている。それはこの世ならざる存在によって生じるのだろう。
 信じるかどうかは、個人の自由である。だが、頭に入れておいて欲しい。かつてこの地球上を生きた人々は、自分たちが信じたものが後世に否定されると思っていただろうか? おそらく、想像すらできていなかっただろう。今を生きる人にとっては、今が全て。数年先の未来すら確定的な事象にできないのだから。

 それを踏まえると、人類の歴史がどこまで続くかは不明であるが、今の時代よりもさらに長い時間が経過すれば、我々の信じた科学が迷信と言われる時代が来るかもしれない。その時、人々は口をそろえて言うだろう。

「それは心霊現象だった」

 と。

 それと、未だに宗教という概念が存在し、実際に信じる人もいることを考慮したい。アメリカのとある州では、ダーウィンの進化論を無視して創生説を唱えている学校もあるくらいなのだ、信じることの力は比類なきものである。

 伝説も神話も、霊的現象も語り継がれていくことに意味がある。この戦争も、誰かが未来に伝えていくのだろう。


 ところで、この記録では都合上、掲載できなかったシーンがいくつかある。スポットライトは可憐と叢雲に向けられていたからだ。二人の因縁は、この戦争における、一エピソードに過ぎない。

 では、注目されなかった人たちの活躍や運命は無視していいのだろうか。そんなわけがない。
 なので、ここで一つだけ紹介し、この記録を締めくくりたいと思う。興味があれば是非とも読んでいただきたい。

 時計の針を少しだけ戻そう。舞台は月見の会の集落に幻霊砲が撃ちこまれる前。主人公は大刃と群主の二人だ。叢雲は、二人は神代の防衛ラインを突破できず、幻霊砲までたどり着けなかったと考えたが、果たしてそれは本当なのだろうか…?
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