前書きに代えて

文字数 1,028文字

 人類の科学・文化は、今現在が一番発展していると言っても過言ではない。我々は先祖が全く予想できなかった生活を当たり前のように繰り返し、さらにその先を行こうとしている。もはや科学は人間にとって、切り離せないものとなった。

 ところで、科学が台頭してくると決まって姿を消していくものがある。

 それは、心霊現象である。人間は科学で説明のつかない現象に否定的となり、結果として心霊現象は迷信と切り捨てられるようになった。
 人々は科学により、安心を手に入れた。一世紀前なら治らなかった病気も、今や薬の一つで完治が可能だ。そういう意味では科学が与えた影響は、人間にとってとても大きいだろう。何せ古代の人々は、迷信を信じ、祈祷師が祈ることしかできなかったからだ。

 しかし、である。科学は人間のパートナーとなり得るのか。最後まで人間の側にいるのだろうか。

 答えは否である。ここで一度振り返って欲しい。人間の最初には、科学があっただろうか?

 いいや、先に存在したのは信仰である。
 人々は神の存在を信じ、人の想いの力を信じ、死後の世界に思いを馳せた。ものには神が宿ると考え、災いも神の怒りととらえてきた。
 そう考えると、人間の隣にいるべき存在は信仰であり、心霊現象は最も重要な自然現象なのだ。


 今回は、そんな心霊現象に関わる、ある記録を見てみよう。そして、とある二人の人物にスポットライトを当てたいと思う。一般の人間には知られていない霊怪戦争において二人は活躍することになる。

 一人目は、里見(さとみ)可憐(かれん)。彼女は両親こそ霊能力者ではないものの、類まれな霊能力を持って生まれた、若き霊能力者である。激しい向上心も持ち合わせており、自分の実力を上げるために努力を怠らない。そして実力者とぶつかり合うことを好んでいる。そんな彼女は日本で一番大きな霊能力者団体である、神代グループに籍を置く。

 もう一人は、月見(つきみ)叢雲(むらくも)。彼は霊能力者としては普通な素質を持った、次世代を担う存在。常に冷静沈着で命令を実行する、任務完遂マシーンとも呼ばれている。現在、存亡が危ぶまれている霊能力者の集まり、月見の会に所属している。

 神代グループや月見の会の歴史はここでは割愛するとして、二つは犬猿の仲であることは頭に入れておいてもらいたい。

 これから二人の人生は、交差することになる。果たしてその時、二人は何を見るのだろうか?
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