Part1
文字数 1,737文字
それは寂しい星でした。
果てしなく広がる曇り空の下には、荒れる冬の海がどこまでも続き、陸地といえば、入江に桟橋のある小さな島がひとつあるきりでした。
そして、海にはかもめたちが、島には王女さまたちが暮らしておりました。
果てしなく広がる曇り空の下には、荒れる冬の海がどこまでも続き、陸地といえば、入江に桟橋のある小さな島がひとつあるきりでした。
そして、海にはかもめたちが、島には王女さまたちが暮らしておりました。
王女さまたちは毎日、お昼になると桟橋に集まってサンドウィッチを食べて時間を潰します。
そのときだけは分厚い雲の隙間から桟橋に陽の光がさします。
そして、少しだけにぎやかになります。
パンの欠片をもらいに、かもめたちが舞い降りるからです。
そして、少しだけにぎやかになります。
パンの欠片をもらいに、かもめたちが舞い降りるからです。
王女さまたちは皆、生まれた時からずっとそうして過ごして来たので、それが普通だと思っていました。
他のことなど考えてみたこともありませんでした。
それは、かもめたちも同じでした。
この星で王女さまたちとかもめたちは、ゆっくりとした時間の中で来る日も来る日もサンドウィッチを食べて暮らしておりました。
そのことに疑問を感じることもなければ、その必要もなかったのです。
他のことなど考えてみたこともありませんでした。
それは、かもめたちも同じでした。
この星で王女さまたちとかもめたちは、ゆっくりとした時間の中で来る日も来る日もサンドウィッチを食べて暮らしておりました。
そのことに疑問を感じることもなければ、その必要もなかったのです。
ところで、どんな所にもはぐれ者というのは必ず居るものです。
この星にもはぐれ者のかもめが一羽と、はぐれ者の王女さまが一人おりました。
この星にもはぐれ者のかもめが一羽と、はぐれ者の王女さまが一人おりました。
かもめの名前はジョナさんといいました。
ジョナさんはオスで、実に男の子らしい野望をもっておりました。
王女さまは王女さまで、実に女の子らしいリアクションをいたしました。
男の子の夢とはよくわからぬもの。でも、応援するのにそれがなんの不都合がありましょう。
男の子の夢とはよくわからぬもの。でも、応援するのにそれがなんの不都合がありましょう。
王女さまは、それは清々しい笑顔でお答えになりました。
目標は違えど、はぐれ者同士、二人は気が合う友達だったのです。
それぞれ、他のかもめたち、他の王女たちには馬鹿にされておりましたが、そんなこと気にしません。
お互いにただひたすらに、心の赴くまま、それぞれの夢の追及に取り組んだのです。
そうして幾日も幾年もが過ぎ……ある日とうとう、ジョナさんは前人未到の超音速飛行を編み出しました。
それぞれ、他のかもめたち、他の王女たちには馬鹿にされておりましたが、そんなこと気にしません。
お互いにただひたすらに、心の赴くまま、それぞれの夢の追及に取り組んだのです。
そうして幾日も幾年もが過ぎ……ある日とうとう、ジョナさんは前人未到の超音速飛行を編み出しました。
しかし、全然めでたくなどなかったのです。
スピード違反の切符を切られて、ジョナさんは星から追放されてしまいました。
スピード違反の切符を切られて、ジョナさんは星から追放されてしまいました。
王女様はひとりになりました。
ずっと前からひとりではありましたが、仲良しだったジョナさんがいなくなってしまっては本当にひとりです。
ずっと前からひとりではありましたが、仲良しだったジョナさんがいなくなってしまっては本当にひとりです。
それは「寂しさ」という気持ちです。
それでも、王女様は泣き暮らすことはしませんでした。
泣かずに、前よりもっといっそうオナニーに励んだのです。
だってもう、他にすることがなかったし、もともとそれしかしていなかったのですから。
それでも、王女様は泣き暮らすことはしませんでした。
泣かずに、前よりもっといっそうオナニーに励んだのです。
だってもう、他にすることがなかったし、もともとそれしかしていなかったのですから。
後ろ指を指す桟橋の王女たちのグルーブに背を向けて、波濤の打ち付ける岬の突端の岩陰で……はぐれ者の王女さまこれまでと同じように、くちゅくちゅとして過ごしたのです。
以前と変わったことといえば、ときおり、その肩に舞い降り、お喋りをしてくれた奇特な友人がいなくなったことだけでした。